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ー学生時代ー
名残り。2
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ーside Akioー
濃密な時間を過ごして疲れてしまった莉緒菜は送っていく車の中でウトウト寝ていた。
父親の車は乗り心地がいいし、寝てしまって当然な時間の過ごし方をしていたので仕方ない。だけど、隣に彼女がいるだけで心が休まるのを感じていた。
彼女を家の近くでおろし、車が違うとはいえ誰かにみられると面倒なのでできるだけ店から遠い道を選んで住宅街を抜けた。
家まで戻る道はとても長く感じた。
家に戻ると電気はつけたままでたけれど、一人で住むには広すぎる家をさびしく感じた。
嫁さんと娘がでていったあの日以来さびしいなんて思うことはなかったのに。
飲み食べしたものは片付けていたのでソファーに身体を投げ出してテレビをつけた。
いつもは帰って寝るだけのこの家。
テレビも朝に時計代わりにつける以外はめったにつけないけれど、今はなんだかさびしくて。
莉緒菜と過ごした時間が濃密だったからではなく
濃密でなくてもきっと彼女といれば楽しいだろう。
目を閉じるとテレビから流れるニュースの音よりも
ここで莉緒菜と話していたときの莉緒菜の声がしてくるようだ。
・・・できたら彼女とずっと一緒にいたい。
でも、今はまだ無理だ。
やっぱりちゃんとしてからじゃないと彼女の家庭事情を思うとできないと思う自分がいた。
先に彼女に話しておけばよかったと数年後に後悔するなんて思いもしなかったのだ。
寝室にはいるとベッドの上はそのままだったので二人の香りが残っていた。
シーツを取り換えてから寝るべきなのだとは思ったけれど、その香りに包まれて眠りたかったのでそのままにして眠った。
朝、少し早起きして簡単に手洗いしてから洗濯機をまわすことになってバタバタしたのだけれど、よく眠れたからか、スッキリした朝を迎えた。
朝、いつものように早めに店について準備をしていると総菜部長がやってきた。
「店長、おはよう。きのうはゆっくりできました?」
「ああ、突然でご迷惑おかけしました。」
「いや、頑張りすぎだから休んだらいいのにって思ってたからホッとしたよ。」
「ありがとうございます。」
総菜部長は店長経験があるのでこの仕事が大変なことをよくわかってくれている。
「それよりさ、章夫、きのういいことあったか?」
突然、仕事モードを切って総菜部長に声をかけられた。
「えっ???」
「顔にでてるぞ。結婚前のおまえに戻った感じかな、いや、もっといい顔してるで、きのうはデートやったんか?」
うわ・・・図星・・・・
総菜部長、いや原田さんはずっとこの会社にいるから大間とつるんでいた若いころから僕のことを知っている。
だから結婚の経緯も知っているし、いろいろ心配していてくれたのもわかっている。今の状況にしても気にしてくれている。
「なぁ。。。りおちゃんやろ?」
返事に困っていると原田さんはそのまま続けた。
「彼女がきてからずいぶん明るくなったなとは思ってたんや。でも、気に入ってるだけやと思っててんけどなー。最近彼女がめっきりオンナっぽくなってきたからお前らを観察させてもらってたけど、オンナはすごいな、そんなそぶりをほとんどみせへん。でもお前をみとったらそうちゃうかなぁって。俺かってアホちゃうし、状況わかるから誰にも言わんけど社長も知ってるんやろ?だからきのう休みくれたんやと思ったんやけど。」
僕は観念して答えた。
「はい、まぁ、そんなところです。原田さん。申しわけないけどナイショにしといてもらえますか?」
「やっぱりな・・・・」
ニヤリと笑って原田さんは続けた。
「りおちゃんの家庭のことはみんな知ってるけどさ、なかなか大変やと思うで?あのこのお父さん、なかなかの人らしいから訴訟が終わって離婚できたとしてもバツイチで10歳も上の男に娘をどうぞなんてするとは思えんもんな・・・・」
そうなのだ。そこなのだ。
「お前の家のことを調べたらかわるかもしれんけどな・・・先まで考えてるんやったらしっかり根回ししとかな難しいで?」
「まだ、彼女は学生ですし、そこまで考えられないだろうからもうちょっと先でいいかなと思ってはいるんですけどね」
ぶっちゃけていうと、まだ1年学生生活がある彼女はその先の未来なんて考えてはいないだろうと思っていた。
「あまいな・・・・」
原田さんのその言葉はバックヤードの扉を開ける音にかき消されて僕には聞こえていなかった。
