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両手に持っていたビニール袋を片手にまとめる。
ポケットからスマホを出し画面をみると電話ではなく、メッセージが一件入っていた。
堂岡からだ。滅多に連絡を送らない相手からのメッセージ。
『助かった』
という、一文だけ。愛想も素っ気もない簡素な文。
けれど、それだけで伝わってくるものもある。
口角が上がっていることに気付いたけれど、そのままでいた。
堂岡からは、こういった短文をよく送ってきていた。
返答さえ必要のないメッセージ。
今までなら、メッセージがなんのために送ってくるのかと、疑問だった。
けれど、今までのメッセージを思い返してみると、返答しないでいいように送ってきていたのかもしれないと、気づいた。
きっと、堂岡なりの気づかいだろうと、今なら思える。
そう気付かせてくれた杉山は、まだ仕事中だろうか。
『助かった』とメッセージを送って来たからには、堂岡は仕事を終えたのだろう。だとしたら、杉山も終わっている可能性が高い。
遅くなるとの連絡があった後、その理由が堂岡を通して分かった。
杉山が持っていった書類に不備があった。新規の企業なだけに、人間関係もまだ希薄。そこへ書類の不備。
データーを送ったという企業側と受け取っていないという堂岡。
お互いの意見が食い違い、両者の話を聞き対応をしていた杉山。
これが、長年の付き合いのある企業と人間関係ができているなら、余裕や対処もできるのだろうが、なんせ新しい企業。お互いにまだ腹の探り合いの最中。杉山も、ここで契約を破棄などとなれば、損害だって出てくる。
そうと分かった隼大は、杉山にもう一度メールの送り先を確認してもらうように伝え、堂岡に、別のアドレスに入っていないか言ったところ、送った担当者がHPを見て送ったために、本部へのメールに紛れ込み、堂岡や杉山が使っている共通のファイルに送られていることがわかったのだった。
隼大は、ビニール袋を持つが手しびれ、両手で持つために、ポケットへスマホを入れようとしたところで、またスマホが震えた。
表示された名前に笑みがもれる。
通話ボタンを押し、肩にスマホを挟むと、重くなったビニール袋を両手で持った。
「終わったのか」
電話越しに「はい」と聞こえてきた。
その声からは、なんの感情も読み取れなかった。
抑揚のない声に隼大は、少しひっかかりを覚えた。その声と一緒に、ざわめきも聞こえてくる。
外にいるのだろう。
「今どこですか?」
聞こうとしたことを先に問われてしまった。
「昨日寄ったコンビニ前」
「よかった。すぐ近くなので待ってもらえませんか?」
先ほどまで硬かった声のトーンが少しだけ上がった。
「着替えは?」
本当は着替えなど、どうとでもなる。昨日の分があるし、コンビニだってまだ寄る事ができるのだから。聞いたのは、朝、言ってしまったからだ。杉山が気にしていたらというよりも、隼大自身が気になって聞いた。
「はい。こちらに戻る前にロッカーに入れましたから」
「そうか」
それなら良かったと、頷きかけた時、首に挟んでいたスマホがするっと抜けそうになった。
「うぉっ……落ちる!」
受け止めようにも両手は塞がっている。
今手を放せば、アスファルトの上に落ちてしまう。スマホが大事か、食品が大事か考える間もなく、必死で残っているあごで押さえる。
間一髪で抜け落ちるのは防げても、スマホの端の方を押さえているだけ。
少しでも動いたら落ちてしまう。
この際、仕方ない。と、ビニール袋を手放そうとした途端、スルッとスマホが抜け落ちた――と、思った。
「ギリでしたね」
スマホを救出した相手は、息を切らせていた。
ポケットからスマホを出し画面をみると電話ではなく、メッセージが一件入っていた。
堂岡からだ。滅多に連絡を送らない相手からのメッセージ。
『助かった』
という、一文だけ。愛想も素っ気もない簡素な文。
けれど、それだけで伝わってくるものもある。
口角が上がっていることに気付いたけれど、そのままでいた。
堂岡からは、こういった短文をよく送ってきていた。
返答さえ必要のないメッセージ。
今までなら、メッセージがなんのために送ってくるのかと、疑問だった。
けれど、今までのメッセージを思い返してみると、返答しないでいいように送ってきていたのかもしれないと、気づいた。
きっと、堂岡なりの気づかいだろうと、今なら思える。
そう気付かせてくれた杉山は、まだ仕事中だろうか。
『助かった』とメッセージを送って来たからには、堂岡は仕事を終えたのだろう。だとしたら、杉山も終わっている可能性が高い。
遅くなるとの連絡があった後、その理由が堂岡を通して分かった。
杉山が持っていった書類に不備があった。新規の企業なだけに、人間関係もまだ希薄。そこへ書類の不備。
データーを送ったという企業側と受け取っていないという堂岡。
お互いの意見が食い違い、両者の話を聞き対応をしていた杉山。
これが、長年の付き合いのある企業と人間関係ができているなら、余裕や対処もできるのだろうが、なんせ新しい企業。お互いにまだ腹の探り合いの最中。杉山も、ここで契約を破棄などとなれば、損害だって出てくる。
そうと分かった隼大は、杉山にもう一度メールの送り先を確認してもらうように伝え、堂岡に、別のアドレスに入っていないか言ったところ、送った担当者がHPを見て送ったために、本部へのメールに紛れ込み、堂岡や杉山が使っている共通のファイルに送られていることがわかったのだった。
隼大は、ビニール袋を持つが手しびれ、両手で持つために、ポケットへスマホを入れようとしたところで、またスマホが震えた。
表示された名前に笑みがもれる。
通話ボタンを押し、肩にスマホを挟むと、重くなったビニール袋を両手で持った。
「終わったのか」
電話越しに「はい」と聞こえてきた。
その声からは、なんの感情も読み取れなかった。
抑揚のない声に隼大は、少しひっかかりを覚えた。その声と一緒に、ざわめきも聞こえてくる。
外にいるのだろう。
「今どこですか?」
聞こうとしたことを先に問われてしまった。
「昨日寄ったコンビニ前」
「よかった。すぐ近くなので待ってもらえませんか?」
先ほどまで硬かった声のトーンが少しだけ上がった。
「着替えは?」
本当は着替えなど、どうとでもなる。昨日の分があるし、コンビニだってまだ寄る事ができるのだから。聞いたのは、朝、言ってしまったからだ。杉山が気にしていたらというよりも、隼大自身が気になって聞いた。
「はい。こちらに戻る前にロッカーに入れましたから」
「そうか」
それなら良かったと、頷きかけた時、首に挟んでいたスマホがするっと抜けそうになった。
「うぉっ……落ちる!」
受け止めようにも両手は塞がっている。
今手を放せば、アスファルトの上に落ちてしまう。スマホが大事か、食品が大事か考える間もなく、必死で残っているあごで押さえる。
間一髪で抜け落ちるのは防げても、スマホの端の方を押さえているだけ。
少しでも動いたら落ちてしまう。
この際、仕方ない。と、ビニール袋を手放そうとした途端、スルッとスマホが抜け落ちた――と、思った。
「ギリでしたね」
スマホを救出した相手は、息を切らせていた。
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