55 / 56
見えざる手
小部屋①
しおりを挟む
依頼人の部屋で夏目は悩んでいた。
今回のアルバイトは、自分から進んでやりたいと言ってお願いした事で、
少し変だが、依頼人が用意した服を着ることや、少し悩んだが、
指示通りの方法と時間で移動することも約束している。
それだけの事でお金をもらえ、
必要な物はすべて経費で買えるという好条件に、
夏目は喜んでいるはずだった。
もちろん、移動すると言っても、
遠くまで一人で歩けと言うような、酷い内容では無く、
十五分ほど歩いてバス停に行き、そこから三十分ほどバスに乗り、
その後は三十分ほど電車に乗るという、全体で2時間程度のアルバイト。
夏目は、その事を軽い旅行の様な気がして嬉しかったし、
拘束時間も短く、時給も高く、前払いという好条件、
しかもこの事で、海斗の役に立てると思うと嬉しかった。
しかし、彼が「何か起こるかも。」と心配な事を言ってきたが、
夏目が「危険なの?」と聞けば、「全力で守る。」と約束している。
もちろん、所長さんと一緒に近くで見守ってくれているはずだし、
心配だからと色々な道具も貸して貰えた。
そこまでは、良かったのだが、
夏目の姿は、中年の女性が着るには痛すぎな、
独特な人達には狂喜乱舞する、白のボディコンミニワンピースで、
まだ寒くなっていないからか、普通の場所で着ることを諦めているのか、
エプロンの様な形で、胸元。乳房。腹部の前面部分は隠され、
首に巻かれたマフラーのようになった場所に繋がっている。
しかし、夏目のGカップの横乳は丸出しで、
軽く引き締まった背中など隠す気もなく、
ギリギリを狙っているのか、それとも背骨を強調したいのか、
腰辺りまで背面がくり抜かれて、引き締まった腰回りも強調していた。
そんな姿を、これから通勤時間でごった返しているバスや電車に乗り、
依頼人が探している男?女?老人?子供?外人?を、
見つけて欲しいという依頼だった。
まあ、これも仕事だと思って、スマホで撮影した写真を海斗に送ると、
「とても似合うし、最高だよ。」とまで言われてしまえば嬉しいし、
「夜は、この格好で。。」とまで囁かれてしまえば、
「こんな服を着れない、辞める。」と、仕事を途中で断れなかった。
。
海斗を送り出した山崎も、
今回の護衛対象の女に、何かあったら問題だとスマホを見ていた。
「[何をしていますか?]」
山崎の見た目は、薄い本に出てくる厳つく太り過ぎた相方のようで、
真剣な表情でこんな早朝のファミレスに一人で座っていると、
徹夜で何か気になることをしていたか、
これからするのではないかと疑われても仕方がなかった。
「[大丈夫ですか?]」
そんな山崎が、太く節くれた指で必死にスマホを操作する姿は、
どこか不器用で滑稽さまで感じさせるが、
そんな彼が真剣な表情でスマホを見つめる。
その目線は鋭く、
警察の上層部まで叩き上げで昇進した経歴を持つ彼らしい、
何かを考えているような顔で、
護衛対象がコンビニの店員に、話しかけている様子を見続けていた。
「包装。。捨。て。」「えっと。。お姉さん。ぼっぼっく。」
「あっ。。絆創膏っ。。」「あっち。。で。ど。。どどど。」「こっち?」
「そのたたあなぁあ。あっと。。ぼっ。。僕は。。童貞です。」
「えっ。アハハハ。ごめん。。。また見えた?」「いや。童貞なんです。」
「見苦し。。のを見。。違い。。った?」「僕の。。」
「ごめん。。違。。うふふふ。」
あんな格好で早朝のコンビニに入り、
いつものように彼女が買い物をしていれば、
妄想が激しい人の慌てた声と、
謝っているのだろう、上下に激しく揺れている画面には、
