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学園編
これもある意味修羅場なのか何なのか
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「おいウィルヘルミナ! 昼食にするぞ、ついてまいれ!!」
なんかこれ、デジャヴを感じませんか?
昨日は散々サーシャさん様に付き合わされたなと思い出しながら学校に行き、授業を受けてお昼を迎えると。
椅子から立ち上がった瞬間そんな大声が聞こえてきて「は?」ってなった。
この声、昨日めちゃくちゃお聞きしましたやつですけれど。
「で、……殿下」
やはり視界に映ったのはサーシャだった。教室のドアの前でふん、と腕を組んでいる。
後ろにはいつも通り、カリュさんが控えていた。
「早く来んか!」
「いやいやあのちょっっとお待ちいただけません?!」
思わず額に手を当てる。ちょっと待ってくれ。状況がまず飲み込めてない今しばらく時間がほしい。
何で。今。彼は私を昼食の場に連れて行こうとしているのか。
何故、呼ばれるのがヒロインではないのか?!
「殿下、やはり突然教室に来てお誘いするのはいけなかったのでは……」
「何故だ? 余直々に声をかけにきてやったのだぞ。喜んでついてくるのが当然であろう」
相変わらずの俺様余様なキングっぷりである。もうアイツ誰かどうにかして。
だが、この状況をいつまでも放置し現実逃避をしているわけにもいかない。教室の視線という視線が私に集まってきているのをひしひしと感じているからだ。
死ぬほど重い腰を上げ、サーシャの待つ扉付近へと歩いていく。
「そなた、来るのが遅いぞ」
「すみません……」
何で私が謝らにゃならんのか。悲しき身分の差よの。
「……あの、一つお聞きしたいのですが、何故私をお誘いに……?」
「気分だ!!」
声でかいよだからぁ!! 私も人のこと言えた立場じゃないけどぉ!!
そして気分。気分か。どういう気分なのか、てえてえ立場ではない元庶民の私にはまっったく理解できませんね。
ただ言いたいことが一つ。
そんな気分を持ってくるな。
「さぁゆくぞ!」
意気揚々と私の腕を掴み連れて行こうとするサーシャ。おいおい待て待て待て!! やめろ!!
「で、殿下! お待ちください! まず私の話を」
「ふーむ、そなたにそう呼ばれるのは些か面白くないな。昨日のようにサーシャと、名で呼べ」
「わぁぁぁあ?! こんなとこで何言ってるんですか!!」
もうお前喋るな!! そして手を離せ!!
「はっはっは、照れずともよい。もうそなたと余は他人の仲ではないであろう?」
「どういう意味です?! ちょっ、とりあえずは、な、し、て! くだッ、さい~~……ッ!!」
今の私、完全に「散歩から帰りたくない柴犬」の図です。
そんな感じでわぁわぁやっていると、突然サーシャの肩がぽん、と誰かに掴まれるのが見えた。
え、誰?
「……大変失礼ながら、殿下。僕の婚約者に何か御用で……?」
……何故かめちゃくちゃ怖い空気を纏わせたユーリでした。
背後に鬼が見える。多分気のせいとちゃいますね。
*
「ふん。折角ウィルヘルミナを昼食に誘ったというのに、まさか婚約者までついて回ってくるとはな」
とか言いながらご飯を食べているサーシャ。
何なんだその不本意そうな態度は。
……ていうかさぁ。
もっかい言うけど。もう何度でも言わせてもらうけど。
誘う相手が違うんだよ!! キレるぞ?!
