週末の金曜日

立樹

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先に俺の方が目を逸らした。
すると、フッと笑う声が聞こえてきた。
その声に誘われるように青木を見ると、可笑しそうに笑っている。

まったく、さっきの真剣な眼差しは何だったんだか。

笑っている青木を放って置き、俺はまたジョッキを手に取り、最後まで一気に飲んだ。
苦みと一緒に、シュワッとした感覚が喉を通り過ぎていく。

そこへ、店員が頼んだ唐揚げやら串カツなどを運んできたので、もう一杯追加で頼んだ。もちろん、青木のも一緒に。

店員が行ってしまうと、ほかほかの料理に目がいく。
ビールで少し腹はふくれたが、もう限界だった。
青木に目で、食べていいか?と、問うと
「どうぞ」
と、にこやかな笑みが返ってきた。

俺は、さっきの疑問を脇に置いておき、まずは目の前にある食べ物に食いついた。
俺の食べっぷりを面白そうに見ている青木に、
「食べろよ」
と言うと、
「ビールが来てからでいいいよ。料理まだまだ頼んでるだろ?」
「まあな」
「面白いから、先にどうぞ」
「なんだそりゃ?」
「いや、いい食べっぷりだと思って」
「あきれるか?」
「いや、逆に見ていて飽きないよ」
「そっか」
ならいいか、と、俺は料理を片付けていく。

あらかた注文した料理を平らげた。
残っているのは、サラダやら肉の添え物の緑だけだった。

「まだ、頼むか?」
すでにビールの追加を幾度かしたので、テーブルの下には、ジョッキが5、6個並んでいた。
「そうだな、締めにお茶漬けでも頼むよ。青木は?」
padを操作しながら聞くと、何やら言いたげな顔をしている。
「どうした?」
と聞くと、
「いや、まだ食うのかと思ってな」
眉を寄せながら言う。
「いつものことだろ?」
「そうだけど、毎度のことながら食べっぷりに感服するよ」
「いいだろ。じゃあ、青木はアイスでも食うか?」
「なんで、そうなるんだよ。俺はもうお腹いっぱいだ」
「ほら、甘いものは別物っていうじゃないか?」
「それは女性だけだろ?」
「そうか?俺は食べれるけどな」
「佐藤だからじゃないのか」
「う~ん……」
そうなのかよくわからなかったが、まあ無理に進めても仕方がないと思い、俺だけお茶漬けと、こっそりアイスを追加注文した。

しばらくして、店員が追加の注文を持ってきたものを見て、青木は呆れた顔をしたが、俺はみなかったことにした。

食べたいものを食べる!
満足そうに食べる俺を見て、青木は苦笑した。
お茶漬けを食べ終わり、アイスのスプーンを持つ。

じっとアイスを見ると、先ほどまでお腹いっぱいだ、と思っていたのに、アイスを前にすると、食べたくなってきた。
そこで、青木にも進めてみた。
「やっぱ、甘いものは別腹だって。意外に食べれるって」
そう言い、ひとすくいスプーンにすくうと、「ほれ」と、青木の口の前までスプーンを持ち上げた。
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