実はこっそりあいつに溺れてますが、何か?

らいち

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第二章

嫉妬はするけど……

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 あっ、そういえば。兄さんが珍しく食後のデザートまで持たせてくれたんだった。何個入っているんだろう? ここにいるのは僕を合わせて六人だけど……。

 袋に手を突っ込んでみてギョッとした。

 何だこれ。たったの二個?  これじゃ他の子たちに分けてあげられないじゃないか、嫌がらせか?

「どうしたの、神」
「ああ、なんでもないよ」

 きっと兄さんは、僕が他の子達に良い顔をしたいと思っているなんて考えようともしないんだろう。
 仕方がないので僕はマカロンを食べるのを諦めて、目立たないように机の中に隠した。

 みんなで和気あいあいとご飯を食べながら、昨日見て面白かった動画を教えあったり、今期のアニメの話等で盛り上がる。
 運動神経の良い美紀なんかは、動画で覚えたダンスを披露し始めた。

「美紀、上手ーい」
「上手、上手ー」

 本当に上手い美紀のダンスに、みんな手拍子をして乗っている。僕も手拍子をし、それを見ながらチラリと視線を加代子に向けた。
  僕の視線の先の加代子は、丁度お弁当を食べ終わったところのようだった。兄さんから貰ったマカロンを手に、琴に嬉しそうに報告をしている。

 一瞬脳裏に、車内での嬉しそうな加代子の顔が浮かんだ。

 ……何が優作兄さん大好きだ。
 随分甘えた声だったよな。くそムカつく。

 だいたい兄さんも兄さんなんだよ。別に妹でも何でもないのに、わざわざマカロンなんて作ってやることもないだろうが。
 心の中でグチグチと文句を言いながら、僕は加代子に冷たく接する兄さんを想像してみて苦笑した。

 ……ダメだな。もしも兄さんが本当に加代子に冷たく当たったりなんかしたら、それはそれで許せないや。

「凄い、美紀ー」

 ひときわ大きな拍手で我に返った。どうやらダンスを披露し終えたらしい。僕も大きく拍手をして、美紀を称えた。

「さすがだな、美紀」
「本当、上手いよ。私途中の足の動きが上手くいかないのよね」
「美紀はリズム感も良いから……」  
「神!」

 話の途中で、大声で僕を呼ぶ加代子の声が聞こえてきた。振り向くと、加代子と琴が弁当を既に片付けて席を立っている。

「神、ちょっと出て来るけどそこにいてよ」

 加代子がそう言って、指を何度も下に向ける動作をした。僕はそれに笑って手を挙げて答えたんだけど、信用がないのか、しばらく加代子はジーッと僕を見つめて動こうとしない。その内、業を煮やした琴に引っ張られて、渋々教室を出て行った。
 ……トイレかな?
 まあいいや、別に何か用事があるわけでもないし、ちょっとくらい待ってみるか。

 僕は背もたれに凭れて、フッと息を吐く。
 そんな僕を、みんながじっと見ていた。
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