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クエスト・アップデート
「さて、魔石も全部拾ったようだし…、そろそろ帰ろうか?」リュックを背負いながら言う私。「そうだね」と返してくるルウリィ。
と、その時、近くの藪がガサガサと動き、そこから巨大な体格の熊が踊り出てきた。そしてそのまま私の顔を狙って爪を立てて襲ってきた。あまりにも突然過ぎて、私は防御どころか一歩も動けなかった。
その刹那の間に割って入ったのがルウリィだった。ダガーでその爪の軌道を変えたが、あっと言う間に5mほど体重差で吹っ飛ばされた。ズザザッと転びながら、直ぐに立ち上がるルウリィ。そして直ぐにまたダガーを構える。
「カオルコっ!!!」擦り傷だらけのルウリィが私の名前を呼ぶ。その言葉にㇵッとなりながら、直ぐに3mほど急いで後退し、背中のブーメランに手を掛けた。
四つん這いの熊が立ち上がって咆哮する。その身長は優に2.5mはある。その咆哮に辺りの空気がビリビリと震えて、膝から力が抜けそうになる。よく見ると、額から角が生えていた。普通の熊じゃないっ!!
「ルウリィっ!!!!」背中のブーメランを抜きながら、怒鳴る様に呼ぶ。「何っ???」と、ルウリィも怒鳴り返すように聴いてくる。
「三秒でいいっ!! 三秒だけアイツを引き付けてっ!!!」言いながらブーメランを力一杯に放つ。「わかったっ!!」と言いながら、ルウリィは熊の前に躍り出る。魔獣化した熊はターゲットをルウリィに変えて襲い掛かる。ルウリィは両手のダガーを駆使してその攻撃を凌ぐ。
速く……、速く……、速く……。放り投げたブーメランにサイコキネシスで加速を掛ける。その間にもルウリィは何撃かの攻撃を凌いでいた。どおぉぉぉんっっ!!! と、魔獣熊の咆哮を凌ぐ、音の壁を突破したブーメランが戻ってくる。同時に、魔獣熊の強烈な一撃がルウリィを吹っ飛ばした。7~8m飛ばされて動かなくなる。次の刹那、音速を超えたブーメランが魔獣熊の身体を切り裂き、ドンッと音を立てて地面を抉って止まった。それは爆発にも似て、飛んでくる小石をサイコキネシスで防ぐ。ブーメランで袈裟斬りにされた魔獣熊の身体は、血煙を上げながら、ずるりとずれて前に倒れた。
「ルウリィっっ!!!」悲鳴を上げる様に名前を呼びながら、ルウリィの元に駆け寄る私。「……うぅ……」と僅かな声を上げるルウリィ。良かったっ!! 死んでないっ!! 「ルウリィ…、ルウリィっ!!」頬をペチペチと叩きながら、名前を連呼する私。「……え…、…あれ……? ……熊は…?」呆けたように言うルウリィ。
「倒したわっ!! それよりもルウリィ、大丈夫?」ルウリィをよく見ると、あちこちから出血していた。酷い傷ではなさそうだが、全身擦り傷だらけの満身創痍だった。
「ちょっと待ってて。今ポーション用意するからっ!」と言いながら、ごそごそと背中のリュックを降ろして、中からポーションを探す。いざと言う時の為に、2本用意していたのだ。
「……不味いから飲みたくない…」力なく笑いながら言うルウリィ。
「莫迦っ!! 味に文句言ってる場合じゃないでしょっ!!」
「…別にこのくらい…、…平気だし……」と無理に立ち上がろうとする。立ち上がりかけたルウリィの膝の裏を、拳で軽く叩く。膝カックンとなったルウリィは再び地面に仰向けになる。
「…何すんのよ……」と文句を言ってくるルウリィ。「いいから早くポーション飲めっ!!」と、ルウリィの口にポーションのボトルを突っ込む私。「…むぐっ!」と口を塞がれて、飲むしかないルウリィ。そして――、しばらくするとルウリィの全身の傷が消えていった。何だか既視感。以前痛めつけられて、イゼッタ婆ちゃんにヒールを掛けてもらった日の事を思い出す。
「…にがっ……、不味っ……」とルウリィ。その表情で、やっと息が抜けた。
「…三秒、よく凌いだね……」
「…いや、まぁ……、夢中だったし……、…あんまり展開覚えてないんだ……」と、照れ臭そうに笑うルウリィ。
「……ありがとね…。あの三秒がなければ、…私は多分殺されてたよ……」そう言いながら、私はルウリィの頭に手を置く。
「…頭撫でんな……」と、顔を赤くしながらルウリィ。
「…私の方が一つ年上のお姉ちゃんだから、撫でてもいいんだよ…」と微笑みながら言う私。
「…んじゃあ、アタシ怪我人なんだから、おんぶしてよ…」膨れっ面で無茶な要求してくるルウリィ。
「甘えんなっ!!」撫でてた頭を軽く叩く。ルウリィは恨みがましく上目で睨んでる。顔がまだ赤い。
私は立ち上がり、ルウリィに手を差し出す。ルウリィはその手を握って立ち上がる。服もあちこち破けてボロボロだった。
「ねぇ、カオルコ…」
「何?」
「…帰るのは、その…、少し暗くなってからにしない? 私このカッコじゃまともに宿まで辿り着けないよ。…ズボン破れてパンツまで見えちゃってるし……」ルウリィがモジモジしながら言う。改めて見ると、なるほどこりゃまずいわ!
