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第二話
買い物は官能的なのか7
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「あれあれ~? どうしたのかなぁ、真一くん~」
「し、白だ。白い方が……いいと思うッ!!」
「……こういうのが好みなんだ」
「違う、好みと言うか茜さんに似合うと思った。だがッ」
「真一くん、少し立ってみなよ」
絶望の一言だった。
今、起立した場合、他の部分も起立してしまっているのがバレる。
もう、バキバキレベルじゃあない。
白下着の茜さんを想像し、『完全《パーフェクト》勃起《ビルド》』していた。
しかも、隣には妹がいる。妹の前で辱めを受けてしまう。
「足がつった」
「本当に? だったら病院連れて行ってあげるから、肩かして」
「……」
「どうしたの、早く」
「おにぃ、大丈夫?」
下手な嘘は状況を更に悪化させてしまう。
これ以上、時間稼ぎは無理か。
俺は負けてしまうのか、彼女との関係もこれで終わりになってしまうのか。
嫌だ、まだ終わらせたくない……俺は、まだこれからだ。
できることは、祈り。神様、助けてくれ。
「う、うぅぅ……ッ!!」
満員電車の中で急な腹痛に襲われた時並みの無力感の中、俺はただただ神様に祈った。
そして──その願いは天に届く。
「ん、あッ、ちょっとごめん」
突然茜さんのスマホが鳴り、画面を確認するなりその場から離れて行ったのだ。助かった、ありがとう神様。
この時間の間に宇宙の真理について思考を巡らせ、性欲を落ち着かせる。よし、収まってきた。
ありがとう、神様。これでまだ、俺の青春を続けられる。
……しかし、一体茜さんはどうしたというのだろう。
なんだか血相変えて店から飛び出していったが……普通の電話なら、ここでしても構わないと思うのに。
そんな心配をしていると、暫くして戻って来るや、彼女は両手を合わせて頭を下げた。
「ごめーん、二人とも。急な用事できちゃった。もっと行きたいとこあったけど、今日はこの辺で」
「今日は楽しかったです、夏希さん! また一緒に買い物行きましょう!」
「うん、私も楽しかった。また行こうね、林檎ちゃん、真一くん、それじゃ!」
「また明日、学校で」
それだけ言い残し、慌ただしく去っていく茜さん。
助かった、と思う反面、心の中に違和感が残った。
さっきの表情、上手く言えないけど、何かに怯えているような感じがした。
詮索するべきではないことなんだろうけど、やっぱり気になる。
「おにぃ、私達も帰ろうか」
「……あぁ、そうだな」
残された俺達は店を出て一緒に帰路につく。
時刻は18時、人の少ない通りを夕日が照らしていた。
林檎も茜さんに違和感を感じたのか、少し神妙な面持ちで口を開いた。
「初めて会ったけど、噂とは全然違う人だったよ、夏希さん」
「知ってたのか、茜さんのこと」
「そりゃー超有名人ですから。私達の学年の男子達も、皆話してるよ」
「……林檎は、どう思う?」
そう問いかけると林檎は「妹に答えを聞かないでよ」と笑って帰してきた。俺が不安で問いかけたこと、見透かされたようだ。
「大体、私の方が聞きたいよ。どうして夏希さんと付き合ってるフリなんかしてたの」
「やっぱり、気が付いてたか」
「そりゃあ女っ気の無い兄が、急にあんな美女と付き合えるわけないじゃん」
「手厳しいな、だが、その通りだ。俺と茜さんは付き合ってもなければ、友達でも……いや、俺は友達だと思ってる、かな。茜さんは友達と思ってくれてないと思うけど」
「はぁ……おにぃ、もっと自信持った方がいいよ?」
「そうか?」
「普通、嫌いだったり興味がない男の事を『彼氏です』なんて嘘でも言わないから」
「でも、揶揄ってるだけかも」
