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その出会いが発火点
第7話 俺の堕天使
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「ぶひーーーーーーーーーーーーーーーーー、仕事の後の一杯は格別ですな」
「今日も切れ切れですたな」
「それにしてもしぶとい、我が輩等の嫌がらせに動じませんでしたな、あの女」
「そうそう、涙の一つでも見せれば手心を加えてやろうと仏心を出してやらないでもないのに」
大学生か? 20代半前後の若者達四人はぶらぶら時間を潰して夕方になると居酒屋に入ってご機嫌で飲み出している。
俺はそんな彼が自然に監視できる席を取ると日本酒とホッケジャガバタカラアゲヤキトリとちびちびと嗜んでいく。
これぞ大人の飲み方。渋いだろ。美人がいたら惚れちゃうね。
青年達は先程から自分らの武勇伝を語り合い盛り上がっている。
売れないアイドルに目を付けては潰すことを悦楽としている、こじらせすぎたアイドルオタク。
美希奈は質の悪い奴らに粘着されただけなのか?とヤキトリを摘まみながら思っているとそこに洒落たスーツに身を固めた如何にも堅気じゃ無い、言うならば俺と同じ臭いのする男が現れた。
30代、モードが似合うイケメンタイプ。その甘いマスクと軽快なトークが売りのホストの方が合っているんじゃ無いかと思う男「保尹 信士」。
なぜ名前まで知っているかと言えば、保尹はご同業いわゆるライバルのコーディネイターだからだ。
どういうことだなぜ奴がここに?
俺の方が一瞬先に見付けられたのは僥倖、日頃の行いがいいのが幸いした。俺は顔を見られないように、さっと人陰に隠れつつ観察を続ける。
「楽しんでいるか」
保尹は親しげに青年の肩を叩きつつ隣の席に座った。
親しさの演出は怠り無しか。だが今時の子には却って煙たがれ無いか?
「保尹さん、ちっす」
「「「ちっす」」」
若者達は親しげに保尹に挨拶する、イケメンは男女問わず好かれるというのか。
「おう」
「ビール頼みますか?」
「俺はこの後に仕事がある。悪いが用事だけ済まさせて貰う。
これが今回のバイト代だ」
嘘付け、お前が酒の一杯くらいでどうこうなるか。ただ単にむさい奴らと呑みたくないだけだろう。
だがそんなことおくびにも出さない、実に残念そうにしている。それにまだまだ経験の浅い若者達はすっかり騙されて一緒に飲めないのを残念そうにしている。
保尹は懐から茶封筒を取り出す。
あの厚さ具合から3~4万程度か。だがアイドルのコンサートでオタ芸を披露するだけと考えれば割はいい。
取り敢えず隠しカメラで写真をパシャリ。
「いつもすいません保尹さん」
若者達の一人が封筒を恭しく受け取った。
あれがリーダー格なのか? ロン毛で野暮ったい感じだが腹とかは出ていない、どことなく神経質そうな奴だな。
しかし嫌いなアイドルに目を付けて粘着する奴かと思えば、金目当てか。
ふむふむ、紳士的には話しやすそうでほっとする。
「いいってことよ。
忙しいからこれで失礼するが、また連絡をするから頼むぞ」
今日が初めてでは無いような感じ。あれだけの美希奈が今一ブレイクしなかったのはこういうわけか。
いやいや、彼奴はこういうことをやらせたら一流だからな。善人の俺ではあんな嫌がらせ出来やしない。
「任せてください」
若者達に送られ保尹は居酒屋から去って行く。
なるほどなるほど、美希奈への嫌がらせには保尹が絡んでいたのか。保尹が趣味で美希奈に嫌がらせをするわけが無いので、裏には誰かがいる。
美希奈を驚異と見なしたライバルプロダクションだろうか? だがデビューし立てのアイドルに保尹を雇って潰すほどの脅威があるのか?
