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10 終
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一人となってしまった折花姫は森をひたすら駆け抜ける。けれども道は無く森は深いままでもはや津久井へ向かっているのかも分からない状態なのでありました。服はボロボロになり全身に付いている泥が体の体力を奪ってゆき、もう足も限界を超えて、あちこちに傷がつき、出血ほどのダメージを受けているのです。
しかし追手は姫の後を逃さずに追いかけてくるのである。
「逃すな!」
追手の声は前を逃げる折花姫にも聞こえており、姫は右往左往に森の中を走り回るのです。
身体が本当の限界を迎えた時、姫がたどり着いた場所は山の崖で先のない行き止まりであった。崖の下は川が流れ、そこに底の見えない淵がある。
他の方へ逃げようとそう考えたが、それはもう手遅れであった。追手達はすぐに崖の方へ着き、逃げる場所を塞いで姫を囲んだのである。
もはや万事休す、姫はここで最大の絶望を感じた。
「小山田行村の娘だな」
「——はい」
「無駄な抵抗はよせ、殺しはしない」
「…………」
姫は沈黙する。包囲する追手達を睨むように。——
「よし、捕らえろ」
一人の追手が声を出したその時、姫は父から貰った竹の懐剣を取り出して刃を追手達に向けると喉から大きな声で言う。
「お前達に捕らわれるぐらいならここで死んだ方がマシだ! ——父上と爺や婆やを殺したお前達織田を永遠に許しはしない、織田はじきに滅ぶだろう……」
折花姫は懐剣の刃を追手から自分の首元に向けるとそのまま自らの手で喉を貫き、後ろの崖から落ちてそのまま川の淵へと消えたのであった。——
その後、村人達はこの出来事に哀れさを感じ、山に折花姫を祀る折花宮(折花神社)を建て、折花姫の為に亡くなった翁と姥を弔うように、翁の亡くなった場所にジィジ宮、姥の亡くなった場所にバァバァ宮、と小さな祠を建てて供養したのでありましたとさ。——
——以上がジィジ宮とバァバァ宮の名前の由来と青根に伝わる悲しいお話である。なおこの折花姫の言い伝えには他の例やその話があったのやらなかったのやらと様々な説が語られている。だが今でもこの二つの小さな祠と小さな社が青根の地で静かに祀られているのは事実だろう……。
しかし追手は姫の後を逃さずに追いかけてくるのである。
「逃すな!」
追手の声は前を逃げる折花姫にも聞こえており、姫は右往左往に森の中を走り回るのです。
身体が本当の限界を迎えた時、姫がたどり着いた場所は山の崖で先のない行き止まりであった。崖の下は川が流れ、そこに底の見えない淵がある。
他の方へ逃げようとそう考えたが、それはもう手遅れであった。追手達はすぐに崖の方へ着き、逃げる場所を塞いで姫を囲んだのである。
もはや万事休す、姫はここで最大の絶望を感じた。
「小山田行村の娘だな」
「——はい」
「無駄な抵抗はよせ、殺しはしない」
「…………」
姫は沈黙する。包囲する追手達を睨むように。——
「よし、捕らえろ」
一人の追手が声を出したその時、姫は父から貰った竹の懐剣を取り出して刃を追手達に向けると喉から大きな声で言う。
「お前達に捕らわれるぐらいならここで死んだ方がマシだ! ——父上と爺や婆やを殺したお前達織田を永遠に許しはしない、織田はじきに滅ぶだろう……」
折花姫は懐剣の刃を追手から自分の首元に向けるとそのまま自らの手で喉を貫き、後ろの崖から落ちてそのまま川の淵へと消えたのであった。——
その後、村人達はこの出来事に哀れさを感じ、山に折花姫を祀る折花宮(折花神社)を建て、折花姫の為に亡くなった翁と姥を弔うように、翁の亡くなった場所にジィジ宮、姥の亡くなった場所にバァバァ宮、と小さな祠を建てて供養したのでありましたとさ。——
——以上がジィジ宮とバァバァ宮の名前の由来と青根に伝わる悲しいお話である。なおこの折花姫の言い伝えには他の例やその話があったのやらなかったのやらと様々な説が語られている。だが今でもこの二つの小さな祠と小さな社が青根の地で静かに祀られているのは事実だろう……。
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