【BL】こいつのせいで狂いっぱなし。溺愛してるケモ耳少年がゆうこと聞かなくて困ってます。

なにゆえ女装？十二単でフルムーン

第14話 絹の蛹ーさなぎーで帳台を彩って夜に舞う蝶に。

14

「・・・。」

　無言で手を引く天慶てんけいさま。
　ちょっと怖い。
　オレなんか悪いことした？？？

　　　ぱふっ。

「ひゃっ。」

　寝殿の奥の帳台ちょうだいに投げ出される颯太。

「あの、天慶さま？？」

「颯太・・・。今日は・・・んっ。」

　なにかをいいかけて、やめた？
　静かすぎる寝殿に無言の天慶さまが、重い・・・。
　オレ今日はなかなか頑張ったと思うんだけど・・・。
　お、重い・・・。
　おもい？んっ？？

「あの。じゅうにひとえ・・・もう脱ぎたいのですが、重くて・・・。」

　　　ズッキューン！

　十二単じゅうにひとえ・・・脱ぎたい・・・。

「颯太・・・。」

「えっ？」

　じゅうにひとえに手をかけて帳台に押し倒す天慶さま。

「きゃっ。やっ。」

「・・・よく似合っておる。みながお前に魅了みりょうされてた・・・。」

　それは自慢とも嫉妬とも思える複雑な・・・。でも悪くない感情。

「天慶さま？  あっ。」

　身動きしずらいきらびやかな衣装に包まれた可憐かれんな颯太の視界を塞ふさぎ、一枚、また一枚と記帳の上に美しい絹シルクの蛹さなぎをまいていく。

「やっ。恥ずかしいです。」

　波打つ絹のさなぎの上で薄く軽くなる細くしなやかな颯太の肢体したいに唇をはわせる天慶さま。

「ふっ。」

「やっ。んっんんっ。」

　恥ずかしいけどもう抵抗する元気もなく顕あらわになった体に天慶さまのぬくもりを求めずにはいられない？

「も。もう・・・。」

「今日は颯太が一番光っていた。」

　間近で真顔でそんなことをいわれると、恥ずかしすぎて心臓がどうにかなりそう。

　　　バクバク。

「興きょうがすぎたか・・・。連れていかなければよかった。」

かああああああああああああぁぁぁ。

　天慶さまらしからぬ戸惑ってるようなはにかんだような呟つぶやきに・・・。

　うれしすぎて、蛹さなぎを脱ぎ捨てた蝶のように舞い上がってしまいそう。

「天慶さま。」

　ぎゅーーっと線の細い腕で天慶さまに抱きつくと、情熱的なキスで応えてくれる天慶さま。
　ゆっくり密やかに舌を絡ませ。
　そのまま。

　終わらない月天宮の夜の宴と洒落しゃれこみましょう。

　　　今夜もフルムーン。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

　なんだかいろいろあったけど・・・。

「颯太に会えてよかった♥️」

　月天宮の夜の宴のことなど知る由もない望月丸は・・・。
　今日の出来事に想いを巡らせ幸せな眠りにつくもようです。



颯欄