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第五章
公言できなくても彼女だから1
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教室に着くと一斉に視線が集まる。ある程度慣れたこととはいえ、余り気持ちの良いものでは無い。
女子なんて佐藤の事をぽ~っと見ながらも、その後僕に視線を移し、冷たい視線を浴びせかけるのだ。
「由紀ちゃん!」
既に来ていたまどかが、僕に手招きする。
「おはようまどか、何?」
僕はまどかの隣の空いてる席に座った。
「これ、お土産。3人お揃いなの」
はいっと、まどかは僕に紙に包まれたお土産を手渡した。
「ありがとう。なんか悪いなー、開けていい?」
「うん、もちろん」
開けてみると、そこには可愛らしい絵の描かれている手拭いが入っていた。イチゴ模様だ。
「気に入ってくれた?」
「うん、可愛いね。有難う」
ニコッと笑いながら感想を言うと、まどかも嬉しそうに笑い返す。
「これみんな絵柄が違うんだよ。まどかのは桃で、梓には真っ赤なバラなの。それぞれの特徴に合わせてみたんだ」
…てことは、何?
まどかの僕に対するイメージはイチゴ?
むむ…なんか複雑。
「イチゴは私よりまどかの方が似合ってる気がするけど」
「そんな事ないよ。由紀ちゃんにぴったり!」
「そう?」
ちょっと解せないと思うけど…。
「でも梓のバラは合ってると思うな。…梓本人はピンと来ないかもしれないけど」
「そうなのよ。梓って美人なのに、行動とか話し方がアレのせいか、本人の自覚もかなり希薄だよね」
そこも梓の可愛い所なんだけどさ。
「2人ともおはよー、まどかは久しぶりだな」
「おはよ、梓」
「おはよう、まどかはって何? 梓と由紀ちゃんは休み中に会ったの?」
「うん。会ったよ」
「え~、酷ーい。まどかだけ置いてけぼり?」
「何言ってんのよ。1人だけ彼氏と楽しく旅行に行ってたくせに」
「でも、家族にはなんて言って旅行に行ったの? 彼と2人って言ったら許してもらえなかったんじゃない?」
「そこはね、春菜たちと一緒だったから、春菜と旅行に行くって事でオッケーしてもらったんだ」
春菜って誰だ?
中学の時の友達かな?
「じゃあ4人で行って来たんだ」
「そ」
「で、これお土産」
はいっと言って、先ほどの手拭いを梓にも渡す。
「うわー、ありがとう。なんか悪いな」
「いいから、開けてみて。柄はそれぞれ違うのよ」
言われて梓が袋を開ける。そこにはまどかが言ったような真紅のバラが描かれていた。
「…綺麗なバラだね。ありがと、まどか」
梓は気に入ったのだろう。手拭いを愛おしそうに撫でている。
「私のはこの柄」
僕は梓に自分のイチゴ柄を見せてやった。
梓は僕の手元をひょいと見て、微妙な笑顔を見せた。
…言いたいことは分かるよ。男の僕がイチゴ模様なんて気の毒にと思っているんだろう。
まどかには言えないけど…(ため息)
女子なんて佐藤の事をぽ~っと見ながらも、その後僕に視線を移し、冷たい視線を浴びせかけるのだ。
「由紀ちゃん!」
既に来ていたまどかが、僕に手招きする。
「おはようまどか、何?」
僕はまどかの隣の空いてる席に座った。
「これ、お土産。3人お揃いなの」
はいっと、まどかは僕に紙に包まれたお土産を手渡した。
「ありがとう。なんか悪いなー、開けていい?」
「うん、もちろん」
開けてみると、そこには可愛らしい絵の描かれている手拭いが入っていた。イチゴ模様だ。
「気に入ってくれた?」
「うん、可愛いね。有難う」
ニコッと笑いながら感想を言うと、まどかも嬉しそうに笑い返す。
「これみんな絵柄が違うんだよ。まどかのは桃で、梓には真っ赤なバラなの。それぞれの特徴に合わせてみたんだ」
…てことは、何?
まどかの僕に対するイメージはイチゴ?
むむ…なんか複雑。
「イチゴは私よりまどかの方が似合ってる気がするけど」
「そんな事ないよ。由紀ちゃんにぴったり!」
「そう?」
ちょっと解せないと思うけど…。
「でも梓のバラは合ってると思うな。…梓本人はピンと来ないかもしれないけど」
「そうなのよ。梓って美人なのに、行動とか話し方がアレのせいか、本人の自覚もかなり希薄だよね」
そこも梓の可愛い所なんだけどさ。
「2人ともおはよー、まどかは久しぶりだな」
「おはよ、梓」
「おはよう、まどかはって何? 梓と由紀ちゃんは休み中に会ったの?」
「うん。会ったよ」
「え~、酷ーい。まどかだけ置いてけぼり?」
「何言ってんのよ。1人だけ彼氏と楽しく旅行に行ってたくせに」
「でも、家族にはなんて言って旅行に行ったの? 彼と2人って言ったら許してもらえなかったんじゃない?」
「そこはね、春菜たちと一緒だったから、春菜と旅行に行くって事でオッケーしてもらったんだ」
春菜って誰だ?
中学の時の友達かな?
「じゃあ4人で行って来たんだ」
「そ」
「で、これお土産」
はいっと言って、先ほどの手拭いを梓にも渡す。
「うわー、ありがとう。なんか悪いな」
「いいから、開けてみて。柄はそれぞれ違うのよ」
言われて梓が袋を開ける。そこにはまどかが言ったような真紅のバラが描かれていた。
「…綺麗なバラだね。ありがと、まどか」
梓は気に入ったのだろう。手拭いを愛おしそうに撫でている。
「私のはこの柄」
僕は梓に自分のイチゴ柄を見せてやった。
梓は僕の手元をひょいと見て、微妙な笑顔を見せた。
…言いたいことは分かるよ。男の僕がイチゴ模様なんて気の毒にと思っているんだろう。
まどかには言えないけど…(ため息)
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