機械の森

連鎖

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スノードロップ(再生)

⑧オレンジ(純粋。隣人。)

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(もう立ち止まらない。
 この先どんなに苦しくても、彼を探す為に先へ進む。
 昔の自分に戻って、この身体が誰かに壊されるとしても走り続ける。)

 夜中まで考えた結果、もし彼が見つけてくれないのなら、
 自分で消えた彼を探すことにしていた。

 自分で彼を見つけることができないかもしれないが、
 彼に見つけてもらうために、足掻き続けると決意していた。

 前向きと言えばいいのか、
 それともすごく後退したと考えればいいのか、
 死ぬことを拒絶したと考えれば、とても良いことに思えるのだが。。。

 目的ができれば、ただ過ぎていく時間は苦しいだけなので、
 花子は、自分がやらなければならないことを、思い出していた。

「フフン。。フッフッフン。フフフン。アハハハ。フフン。フン。」

(こうだった。。そうよね。アハハハ。そうそう。この顔。こうだよね。)

 昔よくしていた濃い化粧をして、
 また誰もが私を壊したくなるような、女の仮面を纏っていた。

 。

 そんな女のターゲットは、昔よく使っていたクズのような男。

「須藤さん。コンコン。須藤さん。部屋にいますか?」

(さあ、昔のように。早く私を玩具にしていいの。
 見ていたでしょ?この身体を貪っていいのよ。
 欲求不満のムッツリ女が、貴方を頼って来たのだから、楽しみましょう。
 写真で脅しても、そうね、そのまま襲ってもいいわ。アハハハハ。)

 病み上がりで弱ってしまった女が、
 誰かの支えを求めるように、弱々しい声で須藤に声を掛けていた。

 須藤の部屋は、全てが遠隔で動くようになっているので、

「カチャ。どうぞォォオ。鍵を開けました。入ってくダッサイ。
 はなちゃん。入ってえぇぇ。はやく、はやくぅう。はあ。ハアハア。」

(はな。ハナがきたぁあああ。ハアハア。あの格好で、あの顔で。。)

「おっ。。。お邪魔します。トントントン。」

 もう知った部屋なので、
 衣装部屋の前を通って、真っ直ぐリビングに入っていた。

「カチャ。。トントン。須藤さん。どうですか?」「。。。」

 もちろん、この男は全身を好きなだけ覗いていたのだが、
 目の前で嬉しそうに笑いかけてくる花子に魅入っていた。

「久しぶりに着たけど、似合っていますか?
 えへ。チョット恥ずかしいけど、
 今日は、こういう格好にしたんです。どうかなぁって?」
「ゴクン。。」
「須藤さんって、こういう服装がお好きですか?
 恥ずかしいけど、今日は頑張って着たんですよ。えへへ。」
「す。。。スゴイ。。。」

 毎日覗いていた。着替えも。全裸も。。。入浴姿。。。トイレ。。

 薄暗い部屋の中で、
 秘めた行為をしている花子の苦しそうな喘ぎ声も聞いていた。
 最近は、彼女が気持ちよさそうに寝息を立てる姿を見てから、
 自分も「おやすみ」と言って寝ることが日課になっていた。

 。

 昨日の夜は、花子が激しく乱れていた事を知っている。
 もちろん、色々な角度からその姿を堪能していた。

 今朝は、いつもの下着を脱いで全裸のまま、
 嬉しそうな顔で、寝室から段ボールを持ってきていた。

 まずは、その箱の中から、
 ローレッグの真っ赤なTバックショーツを取り出し、
 身に着けると、ショーツは浅いV字の布が腰骨まで続き、
 真ん中には、可愛い小さなリボンが付いて、
 お尻は、奇麗な生肌をそのまま見せてた。

 上半身は、大きく釣り鐘型の胸と、
 主張しているピンク色の乳首は、そのままにしていた。

(これから、あのカッコいい彼氏にでも会いに行くのか?)

