5 / 22
第二話
買い物は官能的なのか1
しおりを挟む快晴の空の下、俺達の日曜日は始まった。
達、と言っても俺一人なのだが、まぁそこは置いておいて。
とにかく、学生にとって日曜日とは、全ての柵から解放された癒しの一時なのだ。
土曜の夜は見たかった漫画、アニメ、小説を拝見し、オンラインゲームに夢中になり、気が付けば朝。
輝かしい太陽の光を浴びながら就寝し、お昼過ぎに目覚める。
あぁ、自分はなんて無駄な時間を過ごしてしまったのだろうか。
残りの時間はもっと有意義に使おう、と後悔するのもまた一興。
思うだけであり、その後もダラダラと過ごし、夜になれば一発抜いてからふかふかの布団の中で瞳を閉じる。
贅沢極まりない瞬間、生きていてよかったと思える曜日。
それこそが、日曜日なのである。
しかし、しかしだ。
今日の俺は『贅沢な時間』の使い方を許されなかった。
土曜日の夜は早く寝て、日曜日の朝も早く起きる。
身支度をし、丁寧に髪型をセットした。
適当な服しかなかったけど、これでいいのか……?
いや、今更足掻いても仕方がない。ありのままの自分で行こう。
「あれ、おにぃ珍しいね」
洗面所で顔を洗っていると後ろから妹の声がした。
名前を楠 林檎。年は一つ下、つまり高校一年生。
バトミントン部に所属している。
「あぁ、ちょっとな。林檎はこれから部活か?」
「うん、今日は練習試合があって」
小さな背丈でぴょんと小さく跳ね、背負ったカバンを揺らして見せる。同時に後ろにまとめられたポニーテールも揺れた。
家族贔屓かもしれないが、とても元気の良く可愛らしい素直な女の子になってくれた、と思う。
俺みたいな陰湿な兄にも明るく接してくれるのだから。
「頑張れよ、俺も頑張るから」
「え、おにぃ部活とかやってないよね?」
「だが、今日は戦いなんだ。漢の、な」
「……おにぃ、一人で笑って、ちょっとキモいよ?」
「ふ、ふふふ、ふふふ」
そう、今日は戦いの日。
この間、フランクフルトを勝手に食べた償いに、茜さんからショッピングに付き合うよう強制されているのだ。
相手のテリトリーに強制的に連れ込まれてしまうという不利な状況。
気合をいれなければならない。
「なんだかとっても楽しそうだね、そんなおにぃ久しぶりに見たよ」
「ん、そうか?」
「なんだかちょっと寂しい気もするけど……応援してるからね」
「あぁ、ありがとう、きっと勝つよ。林檎も勝ってこい」
「うん!! それじゃあ行ってくるね!」
「行ってらっしゃい」
林檎はグッと親指を俺に向けると、玄関を飛び出していった。
時計を確認するともう少しで約束の時間。
俺も急いで準備を終わらせないとな。
……茜さんの私服、ちょっと楽しみかもしれない。
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる