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寝ないのなら、とことん付き合うまで。
酒類、つまみ、お弁当等々。買ってきたものを袋から出していく。
テーブルの上が埋まったころ、袋の中も空っぽになった。
自分で買ったにしても、ずらりと並んだ酒類の多さに、呆れた。
一人なら半月ほどはもつだろう。
「何から飲む?」
対面に座った杉山に聞く。
「じゃあ、ビールで」
小さい声だ。
硬直してから様子がおかしい。
ビール缶をあけると、プシュッと気が抜ける音がした。
杉山のグラスに注ごうと缶を傾けたとき、ぼたりと何かが落ちた。
その落ちてきた先を見て慌てた。
「えっ、おい!」
手元がぶれ、ビールがテーブルの上にこぼれる。
「おっと」
缶を置き、グラスの周りのものをよけると、杉山を見た。
グラスからこぼれ落ちる液体を見ているのか、気泡を見ているのかよくわからない。
流れおちる涙はとめどなく、頬を伝っている。
これほど綺麗な泣く姿を見たことがなかった。
指ですくい上げ、手のひらでグイっと拭きとる。
頭をわしわしとかき混ぜるように撫でた。
「すみません、もう限界で」
「寝てないからだろ」
「……、ああ。なるほど。気持ちの制御ができなくなっているわけですね」
希薄に笑う杉山の隣に移動する。
あぐらを掻き、自分の膝を叩いた。
「え?」
まだ、涙の残る目で隼大を見た。
戸惑う杉山の肩を抱き膝の上に寝ころばす。
上から見上げる杉山の目が大きく見開かれた後、顔を隠すように太股に顔をつけた。
「川浪さん、わかってますか?」
「ん?」
「さっきから、なんなんですか。好きと言ったのはぼくですけど、なんでそんなに優しいんですか。勘違いしますからね」
何が、とは聞かなかった。
胸の内が静かで、満ち足りている。
愛おしさに頬がゆるむ。
「わかっている」
「ぼくは川浪さんの側にいたいんです。近くにいたい。ぼくは……川浪さんが思っている好きとは違ってても、側にいてもいいんですか」
顔を押し付けられている太股が濡れていく。
返事の代わりに慈しむように、そっと頭を撫でた。
今まで押さえてきたものを吐き出すかのように、声を上げず肩を震わせ泣く杉山。何かに耐え、押し殺してきたものがあれば、吐き出してしまえばいい。
手にその思いを込め、泣き止むまで撫で続けた。
酒類、つまみ、お弁当等々。買ってきたものを袋から出していく。
テーブルの上が埋まったころ、袋の中も空っぽになった。
自分で買ったにしても、ずらりと並んだ酒類の多さに、呆れた。
一人なら半月ほどはもつだろう。
「何から飲む?」
対面に座った杉山に聞く。
「じゃあ、ビールで」
小さい声だ。
硬直してから様子がおかしい。
ビール缶をあけると、プシュッと気が抜ける音がした。
杉山のグラスに注ごうと缶を傾けたとき、ぼたりと何かが落ちた。
その落ちてきた先を見て慌てた。
「えっ、おい!」
手元がぶれ、ビールがテーブルの上にこぼれる。
「おっと」
缶を置き、グラスの周りのものをよけると、杉山を見た。
グラスからこぼれ落ちる液体を見ているのか、気泡を見ているのかよくわからない。
流れおちる涙はとめどなく、頬を伝っている。
これほど綺麗な泣く姿を見たことがなかった。
指ですくい上げ、手のひらでグイっと拭きとる。
頭をわしわしとかき混ぜるように撫でた。
「すみません、もう限界で」
「寝てないからだろ」
「……、ああ。なるほど。気持ちの制御ができなくなっているわけですね」
希薄に笑う杉山の隣に移動する。
あぐらを掻き、自分の膝を叩いた。
「え?」
まだ、涙の残る目で隼大を見た。
戸惑う杉山の肩を抱き膝の上に寝ころばす。
上から見上げる杉山の目が大きく見開かれた後、顔を隠すように太股に顔をつけた。
「川浪さん、わかってますか?」
「ん?」
「さっきから、なんなんですか。好きと言ったのはぼくですけど、なんでそんなに優しいんですか。勘違いしますからね」
何が、とは聞かなかった。
胸の内が静かで、満ち足りている。
愛おしさに頬がゆるむ。
「わかっている」
「ぼくは川浪さんの側にいたいんです。近くにいたい。ぼくは……川浪さんが思っている好きとは違ってても、側にいてもいいんですか」
顔を押し付けられている太股が濡れていく。
返事の代わりに慈しむように、そっと頭を撫でた。
今まで押さえてきたものを吐き出すかのように、声を上げず肩を震わせ泣く杉山。何かに耐え、押し殺してきたものがあれば、吐き出してしまえばいい。
手にその思いを込め、泣き止むまで撫で続けた。
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