押しのけ出し抜けがこの業界、珍しくも無いが今一投資に見合ってない気がする。
だがこの疑問は今はいい、尻尾を掴んだ以上保尹を辿っていけば自ずと分かることだ。
くっく、いい火種だ。つくづく飽きさせない。
ああ、美希奈、君は本当に俺の堕天使かも知れない。
だが今日の所は保尹を付けない。知った奴だいつでも追える。それより今は此奴等の正体を掴む方が重要だと勘が告げる。
意気揚々のホストコーディネイターの足下を掬ってやるのも面白いが、前途洋々と信じている若者達四人の人生はきっと素晴らしく、おいしく頂けるだろう。
俺は若者達が解散するまで、一人酒と肴を楽しむのであった。
「今日も切れ切れですたな」
「それにしてもしぶとい、我が輩等の嫌がらせに動じませんでしたな、あの女」
「そうそう、涙の一つでも見せれば手心を加えてやろうと仏心を出してやらないでもないのに」
大学生か? 20代半前後の若者達四人はぶらぶら時間を潰して夕方になると居酒屋に入ってご機嫌で飲み出している。
俺はそんな彼が自然に監視できる席を取ると日本酒とホッケジャガバタカラアゲヤキトリとちびちびと嗜んでいく。
これぞ大人の飲み方。渋いだろ。美人がいたら惚れちゃうね。
青年達は先程から自分らの武勇伝を語り合い盛り上がっている。
売れないアイドルに目を付けては潰すことを悦楽としている、こじらせすぎたアイドルオタク。
美希奈は質の悪い奴らに粘着されただけなのか?とヤキトリを摘まみながら思っているとそこに洒落たスーツに身を固めた如何にも堅気じゃ無い、言うならば俺と同じ臭いのする男が現れた。
30代、モードが似合うイケメンタイプ。その甘いマスクと軽快なトークが売りのホストの方が合っているんじゃ無いかと思う男「保尹 信士」。
なぜ名前まで知っているかと言えば、保尹はご同業いわゆるライバルのコーディネイターだからだ。
どういうことだなぜ奴がここに?
俺の方が一瞬先に見付けられたのは僥倖、日頃の行いがいいのが幸いした。俺は顔を見られないように、さっと人陰に隠れつつ観察を続ける。
「楽しんでいるか」
保尹は親しげに青年の肩を叩きつつ隣の席に座った。
親しさの演出は怠り無しか。だが今時の子には却って煙たがれ無いか?
「保尹さん、ちっす」
「「「ちっす」」」
若者達は親しげに保尹に挨拶する、イケメンは男女問わず好かれるというのか。
「おう」
「ビール頼みますか?」
「俺はこの後に仕事がある。悪いが用事だけ済まさせて貰う。
これが今回のバイト代だ」
嘘付け、お前が酒の一杯くらいでどうこうなるか。ただ単にむさい奴らと呑みたくないだけだろう。
だがそんなことおくびにも出さない、実に残念そうにしている。それにまだまだ経験の浅い若者達はすっかり騙されて一緒に飲めないのを残念そうにしている。
保尹は懐から茶封筒を取り出す。
あの厚さ具合から3~4万程度か。だがアイドルのコンサートでオタ芸を披露するだけと考えれば割はいい。
取り敢えず隠しカメラで写真をパシャリ。
「いつもすいません保尹さん」
若者達の一人が封筒を恭しく受け取った。
あれがリーダー格なのか? ロン毛で野暮ったい感じだが腹とかは出ていない、どことなく神経質そうな奴だな。
しかし嫌いなアイドルに目を付けて粘着する奴かと思えば、金目当てか。
ふむふむ、紳士的には話しやすそうでほっとする。
「いいってことよ。
忙しいからこれで失礼するが、また連絡をするから頼むぞ」
今日が初めてでは無いような感じ。あれだけの美希奈が今一ブレイクしなかったのはこういうわけか。
いやいや、彼奴はこういうことをやらせたら一流だからな。善人の俺ではあんな嫌がらせ出来やしない。
「任せてください」
若者達に送られ保尹は居酒屋から去って行く。
なるほどなるほど、美希奈への嫌がらせには保尹が絡んでいたのか。保尹が趣味で美希奈に嫌がらせをするわけが無いので、裏には誰かがいる。
美希奈を驚異と見なしたライバルプロダクションだろうか? だがデビューし立てのアイドルに保尹を雇って潰すほどの脅威があるのか?
押しのけ出し抜けがこの業界、珍しくも無いが今一投資に見合ってない気がする。
だがこの疑問は今はいい、尻尾を掴んだ以上保尹を辿っていけば自ずと分かることだ。
くっく、いい火種だ。つくづく飽きさせない。
ああ、美希奈、君は本当に俺の堕天使かも知れない。
だが今日の所は保尹を付けない。知った奴だいつでも追える。それより今は此奴等の正体を掴む方が重要だと勘が告げる。
意気揚々のホストコーディネイターの足下を掬ってやるのも面白いが、前途洋々と信じている若者達四人の人生はきっと素晴らしく、おいしく頂けるだろう。
俺は若者達が解散するまで、一人酒と肴を楽しむのであった。
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