機械の森

連鎖

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⑨ドクダミ(白い追憶。小さな公演。)

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「フッフウン。。。フッフンフウン。アハ。アハハハ。フフッフン」

 リビングて、嬉しそうに全裸で花子は踊っていた。

(今日よ。はぁぁああ。。あなた。私ね。。アハハハ。アハハハハ。)

 花子のペアは、真っ白なワンピースを着た麗華で、
 二人は夜遅くまで、楽しそうに踊っていた。

 。

 服を受け取ってから一週間後、
 撮影当日は、まるで花子の門出を祝福するような、
 雲ひとつない晴天の日だった。

「今日も、いい天気ですね。」
「それよりも、どうでしょう。似合いますか?」
「はっ。。はい。とっても。。」
「うふふ。こんなおばさんでも、喜んでもらえてよかった。」
「。。。」「須藤さん。そんなに見つめられても。何も出ないですよ。」

 花子は、全身を隠す真っ白なワンピースを着ていたが、
 角度と光の加減によってワンピースが透けてしまい、
 服で隠されているはずの下着姿が、須藤から見えていた。

(奇麗だよ。麗華。すごくキレイだ。。とっても似合っているよ。)

 妖精のような容姿にスタイル抜群の身体と、
 話しているだけで心が踊っていた。

 そんな男が用意したカメラは、大きなレンズが付いた一眼レフカメラで、
 実は服を透けさせる、特殊な機能が付いているものを用意していた。

 今もそのカメラを向けて確認したかったが、

「(あ。。。靴)」「アハハハハハ。ごめんなさい。これしか無くて。」
「今から。。」「ぐいい。早く行きましょう。早く。早くぅうぅうう。」

 白い靴なので似合っていないとは言えないが、
 使い慣れた靴の汚れが恥ずかしいのか、彼女は笑って手を引いていた。

 。

 今朝も、花子の姿を須藤が覗いていた。

「あーあ。。この服だと。。。コレジャナイ感がするわねぇえ。」

 渡された真っ白な服を見ながら、いつもの様に下着姿で考えていた。

「あっ。。。そうそう。。。」「どどどど。。。バタン。。ダン。。」

「アハハハハハ。懐かしいわぁああ。スルスル。。」
「パチン。。コレかなぁあ。。ぐいいい。。うーん。ぽーい。」
「スルスル。。コッチかなぁああ。」

 これだけいやらしい身体で、一人で海外生活をしていたのだから、
 愛人になって欲しい。結婚して欲しい。一夜でもいいから。
 ストレートに、ヤラセろと言われることも多かった。

 花子を求めるような誘いが数多く寄せられる中で、
 男性たちからは、プレゼントやジョークのつもりで、
 女性たちからも仲良くなろうと、様々な服や下着、
 邪魔なアクセサリーや不動産まで、多くのプレゼントが贈られていた。

 そんな思い出も何もないプレゼントは、ほとんど換金していたが、
 売ることが難しい下着や、ジョークグッズは捨てずに、
 倉庫にしまって、思い出として保管していた。

 まとめてしまっていた思い出の品も、
 魅せる相手が現れたので、ダンボールに入れて自宅に送っていた。

 その中から今回は、
 ブラは、アンダーワイヤーブラで胸を持ち上げて谷間を作り、
 ショーツは、ローレッグのVストリングのTバックで、
 二つはセットらしく、レース生地の刺繍がビッシリ入っていた。

 その下着の上から着ている白いマキシ丈ワンピースは、
 Aラインのハイウエストなので、
 みぞおち辺りから、フリルの付いたスカートが綺麗に広がっていた。

 。

 自分から手を繋いだため、手を離すタイミングがつかめないまま、

「こっちなの?」「グイ。。いいんだ。撮影はこっちでやるんだ。」

 車が停まっている場所とは違う方向に、手を引かれていった。

 。

 手を繋いだまま先に進んで行くと、

「ここで撮影をしたいんだ。」「ここ?ここって、公園でしょ?」

 いつものようにホテルの一室で撮影会か、
 もしくは撮影ブースを借りて行為をするつもりだったが、
 なぜか近くの子供たちが遊ぶ公園で、撮影すると言われていた。

(麗華。。。最高だよ。凄くキレイだ。とっても似合っている。)