「えっ!」
「勘違い。。。んなさい。。。捨て。。トイレ。。長い。使う。。」
顔を真赤にして、真面目そうな大学生の焦った顔。
「ガラガラ。。がゴン。」「[夏目さん?]」
その後に続いて聞こえたのは、大きめの引き戸が激しく閉められた音に、
色々と設備がついた小部屋の風景。
「ゴソゴソ。。海斗ぉ。あのさぁ。この服のサイズが絶対に小さいよ。
歩くたびに捲れちゃうしぃい、色々はみ出るしぃ。」
「すみません。依頼人が決めた服を着て欲しいとお願いされまして。。」
(やっぱり、そうだよなぁ。はぁ。すみません。夏目さん。ごめん。)
犯人が見たいという服を着た女が近くにいれば、
特別な理由がない限り、その女に興味が移るものだし、
もしその女が最初の女よりも魅力的であれば、
最初の女のことなど簡単に忘れるという理由で、
依頼人がこの露出狂のような服を選んでいることに、
山崎はさすがに気づいていた。
とはいえ、それを依頼人に指摘しても意味がないし、
犯人が悪いのは当たり前なので、
公僕ではない一般人として探偵事務所を経営している山崎は、
多少の料金を上乗せしつつ、依頼人に軽くわからせるような表情で、
この変な依頼を承諾していた。
(家のは絶対に違うはずだが。まあいい、この犯人を探せば。。。)
「アレ?カイトは?」「今。ちょっと手が離せない用事が。。」
相手から見えてはいないが、
何故か申し訳なさそうに、スマホに向かって山崎が頭を下げている。
「ふぅうん。シゴトって大変なんだああぁ。ゴツ。ガタガタ。
ガツン。ずつずうう。ふう。ズズ。ガツン。ズズッ。ふぅうう。
この締まる感じが嫌なのよねぇ。はぁぁ。どん。ずつずぅう。
よいっしょっ。グイグイい。はあ、入ったぁあ。アハハ。ヨシッ。」
頭を下げながら山崎が何かを言っているらしいが、
夏目は少しも気にせずに、
何かを履いているような音や声が山崎の耳に聞こえる。
「する。ペタッ。もぉ。ペタッ。ハァあん。イヤッ。はぁぁん。
イヤッ。ハアハア。ペタッ。海斗もよく吸うからぁ。うぅうん。
ハアハア。最近大きくなった。。クネっ。うぅうん。ハアハア。ぐい。」
続けて聞こえたのは、色っぽい声で喘ぐ夏目の声と一緒に、
何かを何処かに貼っている音。
そんな音を聞きながら、山崎と夏目が何かを話している内に、
彼が何かに気付いて怒り出したらしく、突然大声で叫びだす。
「おい、ばゔぁああ。」「かいとぉお。ウフフ。着替えちゃったぁあ。」
「おい!。ババア聞けぇええ。」「ウフフ。見てみてぇええ。アハハハ。」
怒鳴る山崎の声が聞こえていないのか、
それとも既に話し終えているのか、夏目はペンダントを首から外し、
手に持った瞬間、画面が激しく揺れた。
「ババア。何をしている!さっさと見せろ。いいから戻せええぇ。」
その後、彼女が腕を伸ばしたらしく、
カメラの視点は上空から全身を映し出す映像に切り替わる。
その映像に映る夏目は、いたずらが成功したとでも言うような、
とても嬉しそうな笑顔を浮かべ、その笑顔と共に、
美しくも挑発的な身体のラインがくっきりと映し出されていた。
「うっ。。なっ。。」
「カイトぉ。見てみてえぇ。私、こんな格好になっちゃったぁ。アハハ。」
「奥さま。。えっと。。申し訳ございません。。。」
「しょっ。。ちょーうぅう。。さん?カ。。イ。。ト。。は?」
いつまでも海斗の声が聞こえないことに違和感を覚えたのか、
それとも山崎が何か気になる事を言ったのか、
夏目の表情に変化が見え始めた。
その表情は、最初はいたずらが成功したかのような、
満面の笑みを浮かべて全身を映していたが、その顔が次第に曇り、