 嫉妬の渦に、大声を出して暴れまわりたい気分になったが、
 なぜか自分の息子は、嬉しそうに何度も頷いていた。

 初めて見る麗華の化粧姿は、
 ショーツだけを履いて、高級店のようなメイクをしていた。

 彼女と付き合っていなかったら、見ることのできない光景に、
 秘密を覗いているような興奮が膨らみ、何度も絶頂を迎えていた。

 化粧の後、彼女は縮んでしわになった黒い筒を着ていた。
 その筒は、身体に通すとへそ辺りまでしか布がなかったので、
 赤いショーツの上に、着用しているチューブトップブラのように見えた。

 ショーツを隠すために必要だったのか、
 麗華は、黒いフィッシュネットタイツを履き始めた。
 タイツは上半身と同じく黒く、ショーツを包み込んでいた。

 糸が透けるほど細く網目も荒いため、隠す意味よりも、
 身体を直接触らせないために履いているように見えたが、
 その姿は奇麗なお尻を包んで持ち上げていたので、
 彼女の魅力を一層引き立てていた。

 最後に、臍までの黒い筒は伸縮性のある生地で、
 布をお尻の下まで引っ張ると、上部が胸の頂点あたりで止まり、
 布を伸ばした反動で黒い布が極限まで薄くなり、下着が透けていた。

 胸は谷間を作るように押しつぶされ、乳房の表面には、
 大きくなったプックリとした乳首が浮かび上がっていた。

 全身を華やかに飾り立てた麗華の姿は、美しくも淫靡で、
 つい最近まで貪り尽くしていた裸とはまるで異なるもののように見えて、
 ただ必死に、最初に見ることが出来るのは、自分だと慰めていた。

 それでも、この透けた格好で他の男性と外出する麗華を想像すると、
 理由のない嫉妬が、痛いぐらいに身体を貫いていた。

 。

「モニターで。。。」

(モニターで見るよりも、何百倍も。。。何万倍も奇麗だ。)

 つい声に出して称賛しようとしたが、

「須藤さん。。モニターって?」「ビクッっ。。。。」

 必死に言い訳を考えようと、固まっていた。

(ウフフフ。。まっだかなぁああ。
 アハハハ。知ってるわよ。あんな初歩テクニックじゃ、
 ただの盗撮部屋より下手くそ。。。。
 まさか、うーん、発見されるのを知っていて?)

 流石に、脂汗まで流しているのは演技では無いと思いたいが、
 これ以上須藤を追い詰める意味はないので、

「ああ、売り子の写真がネットに載っているの?
 そっかぁー。。アハハハ。でも、すこし恥ずかしいかな。」
「僕も沢山撮ったけど、仲間たちも沢山載せているよ。」

「上手く撮れてればいいけど、あの時の私って。。」
「大丈夫だよぉぉ。麗華様のコスプレ姿なんだし、
 みんな喜んで載せてる。。ん。。だ。。けど。」
「んっ?なにかあったの?何か写っちゃっているとか?」

「ごめん。ごめん。
 いつも、仲間内だけで掲載して欲しいと説明しているけど。。」

 少しだけ申し訳なさそうな顔をしていたので、

「アハハハ。気にしないでいいから、須藤さんも気にしすぎいいぃ。
 だって、全裸とかじゃあないし。アレでしょ?大丈夫。アハハハ。
 昔っから、よく盗撮されているから、気にしないで。」

(また昔みたいに沢山掲載されたら、有名になって、アハハハは。)

 麗華の背は昔から高いので、普通の子がミニスカートと履いた長さでも、
 自分が着ると、動くだけで下着が見えるようなスカートになってしまい、
 ネットには、パンチラ写真や食い込んだ際どい写真が掲載されていた。

 もちろんイベントでも、それ目当ての子が多いのは知っているし、
 今回のような小規模のイベントなら、同様のことが起こるし、
 それ以上のスカウトに会っていたとしても、気にしていなかった。

 。

「女神降臨」「詢子きたぁあ」「モノホンキタァアアア」
「もうちょい」「お。白。。」「脚の開いてるやつを持っている?」
「コレだよ。」「次のイベントは?」「麗華様って?」
「動画すげぇぇぇ」「これって、知ってるんじゃないか?」