まぁ、なんかユーリとサーシャが揉めてる間に私は瞬速で間を抜けて困ったように眺めていた大天使の元へ行ったがな。
そして当然彼女も一緒に、こうして薔薇の宮にて昼食を摂っている。
一方、私から昨日の出来事を聞かされて、さっきの私と同じように額に手を当てて悩ましそうにしているユーリくんです。
「……ウィラ、殿下と外へ遊びに行ったこと、どうして僕に言わなかったんですか……」
「ち、違います!! 言おうとしてました、今日!! お昼時に!! そしたら……」
ちらりと横目で見る。そこには我関せずなサーシャが。
大体の流れを察したらしいユーリは大きなため息をついた。
「一応お話しておきますが、婚約者が居る身で他の男性と遊びに行ったりするのは、この国の貴族においてあまり良くないことなんですよ」
「……は、はい……知って、ます……」
「まぁ、相手が隣国の王太子ということもあり、あなたが断れずそのまま付き合うハメになってしまったというのは容易に想像つきますけど……」
割とサーシャに対して辛辣やなユーリ。いつものロイヤルな優しさはどうしたん。
そんなことを考えていた私の顔に、ユーリが自身の美しいかんばせをずいっと近付けて、如何にも悲しげな表情を浮かべる。
「それでも、僕の立場としてはやはり、嫌な気持ちを隠せないです」
「す、すみません……」
「僕だってウィラと外へ遊びに行くことは中々出来ないことなのに、それを他の男とだなんて……、僕はとても悲しい」
「ウッ」
まるで捨てられた子犬のように目を潤ませるユーリ。
罪悪感がちくちくと心を突き刺してくる。
「あなたの婚約者は僕です。分かってくれていますよね?」
「は、はい」
「だから、僕が見るのはあなただけだし、あなたが見るのも僕だけなんですよ」
「……は、はい?」
「あなたと添い遂げるのは義兄上でも殿下でもありません。まごうことなきこの僕ただ一人です。それ以外なんて到底許せ……」
「おい、そこの」
だんだん何言ってるのか分かんなくなってきた所で横から尊大なお声がかかりました。
あと、何でユーリは私の手握ってんの?
「……何でしょう」
「ヒェッ」
怖っ!! いきなり黒いオーラ出さないでよびっくりするから!!
しかし、ユーリのそんなオーラも全く意に介さず、ふんぞり返りながらサーシャが話す。
「余と其奴が昨日行ったのは下町の視察のようなものだ。ならば、この国に留学中である余をサポートする係を担う生徒会の役員共が余についてくるのは当然であろう?」
「……お言葉ですが、殿下。彼女は僕の婚約者として、幼い頃からそう振る舞ってきました。この国では婚約者の居る女性が他の男性と親しくしすぎたり、ましてや二人で出掛けることなど、あってはならないことなのですよ」
「侍従も居たのだから二人っきりなどではない。全く、この国の男は心がよほど狭いのだな」
「ほう……?」
ヤバイ。
ユーリの額にどんどん怒りのマークが刻まれてってる気がする。
「殿下のお国は男女関係について随分と奔放な風潮があるのですね。ですがここはルルリエ王国。ここに居る以上、我が国のしきたりに従っていただかなくては」
「おいウィルヘルミナ、そなたはこのような男が好みなのか? これなら余の所へ来た方が断然楽しく過ごせるぞ。やはりうちに来て余の傍に居るのが正しい」
「おやめください殿下。ウィラは僕の婚約者です。
それに、そのようなお話が御身の口から出てしまうと、『婚約者を持っている他国の令嬢に求婚している』などといった噂が流れてしまいますよ? それはあなたにとっても本意ではないのではないですか?」
(……この二人、こんな仲悪かったっけ?)
あまりにも気まずい空気が続くので現実逃避が始まってしまった。いやもう、龍と獅子が睨み合ってるみたいだよ。二人の背後にそれぞれ見えるもん。
ゲーム中でもこんな描写はあんまり無かった気がするんだけどなぁ。逆ハーレムルートでもそこまで喧嘩とかしてなかったと思うし。
じゃあ今のこの状況は何やねんって話になるんだけども。
(……ユーリがこの国の男女関係についてしっかり教えておこうとしてるのに、サーシャがのらりくらりと躱してる気がする……)
つまり、結論。ユーリの話を聞かないサーシャが悪い。
うん、多分これだな! もう何言ってんのか分かんなくなってきて話聞くのもだるくなってきた!!
「余は別に構わんが」
「はい?」
「昨日ウィルヘルミナと接してみて分かったが、存外に面白く、笑う姿が愛らしい女だ。余のハレムに加えることも考えている故、別段そのような噂が流れようが特に構うまい。
むしろそれでそなたらの仲が拗れて婚約破棄、といった形になれば、余が此奴を引き取ってやろうぞ」
「はぁあ?!?!」
思わず身を乗り出して叫んだ。
ちょっと待て。いつの間にそんな話になっとるんじゃい!!
「殿下、アイラちゃんのことはどうするんですか!!」
「えっ」
横で小さく「えっ、私?」みたいな反応するアイラちゃんが見えたけど、そうだよ。何よりも重要なのはそこだよ!!
私のことはどうせサーシャの気まぐれとか適当に言ってるだけだろうから特に気にしてないけど、「美しい女だ」とか言ってたアイラちゃんのことはどうすんの!! そこをハッキリさせろ!!!!