とても嫌そうな顔つきへと変わる。
そしてついに、その声色までも明らかな怒りが滲み出ていく。
「ババア。そんなばぢょで、およこでもばぼおびぶて。。」
「所長さん?海斗は何処よ!今、どこにいるの?いい?ドコ!」
「えっ。。ババアの恰好が見たくネェえって、えっと。。。
わっ。わっかあぁいんがいいって、アッチに向かったぞ。」
(ごめん。海斗。本当にすまない。もう無理だ。ほんっとうに。すまん。)
外で見た彼女が、そのまま画面に写っているのならいいが、
今の夏目の格好は、変態露出狂ワンピースを脇辺りまでめくり上げて、
Gカップの大きな胸を晒している。
その大きな胸の膨らんだ乳首に、ニップレス替わりの絆創膏を貼り、
赤いタンガのエロいショーツを見せない変わりに、
葬儀用の妖艶な黒いストッキングを履いて隠している。
そんな彼女が、満面の笑みで嬉しそうに笑っていたかと思えば、
海斗がいないことに気づいた途端、突然怒りだした。
その変貌ぶりがあまりに恐ろしかったらしく、
山崎は思わずいらない事まで追加して、素直にすべてを白状してしまう。
「もういい、わかったぁ。また浮気ネェえぇえ。
ハイハイ。ババアじゃいやってことでしょぉ。
もぉおおお。飲まないとやってられないわ。もう飲んじゃうからぁ。」
「カイトは、ですねぇ。しっ。。しごとに支障があるから。。
そっ。。ソレでね。夏目さん?あのぉ。かいとは悪くないッてえぇ。
いうかぁあ。仕方ない。って感じででづね。あの?夏目さん。」
「ガラガラ。。ドォオおおおん。」
ペンダントは首にかけ直したらしく、
閉まっていた扉が画面に映り、それが勢いよく開く。
「ち。違うんです。あの。こっこれは。。」
「アレ?キミ。こっちに来て!。。ぐいぃいい。ドオォン。」
開いた扉の向こうには、さっきまでレジで作業していた店員が、
洗面台で何かをしている姿があった。
その直後、突然トイレの扉が開いた音に驚いたのか、
それとも焦ったのか、店員がこちらに驚いた顔で近づいてくると、
胸元あたりを映していた映像は急に真っ暗になり、
次に扉が閉まる音だけが響いた。
「もごもご。ふぅうう。アノ。何も。。えっと。ごめんなさい。」
「ガサ。アレ。コレで買ってきて。適当に、ちがう種類の複数でいいわ。」
「えっとぉお。さっ。。撮影でしょうか?」
「いいから、さっさと行くの!いってストロングを買ってきて!」
「エッ。。夏目さん?聞こえていますか?ストロングってなんですか?」
「うるさい。黙れ!」
「あの。の。覗きとかじゃ無くてですね。ぼっ僕わぁ。
洗面台のせっせいそいうをぉ。しっつぃご。とぉおで。ですねぇ。」
(ヤベェええ。撮影かよ。でも。。インディーズかぁ?
アレで撮影?もしくは、スカウトをされて、コレジャラホテルぅう?)
店員は山崎の声が聞こえていないので、財布から突然万札を出されて
「買ってきて」「黙れ」と言われただけで驚いてしまったらしい。
ただ、その視線は、
大きな乳房の上で揺れるペンダントに釘付けになっているし、
その顔は山崎が見ているスマホにも映っていた。
「こんな格好をさせて、私を守ろうともしない海斗なんて知らない。
帰ってくるまで飲んでやるぅうう。
もう、酔っ払わないと、こんな事なんて出来ないわよ。
帰ってこないなら。もういい。ここで酔いつぶれてやるわっ。」
「違うんです、外で音を聞いていわけでも、無いんです。許して下さい。
そんな事なんてしません。絶対にこの事を誰にも言いませんし。
忘れますから。だから許して下さい。ごめんなさい。」
(ん。。痴話喧嘩?露出狂のカップルとかなのか?じゃ。寝取らせようと?
