《R18》 想い出だったはずなのに 【完結】

神野ひなた

文字の大きさ
17 / 104
ー学生時代ー

秘密の恋 2

しおりを挟む
気がつけば学祭も終り、コートを羽織る季節になっていた。

地元は小高い丘になっていたので朝晩はけっこう冷えるのでお店のバックヤードもストーブが置かれるようになる。
ピアノ帰りにたまにはみんながいる時に寄るようにしていたのだけれど、いつものように同じ方向のりかちゃんと今日は帰ろうと思っていた。

「じゃーそろそろ今日は帰るかー」

バイトのチーフの裕人くんの声にみんながごそごそとコートのボタンをとめて扉に向かって歩きだした。

「あ、そうそう、ちょっとりおちゃん話あるんだけどいい?」

あきおさんが私を呼び止めた。

私はもちろん、みんながあきおさんのほうを振り返る。

「あ、はい。すこしなら。」

「店長、例の件?」

「そうそう。」

「じゃ、りおちゃん以外は帰るよーまたね、りおちゃん。」

裕人くんとあきおさんのやりとりを誰も気に止める様子もなく、みんなは帰っていった。

みんなの前で呼び止められたのでなんだろ?と思いながら足をとめ、帰っていくみんなを見送ってあきおさんのほうに振り返るとシフトカレンダーを持ったあきおさんが真後ろにきていた。

勢いよく振り返ったのであきおさんにぶつかりそうになった。

「うわっ・・・ごめんなさい。」

慌てて一歩さがるとあきおさんは一度外に出てキョロキョロしてから扉を閉め、鍵をかけた。

「いや、ごめんね、ひきとめて。」

あれ?鍵かけた?
・・・ということは?
と思ったのだけど、あきおさんは事務的に話しをはじめたのであわてて向きなおした。

「いえ。何かありました?」

「ふふ、もういつもどおりでいいよ。ちょっとお願いがあってね。」

「なに?」

とは言ったものの、あきおさんはシフトカレンダーを手にしていたので何となくは察しがついた。

「あのね、ちょっと人手がたりなくて。年末まで入れる日があったらきてもらえないかな?裕人がりおちゃんに頼もうって、うるさいからさ。」

そっか、あきおさん的には微妙なんだろなと言い方で気がついてしまった。

「あきおさんが私がきても平気なら、いける日に入ってもいいけど。」

ちょうど年末くらいはバイトをしようと思っていたし、常に一緒にいるわけじゃないからかまわないかなと思った。

「いいの?ボクはどっちかというときてほしい。大間にも了解はとってあるから。」

あら、いいんだ。
意識しないようにすれば、大丈夫よね?

「じゃあ、カレンダー確認してこれる日にマークいれてくれる?ちょっと店のほうチェックしてくるから。」

うれしそうな顔のあきおさんはシフトカレンダーを私に渡してからお店のほうに行った。

カレンダーをみると確かに週2くらい人がたりてないところがあった。
スケジュール帳を確認するとうまい具合にそういう日はあいている。冬休みならフルでも入れるし、と入れるだけマークをつけた。

スケジュール帳にも転記をしているとあきおさんが戻ってきた。
あたたかいお茶をいれてくれたのでいただいて、コップを洗っているとあきおさんに後ろから抱きしめられた。

「りお・・・」

後ろから抱きしめられ、頭をスリスリするあきおさん。

回された腕に手を置くとあきおさんが言った。

「ほんとは入ってほしくない日もあるねんけど。」

「えっ?」

なんで??

あきおさんが私を抱きしめる腕がさらにぎゅっと私を抱きしめた。

「あいつ・・・たぶん・・・」

ん?

「いや、なんでもない。りお・・・」

くるりと向きをかえられて唇を重ねる。

あきおさんは私の下唇を食み、口内に舌を入れ、絡ませてきた。
それに私ももずいぶん慣れてきて応じながらあきおさんの身体に腕をまわす。

あきおさんの右手がコートの中にしのびこんできたのだけれど、今日はすでに遅い時間になっていたので私は腕をほどいて軽くあきおさんの胸をおした。

「あきおさん、今日はもう時間遅いから。」

あきおさんは我に帰って手をひっこめた。

「ごめん、そうやった。」

私はさっと乱れた髪をなおしてそっと扉の鍵をあけた。

「・・・もう帰らないと。」

ドアノブに手をかけるとあきおさんは鍵を取り出して一緒に外にでた。

「さすがに遅くなってるし、送ろうか?」

あきおさんはそう言ってくれたけど、お店の前の角に行くと2ブロックむこうから父親が歩いて来るのがみえた。
さすがに遅くなってるから様子を見にでてきたのだろう。

「遅いから父が心配して出てきたみたいやし、大丈夫。ありがとう。」

「そっか、じゃあとりあえず来週またね。」

「うん、また。」

父親があまり近くに来てしまわないように軽く手をあげてから父親のところまで小走りでいき、帰宅した。

ギリギリセーフ💦💦
あんまり遅くならないよう気をつけなくちゃ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...