私の叫びに、サーシャは目を丸くしながらこう返す。
「アイラのことか? 其奴もよき女であるし、そなたが連れてゆきたいと考えているのなら共についてきて構わぬぞ?」
「いやそうじゃなくて! 聞きたいのはそういうのではなく~~っ……!!」
言いたいのに上手い言葉が見つからないこのもどかしさ。言いたいことも言えないこんな世の中じゃ。
それにしても何だこの急な矛先の変わりようは。
まさか昨日そんなに面白いことやっちゃったんだろうか自分。王様の目を引く芸とかやった覚えないんですけど!!
「ところでそなた、愛称はウィラと言うのだな」
「え? ……そ、うですけど……それが何か」
「よし、余もこれからそなたをそう呼ぶとしよう」
「何で?!?!」
「そなたも余を名で呼ぶとよいぞ! 特別に許す!! ハハハハ!!」
何笑っとんねん。
ダメだこの王子。まるで話が通じない。
思わず脱力した所で、横から発せられる恐ろしい空気にびッ!! と身体が跳ね上がる。
……おそるおそる、隣を見ると。
「…………」
(怖ーーーーッッ!! 笑顔怖ーーーーッッ!!)
もう真っ黒も真っ黒な笑顔でユーリがサーシャを睨んでました。笑顔だけどわかる。これは睨んでるに違いねえ。
「……あ、あの……ユーリ様?」
「…………」
「殿下の言葉はただの気まぐれというか、ふざけて言っているだけだと思われるので……、そ、そんな風に怒る必要は無いかと……」
「こら、サーシャと呼べと言っているだろうウィラ」
「殿下ぁぁ?!」
あーーお客様!! お客様、この期に及んで煽るのはおやめください!! 止まってくださいお客様あーーーーッッ!!
「……サーシャ殿下」
すると、それまで笑顔で黙っていたユーリがサーシャの名を呼ぶ。
「ウィルヘルミナは、僕の妻となる女性です」
(……いや、ならないんだけど……)
「大変申し訳ありませんが、殿下の元へお渡しするわけにはまいりません。ですから、それを本気で奪おうというのなら……、僕と全面的に争う覚悟で、お願いいたします」
それを聞いて、ふ、と笑みを零すサーシャ。
「よかろう。受けて立とうではないか、その宣戦布告に」
…………。
…………え、今の、宣戦布告とかだったんですか。
「……もう訳わからん……」
「ウィルヘルミナ様! 大丈夫ですか……?!」
へなへなとソファーに倒れ込むと、大天使が心配そうに介抱しに来てくれた。
ああ、アイラちゃん。もう私頭が混乱してきて何も考えたくないから、今はひたすら君のかわいい姿を見ていたいよ……。
上を見上げれば、ユーリとサーシャが見つめ合っていて。
……その間にバチバチッと、激しい電撃のようなものが見えた気がしたけど。
うん、気のせい。
気のせいだきっと。
……気のせいなんだよ!! そういうことにさせといてくれよ、もう!!
なんかこれ、デジャヴを感じませんか?
昨日は散々サーシャさん様に付き合わされたなと思い出しながら学校に行き、授業を受けてお昼を迎えると。
椅子から立ち上がった瞬間そんな大声が聞こえてきて「は?」ってなった。
この声、昨日めちゃくちゃお聞きしましたやつですけれど。
「で、……殿下」
やはり視界に映ったのはサーシャだった。教室のドアの前でふん、と腕を組んでいる。
後ろにはいつも通り、カリュさんが控えていた。
「早く来んか!」
「いやいやあのちょっっとお待ちいただけません?!」
思わず額に手を当てる。ちょっと待ってくれ。状況がまず飲み込めてない今しばらく時間がほしい。
何で。今。彼は私を昼食の場に連れて行こうとしているのか。
何故、呼ばれるのがヒロインではないのか?!
「殿下、やはり突然教室に来てお誘いするのはいけなかったのでは……」
「何故だ? 余直々に声をかけにきてやったのだぞ。喜んでついてくるのが当然であろう」
相変わらずの俺様余様なキングっぷりである。もうアイツ誰かどうにかして。
だが、この状況をいつまでも放置し現実逃避をしているわけにもいかない。教室の視線という視線が私に集まってきているのをひしひしと感じているからだ。
死ぬほど重い腰を上げ、サーシャの待つ扉付近へと歩いていく。
「そなた、来るのが遅いぞ」
「すみません……」
何で私が謝らにゃならんのか。悲しき身分の差よの。
「……あの、一つお聞きしたいのですが、何故私をお誘いに……?」
「気分だ!!」
声でかいよだからぁ!! 私も人のこと言えた立場じゃないけどぉ!!