でも喧嘩?じゃあ、酔いつぶれ。お持ち帰り。酔いつぶれぇえ!!)
さっき突然怒られて驚いたものの、
どうやら連絡先の誰かに向けた怒りらしい。
そして、自分に酒を買いに行けと言っていたらしく、
挙句には酔い潰れるつもりだとも言っているなら、
不満の矛先を自分に向けさせればいいし、もしそれがダメでも、
酔い潰れた彼女を介抱するか、眠り込んだ彼女と、
そのまま卒業を済ませるという選択肢に気づき始めた。
「ねえぇえ。キミは付き合ってくれるよね。こんな寂しい女の相手を。
キミは付き合ってくれるでしょう?これから一緒に飲みましょおぉ。」
「ン?夏目さん?仕事中ですよ。まさか、お酒を飲むつもりですか?」
「はい。じゃぁ。いいってぇえ来ますぅう。すぐ戻ります。がらあぁ。」
「ウフフ。沢山買ってきてね。すこぉおし、暇になっちゃったぁ。」
「どぉおおん。」
山崎は見て知っているが、夏目はそれを魅せて気にしていないのか、
若く大学生程度のバイト先の服を着ている男に、
上半身は、巨大な乳房を絆創膏で乳首を隠しただけ、
下半身は、黒いストッキング越しで見えづらくなっているが、
真っ赤なタンガでしか隠していない下腹部を見せている。
そんな格好を見て、若く童貞の彼がジロジロと驚いて見ているのに、
夏目は、少しも隠そうとはしないし、嫌な顔一つもしていないらしい、
逆に嬉しそうな声で話している。
しかも、これからその格好のままで、彼とコンビニのトイレで、
お酒を楽しもうとしている事に山崎は驚いていた。
小部屋①
今回のアルバイトは、自分から進んでやりたいと言ってお願いした事で、
少し変だが、依頼人が用意した服を着ることや、少し悩んだが、
指示通りの方法と時間で移動することも約束している。
それだけの事でお金をもらえ、
必要な物はすべて経費で買えるという好条件に、
夏目は喜んでいるはずだった。
もちろん、移動すると言っても、
遠くまで一人で歩けと言うような、酷い内容では無く、
十五分ほど歩いてバス停に行き、そこから三十分ほどバスに乗り、
その後は三十分ほど電車に乗るという、全体で2時間程度のアルバイト。
夏目は、その事を軽い旅行の様な気がして嬉しかったし、
拘束時間も短く、時給も高く、前払いという好条件、
しかもこの事で、海斗の役に立てると思うと嬉しかった。
しかし、彼が「何か起こるかも。」と心配な事を言ってきたが、
夏目が「危険なの?」と聞けば、「全力で守る。」と約束している。
もちろん、所長さんと一緒に近くで見守ってくれているはずだし、
心配だからと色々な道具も貸して貰えた。
そこまでは、良かったのだが、
夏目の姿は、中年の女性が着るには痛すぎな、
独特な人達には狂喜乱舞する、白のボディコンミニワンピースで、
まだ寒くなっていないからか、普通の場所で着ることを諦めているのか、
エプロンの様な形で、胸元。乳房。腹部の前面部分は隠され、
首に巻かれたマフラーのようになった場所に繋がっている。
しかし、夏目のGカップの横乳は丸出しで、
軽く引き締まった背中など隠す気もなく、
ギリギリを狙っているのか、それとも背骨を強調したいのか、
腰辺りまで背面がくり抜かれて、引き締まった腰回りも強調していた。
そんな姿を、これから通勤時間でごった返しているバスや電車に乗り、
依頼人が探している男?女?老人?子供?外人?を、
見つけて欲しいという依頼だった。
まあ、これも仕事だと思って、スマホで撮影した写真を海斗に送ると、
「とても似合うし、最高だよ。」とまで言われてしまえば嬉しいし、
「夜は、この格好で。。」とまで囁かれてしまえば、
「こんな服を着れない、辞める。」と、仕事を途中で断れなかった。
。
海斗を送り出した山崎も、
今回の護衛対象の女に、何かあったら問題だとスマホを見ていた。