「あっはっはっ!」ちょっと笑ってしまう。
「何で笑うのよっ??」と怒りながらルウリィ。
「さっきまであんなにカッコよかったのに……、今はこんなにボロボロなんて…」笑いを隠さずに言う私。
「誰の所為でこうなったと思ってんのよっ!!!」と、真っ赤な顔の怒りのルウリィ。
「…しょーがないなー……、上着貸してやるから、それ腰に巻きな」と言いながら上着のジャケットを脱ぐ私。
「~~~~~っっ!!」引っ手繰る様に上着を奪い、素早く腰に巻くルウリィ。まだ顔が赤い。
「さて……、アンタの身体の事も考えて、もう少し休んでから熊の魔石回収して帰ろうか」
「うん」
二人して並んで座る。
三秒――。たった三秒だったが、二人の命を繋いだ時間だった。何か…、今日の一件でルウリィの事が、私と同じ等身で、頼れる相棒だと思えるようになった。ルウリィの成長具合に少し妬けるけど、嬉しさの方が上回っていた……。
と、その時、近くの藪がガサガサと動き、そこから巨大な体格の熊が踊り出てきた。そしてそのまま私の顔を狙って爪を立てて襲ってきた。あまりにも突然過ぎて、私は防御どころか一歩も動けなかった。
その刹那の間に割って入ったのがルウリィだった。ダガーでその爪の軌道を変えたが、あっと言う間に5mほど体重差で吹っ飛ばされた。ズザザッと転びながら、直ぐに立ち上がるルウリィ。そして直ぐにまたダガーを構える。
「カオルコっ!!!」擦り傷だらけのルウリィが私の名前を呼ぶ。その言葉にㇵッとなりながら、直ぐに3mほど急いで後退し、背中のブーメランに手を掛けた。
四つん這いの熊が立ち上がって咆哮する。その身長は優に2.5mはある。その咆哮に辺りの空気がビリビリと震えて、膝から力が抜けそうになる。よく見ると、額から角が生えていた。普通の熊じゃないっ!!
