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第1話 足袋すら流通してない平安京に届いたくつ下。何コレ?
しおりを挟む「よー!颯太、久しぶりだな。」
年の瀬の市で賑わう四条河原町では颯太と顔役の迅が挨拶を交わしていた。
「迅さんお久しぶりです。今日はここで店開きしても...」
といいつつ懐の金袋から銀をぱらっとだそうとする颯太の手を止める迅。
「いいっていいって、おまえは天慶さまの情夫。大きな顔して店開きしてりゃあいいんだよ。」
ぱぱん、と脚をたたいてにやにやしてる迅。
むっ。
...イヤないい方...。店開きにかこつけて脚...。
アレか...。
下品で、やになる。
迅さんは、天慶さまの息のかかった絶対天慶さま派の人。
まだひとりで天慶さまのおつかいで市中でものを集めたり伊勢に行ったり出来なかった頃、お世話になった人で、商いをしながら各地の情報を集めたり裏取引をしたりしているよう。
そんなふたりの耳に喧騒が?
「まてっ!このガキっ」
「ごめんなさいっ!お腹が空いててっ」
バキッ
なに?盗み?こんな小さい子に暴力ふるうなんて乱暴な!
「うわあああん。」
「まてよっ、謝ってるだろっ。」
ガタイのいい大人が何取られたら知らないけどいきなり殴ったりとか、穏やかじゃない!
見て見ぬふりなんてできないからっ。
「なんだ、おまえ」
「よせっ。こいつは天慶さまの秘蔵っ子だ。お前達にはわかるまいがオレはこいつのことを任せられてる。」
刀に手をかける迅さんの目つきに怯むガラの悪い男達。
「あっ迅さん。このガキ、売り物に手をつけやがって。」
「オレ達もう2日も何も食べてなくてっ」
ひっくひっく。
迅さんと颯太の後ろに隠れる子供たち。
腫れ上がったほっぺたが痛々しい。
「捨て子か...。」
捨て子...。
「ほら、これあげる。みかん。おいしいから食べてみな?」
ひっくひっく。
ばっ
がつがつ。
3人の子供。兄弟か、それとも親に捨てられて、さまよってるうちに知り合ったのか?
どちらにしろかなりボロボロ。
このままこの子達だけでこの厳しい世の中を生きていくのはムリだろう。
「迅さん。...この子達。」
「行く宛てがないのならオレの所へ連れていく。
寝るところと食べものは心配いらない。小さくてもちゃんと働いてもらうがな。」
ぶるぶると震えながら頷いてる子供たち。
これからこの人について行って大丈夫なんだろうか?
と、まだ不安は消えないんだろうな。
とりあえずはほっ。
迅さんは口は悪いけど、頼りにはなる。
なんといってもオレに商売を教えてくれたり、貴族の家に出入りできるようになったのも迅さんのおかげだし。
それにしても相変わらず京の町は荒れている。
この子達は迅さんが面倒みてくれることになったけど、市中は貧しくて捨て子は後をたたない。
そうゆうオレも捨て子だった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
今、颯太の暮らしているのは【三条宮家月天宮】。
この王家の流れを汲むものが住まう壮麗な宮では、主の 承平天慶(有義親王) はじめ、執事の清秀、清和瑞潤他多くの女房やら家人やらが暮らしていた。
その月天宮で大きな大きな真っ赤な靴下を両手でひろげた天慶さまが変な顔をしていた。
「これは?」
「足袋ですかな???」
第三の男、月詠神が最初につくられ、今は大宰府にいる 煌閃尊ーほうせん たけるー から月天宮に荷が届いた。
その荷の中には、外国からの珍しい品々に混じって颯太宛に大きな靴下が入っていた。
「足袋とな??」
「なんでも足にはくものらしいよ。すごーく温かいんだとか」
したり顔で物申す瑞潤を訝しげにみて靴下に目をもどす天慶さま。
足どころか体がすっぽりはいりそうだが?とはいえませーん。
「天慶、足袋知らないの?」にやにや
日本の真ん中、なはずの京の都からあまり出たがらない天慶さまは、対外貿易の盛んな鎮西(九州)と裏貿易の盛んな奥州を行き来してる瑞潤や武尊に対してこの手のことは疎くいらっしゃるよう。
以外と可愛いとこもあったり。
「いや、まて、こんな巨大なものを??・・・なんか書いてあるぞ。なんでも師走の24日にこれを梁にひっかけて眠ると贈り物が入っているとか・・・」
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