そして気分。気分か。どういう気分なのか、てえてえ立場ではない元庶民の私にはまっったく理解できませんね。
ただ言いたいことが一つ。
そんな気分を持ってくるな。
「さぁゆくぞ!」
意気揚々と私の腕を掴み連れて行こうとするサーシャ。おいおい待て待て待て!! やめろ!!
「で、殿下! お待ちください! まず私の話を」
「ふーむ、そなたにそう呼ばれるのは些か面白くないな。昨日のようにサーシャと、名で呼べ」
「わぁぁぁあ?! こんなとこで何言ってるんですか!!」
もうお前喋るな!! そして手を離せ!!
「はっはっは、照れずともよい。もうそなたと余は他人の仲ではないであろう?」
「どういう意味です?! ちょっ、とりあえずは、な、し、て! くだッ、さい~~……ッ!!」
今の私、完全に「散歩から帰りたくない柴犬」の図です。
そんな感じでわぁわぁやっていると、突然サーシャの肩がぽん、と誰かに掴まれるのが見えた。
え、誰?
「……大変失礼ながら、殿下。僕の婚約者に何か御用で……?」
……何故かめちゃくちゃ怖い空気を纏わせたユーリでした。
背後に鬼が見える。多分気のせいとちゃいますね。
*
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とか言いながらご飯を食べているサーシャ。
何なんだその不本意そうな態度は。
……ていうかさぁ。
もっかい言うけど。もう何度でも言わせてもらうけど。
誘う相手が違うんだよ!! キレるぞ?!
まぁ、なんかユーリとサーシャが揉めてる間に私は瞬速で間を抜けて困ったように眺めていた大天使の元へ行ったがな。
そして当然彼女も一緒に、こうして薔薇の宮にて昼食を摂っている。
一方、私から昨日の出来事を聞かされて、さっきの私と同じように額に手を当てて悩ましそうにしているユーリくんです。
「……ウィラ、殿下と外へ遊びに行ったこと、どうして僕に言わなかったんですか……」
「ち、違います!! 言おうとしてました、今日!! お昼時に!! そしたら……」
ちらりと横目で見る。そこには我関せずなサーシャが。
大体の流れを察したらしいユーリは大きなため息をついた。
「一応お話しておきますが、婚約者が居る身で他の男性と遊びに行ったりするのは、この国の貴族においてあまり良くないことなんですよ」
「……は、はい……知って、ます……」
「まぁ、相手が隣国の王太子ということもあり、あなたが断れずそのまま付き合うハメになってしまったというのは容易に想像つきますけど……」
割とサーシャに対して辛辣やなユーリ。いつものロイヤルな優しさはどうしたん。
そんなことを考えていた私の顔に、ユーリが自身の美しいかんばせをずいっと近付けて、如何にも悲しげな表情を浮かべる。
「それでも、僕の立場としてはやはり、嫌な気持ちを隠せないです」
「す、すみません……」
「僕だってウィラと外へ遊びに行くことは中々出来ないことなのに、それを他の男とだなんて……、僕はとても悲しい」
「ウッ」
まるで捨てられた子犬のように目を潤ませるユーリ。
罪悪感がちくちくと心を突き刺してくる。
「あなたの婚約者は僕です。分かってくれていますよね?」
「は、はい」
「だから、僕が見るのはあなただけだし、あなたが見るのも僕だけなんですよ」
「……は、はい?」
「あなたと添い遂げるのは義兄上でも殿下でもありません。まごうことなきこの僕ただ一人です。それ以外なんて到底許せ……」
「おい、そこの」
だんだん何言ってるのか分かんなくなってきた所で横から尊大なお声がかかりました。
あと、何でユーリは私の手握ってんの?
「……何でしょう」
「ヒェッ」
怖っ!! いきなり黒いオーラ出さないでよびっくりするから!!