 須藤も本当は、仲間も呼んでいる場所で撮影する予定だったが、
 花子を見た瞬間に自分だけのものにしたくて、
 すぐ近くの公園で撮影するように変更していた。

「どうすればいいの?」「子供のように、遊んでくれていいから。」
「もうおばあちゃんよ。うふふふふ。」

 その笑い顔が可愛くて、

「カシャン。。あっ。」「じゃあ、汚しちゃったら、ごめんなさいね。」

 最初のシャッター音が舞台の始まりのように、
 妖精のような女性が、森の中を踊り始めていた。

「カシャン。。。カシャカシャカ。」「それぇええ。」「カシャン。」

 公園には数個の遊具が揃っているが、
 子供の声がしない、少し寂しい公園で二人は踊っていた。

 。


 最初は、ブランコ。

 小さな子供用なのだろう。
 吊っているチェーンの幅が身体ギリギリを通って、
 揺らすたびに、ギーギーと悲鳴をあげているが、
 麗華は嬉しそうに、立ったまま膝を曲げて勢いをつけていた。

 麗華のスピードはどんどん速くなり、両脚が水平になると、
 くるぶしまであるスカートであっても捲れて、
 スカートの中に隠していた生足さえも視線に晒していた。

「はなちゃん。見えちゃってる。見えてるって。カシャカシャ。」
「ギイーギイィ。。。アハハ。高い。高あぁあいい。アハハハ。」

 その姿を近くで撮ろうとして、
 須藤は、何度も麗華が靴を乗せている台座にぶつかりそうになっていた。


 次は、スイング遊具。

 子供用なので、
 スカートの中にすっぽりと入ってしまい、遊具が見えなくなったが、
 台座に座ってステップに足を無理やり乗せると、
 地面に接続しているスプリングが、ビヨンビヨンと激しく揺れていた。

「はなちゃん。危ないって。危ないよ。カシャカシャ。」
「揺れる。ゆれるぅううう。ビヨォォオン。。ビヨオオオオン。」

 必死にグリップを掴んで、揺れている姿が面白かったが、
 よくみると、グリップを掴むために、
 膝を曲げたまま左右に大きく広げて、
 邪魔なスカートを、膝より上に持ち上げているので、
 ある方向からは、麗華の隠したい場所が覗けるようになっていた。

「はなちゃん。隠して。隠してって。カシャカシャ。」
「ビヨォォオン。。ビヨン。アハハ。揺れてるよぉぉお。アハハハ。」

 凄い角度から撮ろうとして、
 須藤は、麗華から何度か頭突きをされそうになっていた。


 次は、ジャングルジム。

 子供にとっては大きな遊具であっても、 
 大人が登ればすぐに頂上に登ることができる程度の高さで、
 一段一段が短く、足を掛けるのが難しいが、
 花子はゆっくりと、一歩一歩足を掛けて登っていった。

「だから、はなちゃん。スカートを押さえて。押さえて。カシャカシャ。」
「やっぱり難しいね。。ズル。。キャッ。。アハハハ。。高いよぉおお。」

 頂上が高いと言っても、遊具の上でしゃがんでいれば、
 麗華の身長とあまり変わらないので、
 一番高い場所の棒に足を掛けて、立ち上がっていた。

「はなちゃん。立っちゃダメだって。そこは危ないよ。カシャカシャ。」
「グラグラ。。アハハハ。たかい。たかー-いい。グラグラ。アハハハ。」

 ジャングルジムの上で、脚を広げた姿を真下から撮ろうと、
 遊具の中に潜り込んでいたので、
 須藤は、何度もカメラを金属の枠にぶつけていた。


 最後に、滑り台。

 滑り台はとても小さいので、2歩ほどで階段を上りきったが、
 上に立つとスカートの裾が須藤の頭より高くなり、
 下から見上げると、生足とTバックの布がバッチリ見えていた。

「見てるぅぅう?どう?ちゃんと撮れてる?いくよぉぉお。」
「カシャカシャ。。カシャカシャ。」「もう、須藤さんのエッチぃいい。」

 少し引きで全体を撮影していると思っていた花子は、
 スカートの中にカメラを突っ込んで撮影している須藤に、
 初めて、非難めいた声をあげていた。

 続きは、滑り台といえばという現象を押さえる為に、
 必死に地面に寝転んで、滑り降りてくる麗華を待っていた。

「。。。。。」

(そんなに見たいのなら、いつでも見せてあげるのにぃいい。)