「[何をしていますか?]」
山崎の見た目は、薄い本に出てくる厳つく太り過ぎた相方のようで、
真剣な表情でこんな早朝のファミレスに一人で座っていると、
徹夜で何か気になることをしていたか、
これからするのではないかと疑われても仕方がなかった。
「[大丈夫ですか?]」
そんな山崎が、太く節くれた指で必死にスマホを操作する姿は、
どこか不器用で滑稽さまで感じさせるが、
そんな彼が真剣な表情でスマホを見つめる。
その目線は鋭く、
警察の上層部まで叩き上げで昇進した経歴を持つ彼らしい、
何かを考えているような顔で、
護衛対象がコンビニの店員に、話しかけている様子を見続けていた。
「包装。。捨。て。」「えっと。。お姉さん。ぼっぼっく。」
「あっ。。絆創膏っ。。」「あっち。。で。ど。。どどど。」「こっち?」
「そのたたあなぁあ。あっと。。ぼっ。。僕は。。童貞です。」
「えっ。アハハハ。ごめん。。。また見えた?」「いや。童貞なんです。」
「見苦し。。のを見。。違い。。った?」「僕の。。」
「ごめん。。違。。うふふふ。」
あんな格好で早朝のコンビニに入り、
いつものように彼女が買い物をしていれば、
妄想が激しい人の慌てた声と、
謝っているのだろう、上下に激しく揺れている画面には、
「えっ!」
「勘違い。。。んなさい。。。捨て。。トイレ。。長い。使う。。」
顔を真赤にして、真面目そうな大学生の焦った顔。
「ガラガラ。。がゴン。」「[夏目さん?]」
その後に続いて聞こえたのは、大きめの引き戸が激しく閉められた音に、
色々と設備がついた小部屋の風景。
「ゴソゴソ。。海斗ぉ。あのさぁ。この服のサイズが絶対に小さいよ。
歩くたびに捲れちゃうしぃい、色々はみ出るしぃ。」
「すみません。依頼人が決めた服を着て欲しいとお願いされまして。。」
(やっぱり、そうだよなぁ。はぁ。すみません。夏目さん。ごめん。)
犯人が見たいという服を着た女が近くにいれば、
特別な理由がない限り、その女に興味が移るものだし、
もしその女が最初の女よりも魅力的であれば、
最初の女のことなど簡単に忘れるという理由で、
依頼人がこの露出狂のような服を選んでいることに、
山崎はさすがに気づいていた。
とはいえ、それを依頼人に指摘しても意味がないし、
犯人が悪いのは当たり前なので、
公僕ではない一般人として探偵事務所を経営している山崎は、
多少の料金を上乗せしつつ、依頼人に軽くわからせるような表情で、
この変な依頼を承諾していた。
(家のは絶対に違うはずだが。まあいい、この犯人を探せば。。。)
「アレ?カイトは?」「今。ちょっと手が離せない用事が。。」
相手から見えてはいないが、
何故か申し訳なさそうに、スマホに向かって山崎が頭を下げている。
「ふぅうん。シゴトって大変なんだああぁ。ゴツ。ガタガタ。
ガツン。ずつずうう。ふう。ズズ。ガツン。ズズッ。ふぅうう。
この締まる感じが嫌なのよねぇ。はぁぁ。どん。ずつずぅう。
よいっしょっ。グイグイい。はあ、入ったぁあ。アハハ。ヨシッ。」
頭を下げながら山崎が何かを言っているらしいが、
夏目は少しも気にせずに、
何かを履いているような音や声が山崎の耳に聞こえる。
「する。ペタッ。もぉ。ペタッ。ハァあん。イヤッ。はぁぁん。
イヤッ。ハアハア。ペタッ。海斗もよく吸うからぁ。うぅうん。
ハアハア。最近大きくなった。。クネっ。うぅうん。ハアハア。ぐい。」
続けて聞こえたのは、色っぽい声で喘ぐ夏目の声と一緒に、
何かを何処かに貼っている音。
そんな音を聞きながら、山崎と夏目が何かを話している内に、
彼が何かに気付いて怒り出したらしく、突然大声で叫びだす。
「おい、ばゔぁああ。」「かいとぉお。ウフフ。着替えちゃったぁあ。」
「おい!。ババア聞けぇええ。」「ウフフ。見てみてぇええ。アハハハ。」
