修行のため、女装して高校に通っています

らいち

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第二章

少しだけ近く1

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困惑げな顔で探るように見られて、僕はもう走り出して逃げたい気分だ。
だけどこのままでは、梓の信用も失って二度と友達にもなれないかもしれない。それだけは嫌だった。

もちろん本音を言えば、友達よりも彼女になって欲しいのだけど。

「聞いてくれる? 何でこんな恰好をしてるのか」
「…うん」

僕は梓にちゃんと分かってもらいたくて、家が大衆演劇を営んでいる事、そして女形の出来が悪いから修行の一環としてこの高校に女装して通うようにと親父に強制されたことなど、包み隠さずすべて話した。

話している最中、梓は目を丸くして信じられないといった表情で僕の話しを聞いていた。
だけど僕が「劇団むらさき」で雪乃丞という名前で出ていると言うと、僕の芝居を見てくれたことがあったようで僕の事を知っていた。

「嘘!ホントに雪乃丞? え? ええっ?」

そう言いながら、僕のほっぺたをぺたぺたと触ってくる。
至近距離の梓にまた顔が熱くなってきた。だけど、梓はお構いなしに僕の顔をじいっと見つめている。

「似てはいるけど、なんか違うような…」
「化粧の仕方が違うから」
「ああ、そうか…。て、自分で化粧してるのか?」
「違うよ。これは姉さんが、男とばれないようにって一生懸命研究してくれたんだ」
「へえ、良い姉さんだね」
「うん」

どうやら梓の感じから、僕の説明を納得してもらえたらしい。

「梓」
「うん?」
「悪いんだけど、まどか達にもこの事内緒にしておいてもらえる?」
「ああ…」
「佐藤には凄く悪いと思っているけど、女装してるってみんなにバレたら僕もうココには通えないし」

そう言うと梓はハッとした顔になり、唇をきゅっと結んだ。

「そうだよな、みんな口は堅いと思うけど、何かの拍子に誰かに聞かれてしまうことにもなりかねないもんな…」
梓は僕の目を真正面から見て、言葉を続けた。

「分かった。誰にも絶対言わない。由紀が生半可な理由で女装しているんじゃないって事も分かったし、あたしで良ければ協力もするよ」

「あ、ありがとう梓!」
「だけどあんまりまどかの前で可愛い真似しない方が良いぞ? 由紀に抱き付く癖がついてるみたいだし」

梓は思い出したのか、肩を揺らして笑ってる。

「可愛いって…」

そんなつもりは全然ないんだぞ?
僕は、ちょっと剥れてしまった。

梓はそんな僕の顔を見て、眉を下げ困ったような表情を作る。

「だからそれが可愛いって言ってんの!」
コツンと僕の額を小突き、けらけらと笑った。
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