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第四章
梓の家族1
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「いやー、それにしても本当に雪乃丞と知り合いとは驚いたよな」
弘毅さんがさも珍しい物でも見るかのような目で、僕をまじまじと見る。
「…兄貴、そんなにじろじろ見るなよ。失礼だろ?」
「あ、悪い。でもさ、こんなにきれいな顔していて線が細いから、ガキの頃とか女に間違われたりしなかったのか?」
「ああ、小っちゃい頃はたまに…」
というか今も、女装して学校に通っているけど…。
梓をチラっと見ると、何だか苦笑いをしていた。
梓のお父さんも帰って来て、今僕の隣に座っている。にこやかに挨拶してくれたけど、緊張する~。
「さあさあ、ご飯出来たわよ」
梓のお母さんがやって来て、テーブルに料理を運んできてくれた。
僕の大好きな豚汁に、マグロやカニカマの入った海鮮サラダ。レンコンやニンジンなどの入った煮物に小松菜の和え物、天婦羅各種が続々とテーブルに並ぶ。
「遠慮しないで食べてね」
「はい! いただきます」
どれもこれも美味しそうな料理に幸せな気分になる。
僕がかぼちゃの天婦羅をほおばってほくほくしていると、隣のお父さんが話しかけてきた。
「そう言えば、由紀也君のいとこが梓と同じクラスなんだって?」
一瞬、「え?」と思ったが、梓もまさか僕が学校に女装して通っているとは言えずに、上手く話を作ってくれたのだと気が付いた。
「はい、そうなんです。彼女が梓さんに仲良くしてもらっているようで、それで梓さんと友達になれました」
梓から僕と出会った切っ掛けをどういう風に説明しているのか聞いていなかったので、無難な言い方でおさめておいた。
「なあなあ、その従妹ってやっぱり美人か?」
僕らの話を聞いていた習さんが、興味深そうに梓に聞いている。
「んー、美人で可愛いって言った方があってるかな?」
「へえ~。梓、今度紹介しろよ」
「彼氏いるから」
ノリノリで言ってくる習さんをけん制するように、梓がスパッと断ち切った。
「何だよそれ。あーあ、やっぱ可愛い子って大概売約済みなんだよなあ」
「…でも習さん、彼女とかいるんじゃないですか?」
「ないない」
習さんは、手をぷらぷら振りながら否定する。
そうなのかあ?
背も高いし、こんだけ良い男なら、彼女なんて簡単に出来そうなのに。
「習兄はモテすぎるから、余計に選べないんだろ」
「そんなんじゃねーよ。俺はぐいぐい来る肉食系は苦手なだけだ」
「…贅沢だな」
横から、弘毅さんが呆れたように呟いた。
弘毅さんがさも珍しい物でも見るかのような目で、僕をまじまじと見る。
「…兄貴、そんなにじろじろ見るなよ。失礼だろ?」
「あ、悪い。でもさ、こんなにきれいな顔していて線が細いから、ガキの頃とか女に間違われたりしなかったのか?」
「ああ、小っちゃい頃はたまに…」
というか今も、女装して学校に通っているけど…。
梓をチラっと見ると、何だか苦笑いをしていた。
梓のお父さんも帰って来て、今僕の隣に座っている。にこやかに挨拶してくれたけど、緊張する~。
「さあさあ、ご飯出来たわよ」
梓のお母さんがやって来て、テーブルに料理を運んできてくれた。
僕の大好きな豚汁に、マグロやカニカマの入った海鮮サラダ。レンコンやニンジンなどの入った煮物に小松菜の和え物、天婦羅各種が続々とテーブルに並ぶ。
「遠慮しないで食べてね」
「はい! いただきます」
どれもこれも美味しそうな料理に幸せな気分になる。
僕がかぼちゃの天婦羅をほおばってほくほくしていると、隣のお父さんが話しかけてきた。
「そう言えば、由紀也君のいとこが梓と同じクラスなんだって?」
一瞬、「え?」と思ったが、梓もまさか僕が学校に女装して通っているとは言えずに、上手く話を作ってくれたのだと気が付いた。
「はい、そうなんです。彼女が梓さんに仲良くしてもらっているようで、それで梓さんと友達になれました」
梓から僕と出会った切っ掛けをどういう風に説明しているのか聞いていなかったので、無難な言い方でおさめておいた。
「なあなあ、その従妹ってやっぱり美人か?」
僕らの話を聞いていた習さんが、興味深そうに梓に聞いている。
「んー、美人で可愛いって言った方があってるかな?」
「へえ~。梓、今度紹介しろよ」
「彼氏いるから」
ノリノリで言ってくる習さんをけん制するように、梓がスパッと断ち切った。
「何だよそれ。あーあ、やっぱ可愛い子って大概売約済みなんだよなあ」
「…でも習さん、彼女とかいるんじゃないですか?」
「ないない」
習さんは、手をぷらぷら振りながら否定する。
そうなのかあ?
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「習兄はモテすぎるから、余計に選べないんだろ」
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