「分かってる? それ、夏希さんにも失礼な事言ってるって」
「──ぅ、確かに……」
言われてみればそうだ。
初めて出会った時ならまだしも、今はあの時よりも彼女の事を知っている。
ただ揶揄う為だけにお弁当を作ってくれたり、一緒に買い物に行くわけがない。
何より、俺に見せてくれた笑顔が嘘だとは思えない。思いたくない。
「おにぃ、私は夏希さんのこと、良い人だと思うよ。けど、それはあくまでも私の考え、おにぃはおにぃで夏希さんをどう思うのか、これからどうしていきたいのか、ちゃんと考えないと」
「どうしていきたいか、か」
「ま、中々答えなんてでるもんじゃないし、ゆっくり考えていけばいいんじゃない? 相談なら乗るよ」
「実の妹しか相談相手がいないの、悲しいな……林檎も、悩みがあったら俺に──」
「あ、私は友達とか沢山いるから大丈夫」
「……はぃ」
俺とは対照的に、林檎はクラスの人気者。
天真爛漫で嫌みの無い性格をしているから、必然といえば必然だ。
どうして兄妹でここまで差ができてしまったのか。
でも、林檎がいてくれて助かった。
偶然出くわした時は最悪なタイミングだと思ったけど、最高の間違いだったかもしれないな。
「ありがとう、俺なりにちゃんと考えるよ」
「そーしんしゃい、そーしんしゃい。ところで、おにぃ?」
「ん、どうした?」
「さっき、どうして鼻を抑えてたの?」
「……」
「ねぇ、どうして? 後、凄い内股になってたけど、なんで?」
純粋な眼差し。茜さんのように挑発しているんじゃない。
ただ、ただただ分からないから聞いてきている。
あっちもヤバいが、こっちもかなりヤバい。
こうなった林檎は、めちゃくちゃしつこい。誤魔化せない。
だが「俺の息子がビンビンでね!」なんて、正直に言えるわけない。
「ねぇねぇ、なんで?」
「……」
「なんでなんで? おにぃ──ぁ、おにぃ!! なんで逃げるの!! おにぃ、おにぃいいいいッ!!」
前言撤回。最悪なタイミングで、俺は妹に出会ってしまった。
「し、白だ。白い方が……いいと思うッ!!」
「……こういうのが好みなんだ」
「違う、好みと言うか茜さんに似合うと思った。だがッ」
「真一くん、少し立ってみなよ」
絶望の一言だった。
今、起立した場合、他の部分も起立してしまっているのがバレる。
もう、バキバキレベルじゃあない。
白下着の茜さんを想像し、『完全《パーフェクト》勃起《ビルド》』していた。
しかも、隣には妹がいる。妹の前で辱めを受けてしまう。
「足がつった」
「本当に? だったら病院連れて行ってあげるから、肩かして」
「……」
「どうしたの、早く」
「おにぃ、大丈夫?」
下手な嘘は状況を更に悪化させてしまう。
これ以上、時間稼ぎは無理か。
俺は負けてしまうのか、彼女との関係もこれで終わりになってしまうのか。
嫌だ、まだ終わらせたくない……俺は、まだこれからだ。
できることは、祈り。神様、助けてくれ。
「う、うぅぅ……ッ!!」
満員電車の中で急な腹痛に襲われた時並みの無力感の中、俺はただただ神様に祈った。
そして──その願いは天に届く。
「ん、あッ、ちょっとごめん」
突然茜さんのスマホが鳴り、画面を確認するなりその場から離れて行ったのだ。助かった、ありがとう神様。
この時間の間に宇宙の真理について思考を巡らせ、性欲を落ち着かせる。よし、収まってきた。
ありがとう、神様。これでまだ、俺の青春を続けられる。
……しかし、一体茜さんはどうしたというのだろう。
なんだか血相変えて店から飛び出していったが……普通の電話なら、ここでしても構わないと思うのに。
そんな心配をしていると、暫くして戻って来るや、彼女は両手を合わせて頭を下げた。
「ごめーん、二人とも。急な用事できちゃった。もっと行きたいとこあったけど、今日はこの辺で」