 昔もよく見たコメントと、バックアップがいないと、
 よく見るアングルの映像が、須藤のモニターに映し出されていた。

 もちろん、他とは明らかに違う真下から撮影した写真や、
 古風な盗撮者が、昔よく使っていた袋から撮影した写真も混じっていた。

「みんな、こんなオバサンでも喜んでくれるのね。よかったぁぁ。
 デモ、スカートが短すぎよねェ。。ねぇぇぇ須藤さん?
 ほら、これ、完全に見えてるじゃないの。これってさぁぁ。」
「あの。やっぱり、正確に。。忠実にですとぉぉおお。」

「アハハハ。かわいいぃい。須藤さんも、喜んでくれたのぉおお?」
「イヤ。。あ。。あっ。。あの。。。あ、あの。。はっ。はい。」

 彼女の部屋を毎日覗いている自分と、
 自分が盗撮した写真を見ながら、嬉しそうに笑いかけられる状態に、
 どう答えたらいいか、どうすればいいのか悩んでいた。

「そっかぁぁぁ。喜んでくれたんだぁぁぁ。アハハハ。そっかぁ
 それなら嬉しいけど、お礼って、まだだったでしょ。
 今は元気になったんだから、ここを揉んでみる?他にする?」

「はな。。もう、それは。。。。」

 この男としては、身体を味わって十分にお礼は貰っているのと、
 今も利子付けて返済してもらっているので、お礼と言われて困っていた。

「この服って、すごく薄いから、触っても生肌のようなのぉぉ。
 もちろん、しってる?須藤さんの為に(ノーブラ)なの。ウフフ。」
「ノーブラって。。花子さん。」

 顔を近づけて説明しているのもあるが、透けて見える突起の陰影と、
 盛り上がっている胸の感触を思い出して、肉棒が主張していた。

「ほら、見えるでしょ?ここ。。。ここよ。」「うぅううう。」

 もちろん彼女が指さした場所は、発情したように大きくなり、
 舐める度に、何かが彼女から出ていると錯覚していた膨らみで、
 その場所が、今すぐに触って欲しいと主張をしていた。

 それでも襲ってこない男に、

「私のっておおきいから、とっ。。。ても。。。
 ギィィイイイイ。気持ちいい。。。のっ。よ。フワッ。」
「あっ。。。。はなこさん。。」

 仲のいい友達が、肩を組むように、左腕を背もたれの裏に回し、
 背もたれに身体を預け、相手の横顔に胸を押し付けていた。

「ギィイイ。優しくね。。」「ふうふう。」
 
 今度は右足を持ち上げて、相手の両脚をまたがるように身体を動かし、
 そのまま須藤の太ももの上に腰を下ろしていた。

「痛いから、触る時は、やさしくお願いね。須藤さん。ユサユサ。」

 続いて椅子と一緒に顔を全身で抱きしめるように、
 両腕を背もたれに回して、身体を彼に預けようとしていた。

「はな。。」

 目の前には大きな胸の谷間が広がって、
 上着は腰あたりまで捲れあがっているので、
 美しいカーブを描いた下半身がよく見えていた。

 また、黒いタイツが生足を隠しているので、
 すぐにでも触って感触を確かめたくなるような、
 誘惑的で廃退的な格好をしていた。

 もちろん、麗華の身体がすぐそばにあるので、
 大人の女性が放つ甘い香りが全身に広がり、男の思考を鈍らせていた。

「さあ、イイのよ。だって。。。お。。れい。だ。。もの。」

(さあ、この格好でいいでしょ?これが我慢できる?
 昔の男みたいに、滅茶苦茶に破っても。吸い付いても。揉んでも。
 もちろん。ウフフフ。無理やり股の部分を破って、穴を蹂躙してもね。)

 こういう顔は、よく写真集で予習していたし、もちろん妄想もしていた。

「。。。。。あの。。。少し、考えたんだ。」

 この顔の麗華を、何度も押し倒す事を夢見ていたが、
 この男はヘタレだったので、違う答えをしていた。

 寝ている花子ならば好きにできたが、
 今のような麗華を襲うほどには、まだ女に慣れていなかったので、
 彼女が誘ってくる顔を見ないように、目を閉じていた。

「こんな、おばさんの駄肉じゃ。ダメってことね。はぁああ。やっぱりぃ。
 じゃあ、わ。。た。。しの。。あなを?。ウフフフ。

 私の穴って、いつも極上っていわれるのぉぉ。
 ペロ。うふふ。しっかり、奥まで味あわせてあげるよ。

 須藤さんなら、子宮の奥に出しても我慢しちゃうから、どう?」

 相手が誘っている言葉は、
 意識のある彼女を、合意で犯していいと理解していたが、
 やっぱりへタレで、悪いと言っても小悪党程度の須藤だと、
 写真で脅したって、監禁して働かせたって、
 薬で自由を奪おうとしたって出来たが、その事を選ばなかった。

