不思議な縁に導かれました

らいち

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第二章

躾けちゃいなさいよ。……いや、ムリ

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 自分の格好にすら無頓着な高科さんなので大体の予想はついていたけれど、ここまで色んなことに関して興味がない人だとは思ってもみなかった。高科さんが意識して出来ることは、どうやら風呂に入ることと洗濯機を廻すことくらいのようだ。

  高科さんは日曜も、ほぼ自室に籠っていた。私がお昼ご飯や夕ご飯に呼び付けるから、渋々部屋を出て食事を取りには来ていたけれど。あの調子だと今までは、休日はずっと部屋に籠りっきりだったんじゃないだろうか。

 月曜の朝は、様子がわからないので早めに起きてみた。一応、高科さんの出社時間とほぼ一緒なので、送ってもらうことにはなっているのだけど、それよりも心配なのは高科さんが朝食を取る時間を考えた支度をしてくれるかどうかだった。
  朝食の支度を終え、そろそろ高科さんを呼ぼうかと思ったところで階段を降りてくるスリッパの音が聞こえて来た。

「良かった! 今起こしに行こうかと思っていたところだったんです」
「……ああ。白山さんか。……おはよう」

 どうやらまだ寝ぼけているみたいだ。

「おはようございます。顔を洗って来て下さい。ご飯の支度出来てますよ」
「いや、俺は……」
「ほらほら、早く顔洗って来て下さい」

 ご飯の支度という言葉に戸惑う素振りを見せた高科さんを、有無を言わさず洗面所に追いやった。そして出来たてほやほやの朝食をテーブルに並べる。今日のメニューはご飯に豆腐とわかめの味噌汁、それと卵焼きと胡瓜の酢の物だ。

 席に着いて待っていると、さっぱりと目を覚ました感じの高科さんがこちらに向かって歩いてきた。

「じゃ、いただきましょうか」

 パンと手を合わせる私を横目で見て、高科さんも大人しく席に着いた。だけど箸に手を付けず、ボサボサの髪を掻いている。

「嫌いなものでもありましたか?」

 気まずそうにしているその理由の大体の見当はついているのだけど、あえて素知らぬふりで尋ねた。

「いや……、その」
「なんですか?」

 私の、何が言いたいのかさっぱり分かっていないと言ったていの質問に、一瞬息を呑むような仕草をした後、高科さんは思い切ったように口を開いた。

「朝からこんなには食べられない。俺の朝食はパン一枚でい……」
「却下です」
「いや、でもな……」

 高科さんはテーブルに並べられた朝食を見て、明らかに困惑していた。確かに、今までほとんど食べていなかった朝食を、いきなりたくさん食べろと言われても困るかもしれない。

「じゃあ、ご飯を半分に減らしてきます。後はなんとか頑張れますよね? って言うか、頑張って下さい」
「……わかった」

 高科さんは半分になったご飯を手に取り、半ば諦めたように箸を取る。溜息を吐きながら箸を進める高科さんに、私は心の中で苦笑した。
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