「今日は楽しかったです、夏希さん! また一緒に買い物行きましょう!」
「うん、私も楽しかった。また行こうね、林檎ちゃん、真一くん、それじゃ!」
「また明日、学校で」
それだけ言い残し、慌ただしく去っていく茜さん。
助かった、と思う反面、心の中に違和感が残った。
さっきの表情、上手く言えないけど、何かに怯えているような感じがした。
詮索するべきではないことなんだろうけど、やっぱり気になる。
「おにぃ、私達も帰ろうか」
「……あぁ、そうだな」
残された俺達は店を出て一緒に帰路につく。
時刻は18時、人の少ない通りを夕日が照らしていた。
林檎も茜さんに違和感を感じたのか、少し神妙な面持ちで口を開いた。
「初めて会ったけど、噂とは全然違う人だったよ、夏希さん」
「知ってたのか、茜さんのこと」
「そりゃー超有名人ですから。私達の学年の男子達も、皆話してるよ」
「……林檎は、どう思う?」
そう問いかけると林檎は「妹に答えを聞かないでよ」と笑って帰してきた。俺が不安で問いかけたこと、見透かされたようだ。
「大体、私の方が聞きたいよ。どうして夏希さんと付き合ってるフリなんかしてたの」
「やっぱり、気が付いてたか」
「そりゃあ女っ気の無い兄が、急にあんな美女と付き合えるわけないじゃん」
「手厳しいな、だが、その通りだ。俺と茜さんは付き合ってもなければ、友達でも……いや、俺は友達だと思ってる、かな。茜さんは友達と思ってくれてないと思うけど」
「はぁ……おにぃ、もっと自信持った方がいいよ?」
「そうか?」
「普通、嫌いだったり興味がない男の事を『彼氏です』なんて嘘でも言わないから」
「でも、揶揄ってるだけかも」
「分かってる? それ、夏希さんにも失礼な事言ってるって」
「──ぅ、確かに……」
言われてみればそうだ。
初めて出会った時ならまだしも、今はあの時よりも彼女の事を知っている。
ただ揶揄う為だけにお弁当を作ってくれたり、一緒に買い物に行くわけがない。
何より、俺に見せてくれた笑顔が嘘だとは思えない。思いたくない。
「おにぃ、私は夏希さんのこと、良い人だと思うよ。けど、それはあくまでも私の考え、おにぃはおにぃで夏希さんをどう思うのか、これからどうしていきたいのか、ちゃんと考えないと」
「どうしていきたいか、か」
「ま、中々答えなんてでるもんじゃないし、ゆっくり考えていけばいいんじゃない? 相談なら乗るよ」
「実の妹しか相談相手がいないの、悲しいな……林檎も、悩みがあったら俺に──」
「あ、私は友達とか沢山いるから大丈夫」
「……はぃ」
俺とは対照的に、林檎はクラスの人気者。
天真爛漫で嫌みの無い性格をしているから、必然といえば必然だ。
どうして兄妹でここまで差ができてしまったのか。
でも、林檎がいてくれて助かった。
偶然出くわした時は最悪なタイミングだと思ったけど、最高の間違いだったかもしれないな。
「ありがとう、俺なりにちゃんと考えるよ」
「そーしんしゃい、そーしんしゃい。ところで、おにぃ?」
「ん、どうした?」
「さっき、どうして鼻を抑えてたの?」
「……」
「ねぇ、どうして? 後、凄い内股になってたけど、なんで?」
純粋な眼差し。茜さんのように挑発しているんじゃない。
ただ、ただただ分からないから聞いてきている。
あっちもヤバいが、こっちもかなりヤバい。
こうなった林檎は、めちゃくちゃしつこい。誤魔化せない。
だが「俺の息子がビンビンでね!」なんて、正直に言えるわけない。
「ねぇねぇ、なんで?」
「……」
「なんでなんで? おにぃ──ぁ、おにぃ!! なんで逃げるの!! おにぃ、おにぃいいいいッ!!」
前言撤回。最悪なタイミングで、俺は妹に出会ってしまった。
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