その通り、僕の考えは甘かったのだと知ることになるのはもう少し先だった。
濃密な時間を過ごして疲れてしまった莉緒菜は送っていく車の中でウトウト寝ていた。
父親の車は乗り心地がいいし、寝てしまって当然な時間の過ごし方をしていたので仕方ない。だけど、隣に彼女がいるだけで心が休まるのを感じていた。
彼女を家の近くでおろし、車が違うとはいえ誰かにみられると面倒なのでできるだけ店から遠い道を選んで住宅街を抜けた。
家まで戻る道はとても長く感じた。
家に戻ると電気はつけたままでたけれど、一人で住むには広すぎる家をさびしく感じた。
嫁さんと娘がでていったあの日以来さびしいなんて思うことはなかったのに。
飲み食べしたものは片付けていたのでソファーに身体を投げ出してテレビをつけた。
いつもは帰って寝るだけのこの家。
テレビも朝に時計代わりにつける以外はめったにつけないけれど、今はなんだかさびしくて。
莉緒菜と過ごした時間が濃密だったからではなく
濃密でなくてもきっと彼女といれば楽しいだろう。
目を閉じるとテレビから流れるニュースの音よりも
ここで莉緒菜と話していたときの莉緒菜の声がしてくるようだ。
・・・できたら彼女とずっと一緒にいたい。
でも、今はまだ無理だ。
やっぱりちゃんとしてからじゃないと彼女の家庭事情を思うとできないと思う自分がいた。
先に彼女に話しておけばよかったと数年後に後悔するなんて思いもしなかったのだ。
寝室にはいるとベッドの上はそのままだったので二人の香りが残っていた。
シーツを取り換えてから寝るべきなのだとは思ったけれど、その香りに包まれて眠りたかったのでそのままにして眠った。
朝、少し早起きして簡単に手洗いしてから洗濯機をまわすことになってバタバタしたのだけれど、よく眠れたからか、スッキリした朝を迎えた。
朝、いつものように早めに店について準備をしていると総菜部長がやってきた。
「店長、おはよう。きのうはゆっくりできました?」
「ああ、突然でご迷惑おかけしました。」
「いや、頑張りすぎだから休んだらいいのにって思ってたからホッとしたよ。」
「ありがとうございます。」
総菜部長は店長経験があるのでこの仕事が大変なことをよくわかってくれている。
「それよりさ、章夫、きのういいことあったか?」
突然、仕事モードを切って総菜部長に声をかけられた。
「えっ???」
「顔にでてるぞ。結婚前のおまえに戻った感じかな、いや、もっといい顔してるで、きのうはデートやったんか?」
うわ・・・図星・・・・
総菜部長、いや原田さんはずっとこの会社にいるから大間とつるんでいた若いころから僕のことを知っている。
だから結婚の経緯も知っているし、いろいろ心配していてくれたのもわかっている。今の状況にしても気にしてくれている。
「なぁ。。。りおちゃんやろ?」
返事に困っていると原田さんはそのまま続けた。
「彼女がきてからずいぶん明るくなったなとは思ってたんや。でも、気に入ってるだけやと思っててんけどなー。最近彼女がめっきりオンナっぽくなってきたからお前らを観察させてもらってたけど、オンナはすごいな、そんなそぶりをほとんどみせへん。でもお前をみとったらそうちゃうかなぁって。俺かってアホちゃうし、状況わかるから誰にも言わんけど社長も知ってるんやろ?だからきのう休みくれたんやと思ったんやけど。」
僕は観念して答えた。
「はい、まぁ、そんなところです。原田さん。申しわけないけどナイショにしといてもらえますか?」
「やっぱりな・・・・」
ニヤリと笑って原田さんは続けた。
「りおちゃんの家庭のことはみんな知ってるけどさ、なかなか大変やと思うで?あのこのお父さん、なかなかの人らしいから訴訟が終わって離婚できたとしてもバツイチで10歳も上の男に娘をどうぞなんてするとは思えんもんな・・・・」
そうなのだ。そこなのだ。
「お前の家のことを調べたらかわるかもしれんけどな・・・先まで考えてるんやったらしっかり根回ししとかな難しいで?」
「まだ、彼女は学生ですし、そこまで考えられないだろうからもうちょっと先でいいかなと思ってはいるんですけどね」
ぶっちゃけていうと、まだ1年学生生活がある彼女はその先の未来なんて考えてはいないだろうと思っていた。
「あまいな・・・・」
原田さんのその言葉はバックヤードの扉を開ける音にかき消されて僕には聞こえていなかった。
その通り、僕の考えは甘かったのだと知ることになるのはもう少し先だった。
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