修行のため、女装して高校に通っています

第五章

友達だろ？2

視線を斜め上に上げて、佐藤は腕を組み考えるそぶりを見せた。

「どうする？　この話断るか？」

「出来れば断りたい。実際稽古に時間がとられるのは本当の事だから。もし休みがもらえるなら、梓とデートに行きたいし…。それに彼女放っといて他の皆と遊びに行くなんて、彼氏のする事じゃないだろう？」

「そうだなあ…」
「てか、田本君は小田さんの事どう思ってるんだ？」

「んー、好印象だとは思うけど…。どうだろうなあ、あいつこういうことに関しては面倒臭いと思っちまうタイプだから…」

「…まどかと梓と佐藤君で、あの2人に付き合って遊びに行くとかは有りか？」
「え？」

「真面目な話、僕に合わせようとしたら多分、いつになったらダブルデートが出来るかは分かんないんだよ。それくらい貴重な時間って事なんだ。だからもし佐藤君が良いのなら、そうしてもらった方が僕としては助かるかなと思って」

「…良いのか？　それは」

「うん。まどかも一緒に行ってくれるなら、の話しだけどさ。やっぱりダブルデートの形は、いくら佐藤君でもやっぱり妬けるし」

「そうなのか？」
佐藤はどこか笑いを含んだような表情だ。

「当たり前だろ？　佐藤君、かっこよすぎるし。男なら誰だって嫉妬の対象だよ」

佐藤はぷはっと笑って、また僕の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

「初めて聞いたなそれ。由紀に嫉妬されてたとは意外だわー」

そう言いながら、佐藤は愉快そうに笑っている。

これだからイケメンは…。
僕は佐藤に知られないように、こっそりとため息を吐いたのだ。


そして、この案はすんなりと通る事になった。

梓もこれなら異論はないと言うことで、まどかも参加し、合計５人で遊びに行くことが決定した。
ただこの日曜日は佐藤の用事があるということで、(カーディガンを受け取りに僕の家に来ることになったらしい)次の日曜にということで話はまとまった。