「はなちゃん。違うんだ。」

「じゃあ、私の身体なんかに、少しも興味が無いんだぁぁ。
 くたびれたオバサンに、して欲しいことなんて何も無いってこと?
 じゃあ、やっぱり。あれなの?。。お。。か。。。」

 もちろん、こういう行為をする事を夢見ていた女から、
 お礼として、絶対に聞きたくなかった言葉が出始めたので、

「違う!違うんだ!!はな。聞いてくれ。」

 これ以上は、花子の謝罪を聞いている事に我慢できなくて、
 自分の罪が、すぐに消えて欲しいと叫んでいた。

「なあァアにい?」

(私でも、お金でもない。。うーん、他に何が有るの?何が欲しいの?)

 ただの通過点。ただのゴミと思っていた男が、
 自分を拒否する理由が気になって聞いていた。

「仲間たちに、さ。さつ。。撮影会。。をぉぉぉ、
 開いて欲しいと頼まれているんだ。
 はなちゃんを撮影したいって、会って撮影したいって、
 是非、もう一度でいいから、会いたいって。。一度でいいからさぁ。」

 この男の言える事は、
 この状況を仲間たちのせいにして、現状から逃げ出す事だった。

「そんなんで、イイの?」

(ウフフフ。みんなで。。アハハハ。そうなの。いいわよ。
 私も、久しぶりに滅茶苦茶になりたいもの。はぁぁ。何本だろう。

 何人の肉便器になれる?あの子たちなら一晩中かなぁぁ。
 次々増えて。ピクピク痙攣した状態でも。。アハハハ。
 寝るのも許されないかなぁ。ああ、お客を取れって言われたりぃ。)

 もちろん花子は、自分が昔に戻れる歓喜と、
 絶望への道を転げ落ちていく快感に溺れていた。

「ああ、でも沢山の人が撮影に来るから我慢して欲しい、
 もちろんバイト代も出すから、それでいいかな?」

「それで、お礼?須藤さんがいいなら。別にいいけど。
 でも。ユサユサ。。。。イイの?これは、別の御礼にしてもいいわよ。」

(ウフフフ。さあ、早くおいでよ。
 その子は。。。もう我慢出来ないって言ってるわよ。)

 部屋中に充満しているザーメン臭に、
 脚の上に跨いで座っているので、突き上げるほどの熱い猛りと、
 我慢できなくて吐き出している湿り気を、下着の上から感じていた。

「ああ、俺は。。。ごめん。。。ガサガサ。。
 この子とつっ。。付き合っているから、ダメなんだ。 

 ほんっとおおぉぉに、ごめんなさい。

 花子さんが、とても魅力的なのは本当だよ。
 仲間たちも、メロメロだしさぁあああ。アハハハハハ。

 で。。でも僕は、この子と付き合っているんだ。
 だから、う。。うわきは、出来ないんだ。ごめんなさい。」

 足元に置いてあった紙袋から、
 小さな子供が遊んでいる薄汚れた人形を取り出して、
 仲間内でやる鉄板ネタをしていた。

 。

 いくら誘っても乗ってこない須藤に飽きた麗華は、
 部屋に戻って、手渡された洋服を見ていた。

(ざーんねん。アハハハ。でも、今度は乱交でしょ。
 今度こそ、アハハハハハ。今度こそよ。
 でも今度は、これを着て撮影なのよねぇぇ。
 本当に好きよね。こういう感じ、一枚剥けば一緒なのに。。。ねっ。)

 須藤の家で覚えていたのは、
 自分もよく付けていた香水と同じ匂いが首筋からして、
 オレンジからバラへ、最後にはジャスミンに変わっていた事だけだった。


 ⑧オレンジ(純粋。隣人。)
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