実はこっそりあいつに溺れてますが、何か?

らいち

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第二章

学園祭の出し物が決まりました

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   もう、ため息が出る。神ってば、他の子達といる時はちっとも私を優先してくれないんだから。さっきだって約束しても簡単に破っちゃってさ。しっかり確認してあれなんだもん、嫌になる。

 チラリと神の席に視線を向けてみた。今はLHRの時間ということもあって教室内は少し騒がしい。神も例にもれず、近くの女子達と楽しそうにおしゃべりをしている。
 嬉しそうな顔。腹立つなあ、もう。

「今日は、来月の四日から始まる学園祭の出し物について話し合いたいと思います。何か提案はありませんか?」

 委員長の問いかけに、また教室内はざわざわとし始めた。手間が掛からない方がいいとか稼げる物は何かないかとか、そんな声があちらこちらから聞こえて来る。

「模擬店がいいんじゃない?」
「幽霊屋敷とかは?」

 飛び交う声を聞き取った書記が、黒板に一つ一つ書いていく。そんな中、「神のカッコイイ姿がみたいな……」と誰かがポツリと呟いた。
 その一言を聞き逃さなかった女子の表情が一変する。今までどうでもいいというような表情だった子達までが、目をキラキラと輝かせた。

「それいい、見たい!」
「じゃあさ、神に格好いいウエーター姿になってもらって、チュロス売るのとかどう?」

 ハアッ? 何言ってるのよ! そんな事したら、みんな神に触り放題じゃないの!
 一人焦る私をよそに、話はどんどん広がっていく。

「それよりさあ、手作りアクセサリーの販売とかは? それでアクセサリー作り体験をする人には、神が教えますとか言ってさ」
「ダメだよ絶対、絶対ダメ!」

 バカなこと言わないでって気持ちで、私は思わず立ち上がって叫んだ。

「そうだよ、これは加代子の言う通り、絶対ダメ! だってそんなんじゃ、お客さんしかいい想い出来ないじゃん」
「私も反対! 知らない子が神の横で楽しんでるとこなんて見たくない!」

 キャアキャアと騒ぎだした私達を見て、今度は男子までが騒ぎ出した。

「おい、お前らさっきから何だよ! 女子が楽しむ為のイベントじゃねえぞ」
「そうだ、そうだ! そんなん言うんなら、加代子ちゃんに可愛い衣装着けさせて接客させてくれ!」

 ハアアッ? 何でそこで私が出てくるの!

 それからはもう皆ヒートアップして、言いたい放題で騒がしくなってきた。収拾がつかなくなり始めた頃、委員長がパンパンと大きく手を鳴らした。

「静かに、静かにして下さい!」
「はい、委員長!」

 いきなり琴が手を挙げて立ち上がった。

「はい、田島さん」
「男装女装コンテストがいいと思います」

 今までと全く違う方向性の提案に、一瞬みんなキョトンとした。だけど言っている意味を理解して、また皆はすぐに騒ぎだす。

「それいい、いいよ。神の女装見てみたい!」
「うんうん、見たい、見たい!」
「加代子ちゃんの男装だってよ。ゾクゾクするな」

 みんなすごい勝手なこと言ってる。しかも男子! 私は男装するなんて一言も言ってないんですけど!
  ……でも、神の女装はちょっと興味あるかも。

「それでは、男装女装コンテストがいいと思う人は手を挙げて下さい」

 委員長の呼び掛けに、みんなどんどん手を挙げていく。私も、神の女装に興味があってついつい手を挙げてしまった。
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