怒鳴る山崎の声が聞こえていないのか、
それとも既に話し終えているのか、夏目はペンダントを首から外し、
手に持った瞬間、画面が激しく揺れた。
「ババア。何をしている!さっさと見せろ。いいから戻せええぇ。」
その後、彼女が腕を伸ばしたらしく、
カメラの視点は上空から全身を映し出す映像に切り替わる。
その映像に映る夏目は、いたずらが成功したとでも言うような、
とても嬉しそうな笑顔を浮かべ、その笑顔と共に、
美しくも挑発的な身体のラインがくっきりと映し出されていた。
「うっ。。なっ。。」
「カイトぉ。見てみてえぇ。私、こんな格好になっちゃったぁ。アハハ。」
「奥さま。。えっと。。申し訳ございません。。。」
「しょっ。。ちょーうぅう。。さん?カ。。イ。。ト。。は?」
いつまでも海斗の声が聞こえないことに違和感を覚えたのか、
それとも山崎が何か気になる事を言ったのか、
夏目の表情に変化が見え始めた。
その表情は、最初はいたずらが成功したかのような、
満面の笑みを浮かべて全身を映していたが、その顔が次第に曇り、
とても嫌そうな顔つきへと変わる。
そしてついに、その声色までも明らかな怒りが滲み出ていく。
「ババア。そんなばぢょで、およこでもばぼおびぶて。。」
「所長さん?海斗は何処よ!今、どこにいるの?いい?ドコ!」
「えっ。。ババアの恰好が見たくネェえって、えっと。。。
わっ。わっかあぁいんがいいって、アッチに向かったぞ。」
(ごめん。海斗。本当にすまない。もう無理だ。ほんっとうに。すまん。)
外で見た彼女が、そのまま画面に写っているのならいいが、
今の夏目の格好は、変態露出狂ワンピースを脇辺りまでめくり上げて、
Gカップの大きな胸を晒している。
その大きな胸の膨らんだ乳首に、ニップレス替わりの絆創膏を貼り、
赤いタンガのエロいショーツを見せない変わりに、
葬儀用の妖艶な黒いストッキングを履いて隠している。
そんな彼女が、満面の笑みで嬉しそうに笑っていたかと思えば、
海斗がいないことに気づいた途端、突然怒りだした。
その変貌ぶりがあまりに恐ろしかったらしく、
山崎は思わずいらない事まで追加して、素直にすべてを白状してしまう。
「もういい、わかったぁ。また浮気ネェえぇえ。
ハイハイ。ババアじゃいやってことでしょぉ。
もぉおおお。飲まないとやってられないわ。もう飲んじゃうからぁ。」
「カイトは、ですねぇ。しっ。。しごとに支障があるから。。
そっ。。ソレでね。夏目さん?あのぉ。かいとは悪くないッてえぇ。
いうかぁあ。仕方ない。って感じででづね。あの?夏目さん。」
「ガラガラ。。ドォオおおおん。」
ペンダントは首にかけ直したらしく、
閉まっていた扉が画面に映り、それが勢いよく開く。
「ち。違うんです。あの。こっこれは。。」
「アレ?キミ。こっちに来て!。。ぐいぃいい。ドオォン。」
開いた扉の向こうには、さっきまでレジで作業していた店員が、
洗面台で何かをしている姿があった。
その直後、突然トイレの扉が開いた音に驚いたのか、
それとも焦ったのか、店員がこちらに驚いた顔で近づいてくると、
胸元あたりを映していた映像は急に真っ暗になり、
次に扉が閉まる音だけが響いた。
「もごもご。ふぅうう。アノ。何も。。えっと。ごめんなさい。」
「ガサ。アレ。コレで買ってきて。適当に、ちがう種類の複数でいいわ。」
「えっとぉお。さっ。。撮影でしょうか?」
「いいから、さっさと行くの!いってストロングを買ってきて!」
「エッ。。夏目さん?聞こえていますか?ストロングってなんですか?」
「うるさい。黙れ!」
「あの。の。覗きとかじゃ無くてですね。ぼっ僕わぁ。
洗面台のせっせいそいうをぉ。しっつぃご。とぉおで。ですねぇ。」
(ヤベェええ。撮影かよ。でも。。インディーズかぁ?