「ズルズルるる。ずるるるる。。。ザ。。ザアア。。ザザアアア。。。」

 滑り台を滑り落ちてくる生足と勢いで捲れていくスカート。
 女性器を隠す白い布を必死に撮影していると、
 着地した麗華の脚が地面を蹴って、

「バサアァアァ。パラパラ。」

 覗いている須藤に向かって、土埃を飛ばしていた。

(そんな覗きじゃなくて、早く襲いなさいよ。
 この誰が見ているかわからない場所で、犯すのが好きでしょ?
 悲鳴をあげて泣き出す女を、腕力で押さえつけるのが好きよね。
 もちろん、小汚い便所として、あの場所に放置してもいいわ。
 さあ、おいでよ。犯して。壊して。ボロボロになるまで。。。
 叫んだって許さない。懇願したって、笑って犯してちょうだい。)

 その後も花子は、
 小山を駆け登ったり、木にぶら下がったり、突然駆け出したりして、
 何かを必死に取り戻そうと、公園を駆け回っていた。

 。

 撮影会も終わり、家に戻って来た二人は、
 いつもの様にドアの前で話していた。

「とっても楽しかった。この写真が出来たら、是非見せてね。うふふ。」

(それって、あのフィルターでしょ。うふふ。どんな姿が写っているの?
 また。あんなページで、沢山の男にすました顔を見られるのね。
 お前の隠したかった場所は、俺たちは見ているんだぞって言われて。。
 もちろん、この写真を消したかったら。。。。ハアハア。そうよ。
 早く来てぇ。あなた。。花子は、ここで待っているわぁああ。)

「あっ。はい。ありがとう。」

「こんな、おばさんで良かったら、また誘ってね。」「イヤ。是非。」

「そうだ。ごめんなさい。ちょっと、ここ。。
 ここを沢山汚しちゃった。だから、買取りをさせて。」

 最後にもう一度だけ須藤が襲いやすいように、内側に日差しが入って、
 スカートの中が透けるように調整しながら、お尻を突き出していた。

「。。う。。。あ。。女性の服なんて持っていても仕方が無いから、
 嫌じゃなければ、プレゼントさせてください。今日の。お。。お礼に。」
「悪いから、買わせてちょうだい。プレゼントっていうのも。。」

(プレゼントって、もう会うことも無いし貰っても困るけど。捨てる?)

「うーん、そうだ。また、撮影をお願い出来ますか?
 その為のプレゼントってことで、どうですか?アハ。アハハハハハ。」
「男の人からのプレゼントって。。。」「イヤ。あの。。あはは。」

「ウゥうん?そうねぇえ。
 可愛くて気に入ったから、また着させてもらうわ。」

(簡単に破れそうだし、
 この格好で騙される男も多いから、何処かで使う事があるかも?)

「じゃあ、今度はデートでも。。」「そうね。その時にも着ていくわ。」

(まあいいか。汚れは落ちないけど、
 クズと遊ぶ時に考える事が減りそうだし、貰っておこうかなァア。
 遊ぶことが出来たらね。うふふふふ。ねえ。須藤さん。遊べるとでも?)

「ウソ。。。本当に?」
「イイわよ。こんなおばさんが相手で良ければ、また誘ってね。うふふ。」
「それじゃあ。」「さようなら。」

 二人の手が掴まれることも無く、部屋に戻っていた。

(はぁあああ。ダメかぁあ。ダメダメダメ。またダメ!!!
 どうしてなの?何が不満?何が足りなかったの?
 それとも、このクズは関係なかったの?クズじゃなく、ゴミって事?
 ねえ。違った?私。何処かで間違ったの?)

 必死に先に進もうと考えていた花子は、部屋の中で泣いていた。

 。

 須藤が部屋に戻ると、

 モニターには、
 透けて全裸のようになった花子の笑っている白黒写真と、
 透けた下着だけで、気持ちよさそうに寝ている花子の姿が映っていた。

 。

 花子が夢に見ていたのは、

 遠い昔に見た公園の光景で、
 先ほどの公園と同様に整備されていない場所には、
 美しいドクダミの花がたくさん咲いていた。


 ⑨ドクダミ(白い追憶。小さな公演。)
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