修行のため、女装して高校に通っています

らいち

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第六章

戸惑い 2

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「そう言えば夏の公演の日程、正式に決まったってよ」
「そうなんだ、いつから?」
「8月1日から23日までだって。公演は昼のみで、12時半開演らしいよ。場所は東北第二ホテルだって」
「ホテルってことは、宿泊プランか…。じゃあ、もう予約受付始まってるよな」
「うん、そうみたい」

じゃあ、梓にも連絡しなきゃだな。

「…姉さん、もしかして佐藤に連絡した?」
「えっ!?」
僕の不意打ちの質問にかなり動揺したのか、姉さんは素っ頓狂な声を上げた。

「あー、連絡済なんだね。はいはい」
「ちょっと…。まだ何にも言ってないけど」
「んー、だって顔見たら分かるし。姉さん今、佐藤とどうなってるの?」
「ど、どうって…。あの、実はね…昨日…付き合ってほしいって…」
「え!? てことは、晴れて恋人同士になったんだ!」
「うん…」
姉さんは照れくさそうに笑う。

「おめでとー! やったね! でも水臭いなあ。何で教えてくれなかったんだよ!」
「…言おうと思ったんだけど、なんかちょっと照れちゃって…」

そういう姉さんの顔はほんのりと赤くて、凄く幸せそうだ。明日は佐藤によくやったと言ってやろう。
僕の心もさっきまでとは一変して、ほっこりと暖かくなるのを感じていた。


そして翌日、登校中。

「佐藤君おはよー」
明るくにこやかに元気よく、僕は佐藤に朝のご挨拶。

「お、おう。おはよう由紀」

朝からの、あまりにテンションの高い僕に違和感を覚えたのか、若干引き気味の佐藤がタジタジと返事をする。

「ねえねえ佐藤君」
ちょっと意地悪な気分になった僕は、佐藤のシャツをつんつんと軽く引っ張りながら詰め寄った。

「…なんだよ」
「あ、違った。お義兄さんおはよう」

にーっこりと笑う僕を見て、佐藤は途端に真赤になった。

「何言ってんだ! 気が早…っ。て、そうじゃなくて…」

珍しく慌てる佐藤が、何だかとてつもなく可愛らしい。あー、良いなあ、普段隙のない奴の慌てる姿って。
だけどなんだ、ムッとした顔すらかっこいいじゃねーかこの野郎。

「…お前」

あれ?
お義兄さん、声が低いですよ?
ああ、からかわれてると気づいて機嫌損ねちゃいました?

「ああもう、腹立つなあ。由紀に遊ばれるなんてガラじゃねえぞ」
「あはは。ごめん、ごめん。だって嬉しかったんだよ。姉さんと佐藤には早くくっついて欲しいと思ってたからさ」

そう言うと、佐藤は目を細めて優しい顔になった。

「…そうか。ありがとな」
「ううん。僕の方こそ、姉さんの事よろしくな」
「おう」

僕の言葉に、今度は佐藤は真剣な顔で、しっかりと頷いた。
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