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第四章
恐ろしい会話
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高遠さんに別れを切り出されてから、一週間が経とうとしていた。
あれから何度も何度も、あの時の高遠さんの言葉を思い出し、呆れるくらい一人で泣いた。あの冷たく容赦ない私への言葉を思えば、どんなに受け止められないものだとしても黙って諦めて受け入れるしかない。たとえどんなに心臓が壊れるくらいに激しく鳴り、冷や汗が流れ、狂いそうになったとしても。
――だけど、一瞬見せたあの高遠さんの苦しそうな表情。
あれがどうしても引っかかってしまって、私の諦めたくないという思いに拍車をかけていた。
机の上に置かれている携帯電話に目を向けた。
迷惑だと思われるだろうことは分かっている。そしてもしも、私が感じたあの高遠さんの苦しそうな表情が、私のとんだ勘違いだとしたら……。滑稽なんかじゃ済まされない、ストーカーのような行動になってしまう。
そうだとしても……。
腰を浮かして手を伸ばし、私は携帯電話を手に取った。高遠さんの電話番号をタップしてコール音を聞く。
何度も何度も鳴り続けるコール音。だけど高遠さんが出る気配はなかった。
ため息が零れた。自然と重くなる気持ちに、部屋に籠っていられなくなって、私は坂崎さんに何か飲み物でも頼もうかと部屋を出た。
私の部屋の斜め向かいに、お父様の書斎がある。そこを通り過ぎようとした時、書斎から漏れ聞こえたお父様の言葉にびっくりして足が止まった。
いつもはしっかりと閉じられているはずの書斎の扉が、きちんと閉まっていないせいで、そこから声が漏れ聞こえていた。
「……確認した。お前が撮ったのは、うちの社員の高遠だ」
え? 高遠さん?
誰かが訪ねて来た気配は無いので、おそらく電話での会話だろう。
妙な胸騒ぎがしたので、私はドアに耳を近づけて聞き耳を立てた。だけど先ほどより声のトーンを低くしたようで、うまく言葉を拾えない。
それでも私は、お父様が高遠さんの何について話しているのかが気になって、全神経を耳に集中させた。
「どういう素性なのか……、桐子にも接近してて……」
素性って……。
変な良い方をするお父様に眉を顰めて、さらになるべく総ての会話を聞き取りたく、また耳に神経を集中させる。
「やばいかもしれないな。何か企んでいるのかもしれないし、……を知っているのかもしれない」
なに? 肝心の所が聞き取れなかった。
「早いとこ始末……、そうだな。俺が動くと警戒されるから、お前が始末しろ。……分かった、それ相応に金はやる」
――!?
一瞬、体が凍ったのかと思った。そのくらい私の体は竦み、手からも背中からも冷や汗が流れ、体が震え出した。
どういうことなの? 高遠さんを始末だなんて、いったいどういうこと?
余りの恐ろしさに息を殺して、両手で口元を覆った。
ガクガクと震えながら、さらに話の続きを聞かなければと耳をそばだてたが、続きは一向に聞こえなくなっていた。もしかしたら電話を切ったのかもしれない。
私は立ち聞きしてしまったことをお父様に知られるのを恐れて、そのまま口元を手で覆いながら足音を忍ばせ、そっと自分の部屋に戻った。
あれから何度も何度も、あの時の高遠さんの言葉を思い出し、呆れるくらい一人で泣いた。あの冷たく容赦ない私への言葉を思えば、どんなに受け止められないものだとしても黙って諦めて受け入れるしかない。たとえどんなに心臓が壊れるくらいに激しく鳴り、冷や汗が流れ、狂いそうになったとしても。
――だけど、一瞬見せたあの高遠さんの苦しそうな表情。
あれがどうしても引っかかってしまって、私の諦めたくないという思いに拍車をかけていた。
机の上に置かれている携帯電話に目を向けた。
迷惑だと思われるだろうことは分かっている。そしてもしも、私が感じたあの高遠さんの苦しそうな表情が、私のとんだ勘違いだとしたら……。滑稽なんかじゃ済まされない、ストーカーのような行動になってしまう。
そうだとしても……。
腰を浮かして手を伸ばし、私は携帯電話を手に取った。高遠さんの電話番号をタップしてコール音を聞く。
何度も何度も鳴り続けるコール音。だけど高遠さんが出る気配はなかった。
ため息が零れた。自然と重くなる気持ちに、部屋に籠っていられなくなって、私は坂崎さんに何か飲み物でも頼もうかと部屋を出た。
私の部屋の斜め向かいに、お父様の書斎がある。そこを通り過ぎようとした時、書斎から漏れ聞こえたお父様の言葉にびっくりして足が止まった。
いつもはしっかりと閉じられているはずの書斎の扉が、きちんと閉まっていないせいで、そこから声が漏れ聞こえていた。
「……確認した。お前が撮ったのは、うちの社員の高遠だ」
え? 高遠さん?
誰かが訪ねて来た気配は無いので、おそらく電話での会話だろう。
妙な胸騒ぎがしたので、私はドアに耳を近づけて聞き耳を立てた。だけど先ほどより声のトーンを低くしたようで、うまく言葉を拾えない。
それでも私は、お父様が高遠さんの何について話しているのかが気になって、全神経を耳に集中させた。
「どういう素性なのか……、桐子にも接近してて……」
素性って……。
変な良い方をするお父様に眉を顰めて、さらになるべく総ての会話を聞き取りたく、また耳に神経を集中させる。
「やばいかもしれないな。何か企んでいるのかもしれないし、……を知っているのかもしれない」
なに? 肝心の所が聞き取れなかった。
「早いとこ始末……、そうだな。俺が動くと警戒されるから、お前が始末しろ。……分かった、それ相応に金はやる」
――!?
一瞬、体が凍ったのかと思った。そのくらい私の体は竦み、手からも背中からも冷や汗が流れ、体が震え出した。
どういうことなの? 高遠さんを始末だなんて、いったいどういうこと?
余りの恐ろしさに息を殺して、両手で口元を覆った。
ガクガクと震えながら、さらに話の続きを聞かなければと耳をそばだてたが、続きは一向に聞こえなくなっていた。もしかしたら電話を切ったのかもしれない。
私は立ち聞きしてしまったことをお父様に知られるのを恐れて、そのまま口元を手で覆いながら足音を忍ばせ、そっと自分の部屋に戻った。
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