「ルウリィっ!!!!」背中のブーメランを抜きながら、怒鳴る様に呼ぶ。「何っ???」と、ルウリィも怒鳴り返すように聴いてくる。
「三秒でいいっ!! 三秒だけアイツを引き付けてっ!!!」言いながらブーメランを力一杯に放つ。「わかったっ!!」と言いながら、ルウリィは熊の前に躍り出る。魔獣化した熊はターゲットをルウリィに変えて襲い掛かる。ルウリィは両手のダガーを駆使してその攻撃を凌ぐ。
速く……、速く……、速く……。放り投げたブーメランにサイコキネシスで加速を掛ける。その間にもルウリィは何撃かの攻撃を凌いでいた。どおぉぉぉんっっ!!! と、魔獣熊の咆哮を凌ぐ、音の壁を突破したブーメランが戻ってくる。同時に、魔獣熊の強烈な一撃がルウリィを吹っ飛ばした。7~8m飛ばされて動かなくなる。次の刹那、音速を超えたブーメランが魔獣熊の身体を切り裂き、ドンッと音を立てて地面を抉って止まった。それは爆発にも似て、飛んでくる小石をサイコキネシスで防ぐ。ブーメランで袈裟斬りにされた魔獣熊の身体は、血煙を上げながら、ずるりとずれて前に倒れた。
「ルウリィっっ!!!」悲鳴を上げる様に名前を呼びながら、ルウリィの元に駆け寄る私。「……うぅ……」と僅かな声を上げるルウリィ。良かったっ!! 死んでないっ!! 「ルウリィ…、ルウリィっ!!」頬をペチペチと叩きながら、名前を連呼する私。「……え…、…あれ……? ……熊は…?」呆けたように言うルウリィ。
「倒したわっ!! それよりもルウリィ、大丈夫?」ルウリィをよく見ると、あちこちから出血していた。酷い傷ではなさそうだが、全身擦り傷だらけの満身創痍だった。
「ちょっと待ってて。今ポーション用意するからっ!」と言いながら、ごそごそと背中のリュックを降ろして、中からポーションを探す。いざと言う時の為に、2本用意していたのだ。
「……不味いから飲みたくない…」力なく笑いながら言うルウリィ。
「莫迦っ!! 味に文句言ってる場合じゃないでしょっ!!」
「…別にこのくらい…、…平気だし……」と無理に立ち上がろうとする。立ち上がりかけたルウリィの膝の裏を、拳で軽く叩く。膝カックンとなったルウリィは再び地面に仰向けになる。
「…何すんのよ……」と文句を言ってくるルウリィ。「いいから早くポーション飲めっ!!」と、ルウリィの口にポーションのボトルを突っ込む私。「…むぐっ!」と口を塞がれて、飲むしかないルウリィ。そして――、しばらくするとルウリィの全身の傷が消えていった。何だか既視感。以前痛めつけられて、イゼッタ婆ちゃんにヒールを掛けてもらった日の事を思い出す。
「…にがっ……、不味っ……」とルウリィ。その表情で、やっと息が抜けた。
「…三秒、よく凌いだね……」
「…いや、まぁ……、夢中だったし……、…あんまり展開覚えてないんだ……」と、照れ臭そうに笑うルウリィ。
「……ありがとね…。あの三秒がなければ、…私は多分殺されてたよ……」そう言いながら、私はルウリィの頭に手を置く。
「…頭撫でんな……」と、顔を赤くしながらルウリィ。
「…私の方が一つ年上のお姉ちゃんだから、撫でてもいいんだよ…」と微笑みながら言う私。
「…んじゃあ、アタシ怪我人なんだから、おんぶしてよ…」膨れっ面で無茶な要求してくるルウリィ。
「甘えんなっ!!」撫でてた頭を軽く叩く。ルウリィは恨みがましく上目で睨んでる。顔がまだ赤い。
私は立ち上がり、ルウリィに手を差し出す。ルウリィはその手を握って立ち上がる。服もあちこち破けてボロボロだった。
「ねぇ、カオルコ…」
「何?」
「…帰るのは、その…、少し暗くなってからにしない? 私このカッコじゃまともに宿まで辿り着けないよ。…ズボン破れてパンツまで見えちゃってるし……」ルウリィがモジモジしながら言う。改めて見ると、なるほどこりゃまずいわ!
「あっはっはっ!」ちょっと笑ってしまう。
「何で笑うのよっ??」と怒りながらルウリィ。
「さっきまであんなにカッコよかったのに……、今はこんなにボロボロなんて…」笑いを隠さずに言う私。
「誰の所為でこうなったと思ってんのよっ!!!」と、真っ赤な顔の怒りのルウリィ。
「…しょーがないなー……、上着貸してやるから、それ腰に巻きな」と言いながら上着のジャケットを脱ぐ私。
「~~~~~っっ!!」引っ手繰る様に上着を奪い、素早く腰に巻くルウリィ。まだ顔が赤い。
「さて……、アンタの身体の事も考えて、もう少し休んでから熊の魔石回収して帰ろうか」
「うん」
二人して並んで座る。
三秒――。たった三秒だったが、二人の命を繋いだ時間だった。何か…、今日の一件でルウリィの事が、私と同じ等身で、頼れる相棒だと思えるようになった。ルウリィの成長具合に少し妬けるけど、嬉しさの方が上回っていた……。
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