アレで撮影?もしくは、スカウトをされて、コレジャラホテルぅう?)
店員は山崎の声が聞こえていないので、財布から突然万札を出されて
「買ってきて」「黙れ」と言われただけで驚いてしまったらしい。
ただ、その視線は、
大きな乳房の上で揺れるペンダントに釘付けになっているし、
その顔は山崎が見ているスマホにも映っていた。
「こんな格好をさせて、私を守ろうともしない海斗なんて知らない。
帰ってくるまで飲んでやるぅうう。
もう、酔っ払わないと、こんな事なんて出来ないわよ。
帰ってこないなら。もういい。ここで酔いつぶれてやるわっ。」
「違うんです、外で音を聞いていわけでも、無いんです。許して下さい。
そんな事なんてしません。絶対にこの事を誰にも言いませんし。
忘れますから。だから許して下さい。ごめんなさい。」
(ん。。痴話喧嘩?露出狂のカップルとかなのか?じゃ。寝取らせようと?
でも喧嘩?じゃあ、酔いつぶれ。お持ち帰り。酔いつぶれぇえ!!)
さっき突然怒られて驚いたものの、
どうやら連絡先の誰かに向けた怒りらしい。
そして、自分に酒を買いに行けと言っていたらしく、
挙句には酔い潰れるつもりだとも言っているなら、
不満の矛先を自分に向けさせればいいし、もしそれがダメでも、
酔い潰れた彼女を介抱するか、眠り込んだ彼女と、
そのまま卒業を済ませるという選択肢に気づき始めた。
「ねえぇえ。キミは付き合ってくれるよね。こんな寂しい女の相手を。
キミは付き合ってくれるでしょう?これから一緒に飲みましょおぉ。」
「ン?夏目さん?仕事中ですよ。まさか、お酒を飲むつもりですか?」
「はい。じゃぁ。いいってぇえ来ますぅう。すぐ戻ります。がらあぁ。」
「ウフフ。沢山買ってきてね。すこぉおし、暇になっちゃったぁ。」
「どぉおおん。」
山崎は見て知っているが、夏目はそれを魅せて気にしていないのか、
若く大学生程度のバイト先の服を着ている男に、
上半身は、巨大な乳房を絆創膏で乳首を隠しただけ、
下半身は、黒いストッキング越しで見えづらくなっているが、
真っ赤なタンガでしか隠していない下腹部を見せている。
そんな格好を見て、若く童貞の彼がジロジロと驚いて見ているのに、
夏目は、少しも隠そうとはしないし、嫌な顔一つもしていないらしい、
逆に嬉しそうな声で話している。
しかも、これからその格好のままで、彼とコンビニのトイレで、
お酒を楽しもうとしている事に山崎は驚いていた。
小部屋①
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる