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異変
夢の正体 2
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「じゃあね、いづみ。バイバイ」
「バイバイ、真奈美」
いつもの帰り道。真奈美と別れて、独りで家路を急ぐ。
すると目の前に、とてつもなく綺麗な女の人が現れた。
びっくりして立ち止まったら、凄い顔で睨みつけられた。
綺麗な女性、しかも敵意。これはもう嫌な予感しかしない……。
多分、大石君絡みだ。
「あなた、倉橋いづみよね?」
「……そう、ですけど……」
肯定すると、ぶしつけにじろじろと見られた。居心地が悪くて少し後ずさる。
そんなあたしにその女性は眉を寄せて訝しげな顔をした。
「あなた、本当に人を殺したの?」
「……え?」
思いもよらない言葉に、一瞬何を言われたのか理解が出来なかった。
人を、殺し……?
びっくりして目を丸くするあたしに、女性は目を眇める。
「サモン様が、スイーク様にそう言ってたのよ。あんたにサモン様の血が入っていて、人を殺したと」
……大石君が、そう言った……?
心臓が一瞬にして凍りついたかと思った。血の気が引いて、手が震える。
立っているのもやっとで、目の前の魔女を只々呆然と見ていた。
「……その分じゃ、記憶にないって言った感じね」
――あ…。
不意に脳裏を過ぎる映像。
あたしが嬉々として大石君の刃を持って男を追いかける、あの奇妙な夢。
まさかあれは本当に起こったこと……?
やけに生々しかったのは、そのせいなの?
だけど、人を殺したって……。
それを大石君が言ったって、……どういうこと?
嫌な汗が流れる。
あたしの事を一番に考えてくれている大石君が、自分に内緒で何かを企んでいるの……?
混乱していると魔女が近づいてきて、大石君も持っている鉄製のような円状の刃物を渡そうとした。
「覚えてないんなら証明してもらうしかないわね。ほら」
「え……?」
「殺ってよ。誰か。そしたら信じてあげるから」
「な、何言ってるの……」
恐ろしい言葉に、体がガクガクと震え始めた。
「そうじゃないと、認めないわよ! ほら」
「い、嫌……」
魔女があたしの手を取り刃を握らせようとする。それをとっさに手を後ろにやることで逃れて、震える足で後ずさった。
その時、魔女がハッとしたような顔をして動きを止めた。
そして背後からいきなり抱きしめられてびっくりする。
「リデア、何でお前がここに居る」
それは、怒りに満ちた大石君の声だった。
「あ……」
あたしは混乱していた。いつもならどんな時でも守ってくれるそんな彼の存在に、安心してホッとするところなのに……。
あたしは先ほどの魔女の言葉が気になって、大石君が来てくれたことに安心していいのか、裏切られたと思うべきなのか分からなくなっていた。
「サモン様、私は……」
「帰れ。二度といづみに近づくな」
リデアは悔しそうな顔であたしを睨み、そして消えて行った。
大石君が、あたしを抱く腕の力を強める。そしてあたしの髪に顔をうずめた。
「……どう、いうこと……?」
リデアの言葉が耳から離れない。
大石君が何を考えているのか分からない。
「あたし、本当に人を殺したの? 大石君の血が入っているって何? ……だから、だから十字架も怖くなっちゃったの?」
大石君の顔を見上げると、苦しそうな顔をしていた。
「いづみ……、ごめんな。だけど俺は、お前のためにならない事は絶対にしない。それだけは信じてくれ」
大石君があたしの頭を両手で覆う。そして軽く力を込めた。
と、同時に意識が朦朧としてくる。
……何?
今、なにをしたの……?
――意識はそこでぷつりと途絶えた。
「バイバイ、真奈美」
いつもの帰り道。真奈美と別れて、独りで家路を急ぐ。
すると目の前に、とてつもなく綺麗な女の人が現れた。
びっくりして立ち止まったら、凄い顔で睨みつけられた。
綺麗な女性、しかも敵意。これはもう嫌な予感しかしない……。
多分、大石君絡みだ。
「あなた、倉橋いづみよね?」
「……そう、ですけど……」
肯定すると、ぶしつけにじろじろと見られた。居心地が悪くて少し後ずさる。
そんなあたしにその女性は眉を寄せて訝しげな顔をした。
「あなた、本当に人を殺したの?」
「……え?」
思いもよらない言葉に、一瞬何を言われたのか理解が出来なかった。
人を、殺し……?
びっくりして目を丸くするあたしに、女性は目を眇める。
「サモン様が、スイーク様にそう言ってたのよ。あんたにサモン様の血が入っていて、人を殺したと」
……大石君が、そう言った……?
心臓が一瞬にして凍りついたかと思った。血の気が引いて、手が震える。
立っているのもやっとで、目の前の魔女を只々呆然と見ていた。
「……その分じゃ、記憶にないって言った感じね」
――あ…。
不意に脳裏を過ぎる映像。
あたしが嬉々として大石君の刃を持って男を追いかける、あの奇妙な夢。
まさかあれは本当に起こったこと……?
やけに生々しかったのは、そのせいなの?
だけど、人を殺したって……。
それを大石君が言ったって、……どういうこと?
嫌な汗が流れる。
あたしの事を一番に考えてくれている大石君が、自分に内緒で何かを企んでいるの……?
混乱していると魔女が近づいてきて、大石君も持っている鉄製のような円状の刃物を渡そうとした。
「覚えてないんなら証明してもらうしかないわね。ほら」
「え……?」
「殺ってよ。誰か。そしたら信じてあげるから」
「な、何言ってるの……」
恐ろしい言葉に、体がガクガクと震え始めた。
「そうじゃないと、認めないわよ! ほら」
「い、嫌……」
魔女があたしの手を取り刃を握らせようとする。それをとっさに手を後ろにやることで逃れて、震える足で後ずさった。
その時、魔女がハッとしたような顔をして動きを止めた。
そして背後からいきなり抱きしめられてびっくりする。
「リデア、何でお前がここに居る」
それは、怒りに満ちた大石君の声だった。
「あ……」
あたしは混乱していた。いつもならどんな時でも守ってくれるそんな彼の存在に、安心してホッとするところなのに……。
あたしは先ほどの魔女の言葉が気になって、大石君が来てくれたことに安心していいのか、裏切られたと思うべきなのか分からなくなっていた。
「サモン様、私は……」
「帰れ。二度といづみに近づくな」
リデアは悔しそうな顔であたしを睨み、そして消えて行った。
大石君が、あたしを抱く腕の力を強める。そしてあたしの髪に顔をうずめた。
「……どう、いうこと……?」
リデアの言葉が耳から離れない。
大石君が何を考えているのか分からない。
「あたし、本当に人を殺したの? 大石君の血が入っているって何? ……だから、だから十字架も怖くなっちゃったの?」
大石君の顔を見上げると、苦しそうな顔をしていた。
「いづみ……、ごめんな。だけど俺は、お前のためにならない事は絶対にしない。それだけは信じてくれ」
大石君があたしの頭を両手で覆う。そして軽く力を込めた。
と、同時に意識が朦朧としてくる。
……何?
今、なにをしたの……?
――意識はそこでぷつりと途絶えた。
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