しかし、ユーリのそんなオーラも全く意に介さず、ふんぞり返りながらサーシャが話す。
「余と其奴が昨日行ったのは下町の視察のようなものだ。ならば、この国に留学中である余をサポートする係を担う生徒会の役員共が余についてくるのは当然であろう?」
「……お言葉ですが、殿下。彼女は僕の婚約者として、幼い頃からそう振る舞ってきました。この国では婚約者の居る女性が他の男性と親しくしすぎたり、ましてや二人で出掛けることなど、あってはならないことなのですよ」
「侍従も居たのだから二人っきりなどではない。全く、この国の男は心がよほど狭いのだな」
「ほう……?」
ヤバイ。
ユーリの額にどんどん怒りのマークが刻まれてってる気がする。
「殿下のお国は男女関係について随分と奔放な風潮があるのですね。ですがここはルルリエ王国。ここに居る以上、我が国のしきたりに従っていただかなくては」
「おいウィルヘルミナ、そなたはこのような男が好みなのか? これなら余の所へ来た方が断然楽しく過ごせるぞ。やはりうちに来て余の傍に居るのが正しい」
「おやめください殿下。ウィラは僕の婚約者です。
それに、そのようなお話が御身の口から出てしまうと、『婚約者を持っている他国の令嬢に求婚している』などといった噂が流れてしまいますよ? それはあなたにとっても本意ではないのではないですか?」
(……この二人、こんな仲悪かったっけ?)
あまりにも気まずい空気が続くので現実逃避が始まってしまった。いやもう、龍と獅子が睨み合ってるみたいだよ。二人の背後にそれぞれ見えるもん。
ゲーム中でもこんな描写はあんまり無かった気がするんだけどなぁ。逆ハーレムルートでもそこまで喧嘩とかしてなかったと思うし。
じゃあ今のこの状況は何やねんって話になるんだけども。
(……ユーリがこの国の男女関係についてしっかり教えておこうとしてるのに、サーシャがのらりくらりと躱してる気がする……)
つまり、結論。ユーリの話を聞かないサーシャが悪い。
うん、多分これだな! もう何言ってんのか分かんなくなってきて話聞くのもだるくなってきた!!
「余は別に構わんが」
「はい?」
「昨日ウィルヘルミナと接してみて分かったが、存外に面白く、笑う姿が愛らしい女だ。余のハレムに加えることも考えている故、別段そのような噂が流れようが特に構うまい。
むしろそれでそなたらの仲が拗れて婚約破棄、といった形になれば、余が此奴を引き取ってやろうぞ」
「はぁあ?!?!」
思わず身を乗り出して叫んだ。
ちょっと待て。いつの間にそんな話になっとるんじゃい!!
「殿下、アイラちゃんのことはどうするんですか!!」
「えっ」
横で小さく「えっ、私?」みたいな反応するアイラちゃんが見えたけど、そうだよ。何よりも重要なのはそこだよ!!
私のことはどうせサーシャの気まぐれとか適当に言ってるだけだろうから特に気にしてないけど、「美しい女だ」とか言ってたアイラちゃんのことはどうすんの!! そこをハッキリさせろ!!!!
私の叫びに、サーシャは目を丸くしながらこう返す。
「アイラのことか? 其奴もよき女であるし、そなたが連れてゆきたいと考えているのなら共についてきて構わぬぞ?」
「いやそうじゃなくて! 聞きたいのはそういうのではなく~~っ……!!」
言いたいのに上手い言葉が見つからないこのもどかしさ。言いたいことも言えないこんな世の中じゃ。
それにしても何だこの急な矛先の変わりようは。
まさか昨日そんなに面白いことやっちゃったんだろうか自分。王様の目を引く芸とかやった覚えないんですけど!!
「ところでそなた、愛称はウィラと言うのだな」
「え? ……そ、うですけど……それが何か」
「よし、余もこれからそなたをそう呼ぶとしよう」
「何で?!?!」
「そなたも余を名で呼ぶとよいぞ! 特別に許す!! ハハハハ!!」
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思わず脱力した所で、横から発せられる恐ろしい空気にびッ!! と身体が跳ね上がる。
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「……あ、あの……ユーリ様?」
「…………」
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「こら、サーシャと呼べと言っているだろうウィラ」
「殿下ぁぁ?!」
あーーお客様!! お客様、この期に及んで煽るのはおやめください!! 止まってくださいお客様あーーーーッッ!!
「……サーシャ殿下」
すると、それまで笑顔で黙っていたユーリがサーシャの名を呼ぶ。
「ウィルヘルミナは、僕の妻となる女性です」
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「大変申し訳ありませんが、殿下の元へお渡しするわけにはまいりません。ですから、それを本気で奪おうというのなら……、僕と全面的に争う覚悟で、お願いいたします」
それを聞いて、ふ、と笑みを零すサーシャ。
「よかろう。受けて立とうではないか、その宣戦布告に」
…………。
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