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第3話 知らなかったのはオレだけか。何かがムカつく。
しおりを挟む「ただいま帰りました。」
パンパンと埃をはらうと月天宮の女房方が
「まってました!」とばかり颯太を出迎え、中に連れていかれる。
ほへ?
「???」
「颯太くん、まってたんだよ。」
いつも通りの屈託のない笑顔で出迎える瑞潤さん。
今日はさらにキラキラしいその笑顔に圧倒されながら。
「なんですか?これ?」
「うむ、足袋、だそうだ。」
瑞潤さんに反して難しい顔の天慶さま。
これもいつも通りといえばいつも通り。
「足袋?足にはくとゆう、あの足袋ですか?」
「足袋を知ってるの?」
「はい!前にどこかのお屋敷でみせてもらったことがありますが?ちょっと違うような...??」
むっ、知らなかったのはオレだけか。
なんだかおもしろくない天慶さま。
さらにお顔が険しくなったような...ぴえん。
颯太ですら!知っていたのにオレが知らないなんてアリエナイ。
そんな天慶さまの表情を機敏に読み取る颯太。なんだか雲行きが怪しいような...。
「あっ、でもたぶんオレが知ってるのとは違うと思います。これじゃ、足どころか体がすっぽりはいりそうだし。」
焦って弁解がましく付け足してみるる。
「うむ」
そうだろう!そうだろうとも。足どころか体がだなー。オレもそれが言いたかったんだ!
なんだかわからないけど機嫌のよくなった天慶さまに頭を撫でられかなりホッとする颯太。
「で、その足袋がなんですか?」
「あー、だからね、武尊がこの足袋を梁にかけておくと24日に颯太君にサンタクロースってゆう海をこえ、そのまた向こうの砂漠をこえ、氷山をこえ、さらに奥に進んだ先の雪深き国の人が贈り物を届けてくれるんだって!」
「えー!そんなバカな!」
「うむ。」
オレもそう思う、
といいかけた天慶さまを遮るのは真顔の瑞潤。
「颯太くん。これは武尊が、颯太くんに夢を届けてあげようと。颯太くんがよゐこだから送ってくれたんだよ。」
じーっと颯太の目から視線を外さず話す瑞潤。
瑞潤さんの言葉は深い。
ドギマギ。
「で、でも。市中は貧しい人で溢れてるのに...。そんな足袋に贈り物をしてくれる人なんて。」
そんな人がいるとしたら...。
ほんとにそんなことがあるんなら。
しばらく考え込んだ颯太は。
「もしそんなことがあるんならオレ...。どんな贈り物を、もらえるのか梁に足袋をかけて24日を待ちたい。」
平安の世にXmasの習慣はなくとも、クリスマスの夜のステキなエピソードはいつの世のどの国にもあっていいのではなんて。
月天宮の主、天慶さまの寝殿の次の間の梁に大くて真っ赤な足袋をつるす颯太。
どデカくて見慣れない違和感たっぷりなその光景に天蓋付きの寝台から不審な目をむける天慶さまは深いため息をつく。
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