6 / 13
その出会いが発火点
第6話 ダイヤか炭石か
しおりを挟む
素晴らしいプロダクションの名前を考えつつ向かっているのは、ショッピングモールである。
美希奈のマネージャーを引き受けはしたが、未来のスターの実力は見たことが無い。本格的に仕事を始める前にダイヤの原石かただの石炭か確認しておきたい。
ダイヤの原石なら磨けばいいし。
石炭なら潰れるほどのプレッシャーでダイヤにしてしまえばいい。
私も契約した以上どんな手段だろうとベストを尽くす、これぞ仕事人、はやりの職人特集でメインを張れてしまう。
そういう訳で社長権限で予定を調べると丁度今日の午後にショッピングモールが開催するイベントの賑やかしの前座として野外ステージで歌うことが分かったので、早速品定めに行くというわけだ。
ショッピングモールはシネコンや色々な店が入った建物が中庭をぐるっと取り囲むように並んでいる。中庭には小川が流れベンチなどが設置される憩いの場。その中庭に野外ステージが設置されている。調べると客寄せの為にショッピングモールが月に一度くらいはそこそこの有名人と売り出しの新人を呼んでいるらしい。
着くとちょうど美希奈の前のダンスグループがダンスを披露していた。若い娘四人くらいのユニットで、新人らしく荒々しく初々しい。
客は買い物に来た家族連れがメインで、来てみたら何かやっていたので暇つぶしの気晴らしに見て聞いてみようくらいのもので、特定の誰かのファンという輩はいないようだ。
ちょうどいい、美希奈の前の丁度いい物差しだ。未来の大スターならこのグループよりは客を湧かして欲しいものだ。
このときカグリは美希奈に大スターの片鱗を見た、なんて自叙伝に書けるくらいのインパクトが欲しいところ。
ダンスが終わればお義理の拍手がぱちぱちと鳴り響く。
いよいよ美希奈の番だ。
ステージに星が瞬いた。
美希奈は新人とは思えないほどに堂々と臆すること無くステージに駆け上がってきただけだで、まだ何のパフォーマンスもしていないというのにステージが華やいだ。
美希奈の服装は基本レオタード上からひらひらを付けたような激しいダンスを主体に置いた動きやすい格好。
体に密着しているレオタードのおかげで躰付きはアスリートのように締まっているのが分かる。
少なくても稽古を怠っているような慢心は無い。寧ろ先程のダンスグループよりダンスをする機能に特化した躰付きをしているようにすら見える。
「みんな~今日は美希奈のステージに来てくれてありがとう。じゃあ行っくっね~」
くるっと廻ってタンと踏み込む。
出だしのこのアクションだけで観客の目を奪った。
おいおい、まさか本当にダイヤの原石なのか?
己の実力を見誤った妄想少女の勘違いストーリーじゃ無いのか?
数々の虚言を扱う虚構の旋律使いと言われた俺が本物に見込まれたとはどんな運命の悪戯だ?
観客の目を奪って美希奈が歌い出す。
まだ色気は無いがこの広い会場に響き渡るいい声だ。
引き締まった腹筋などの密度の高い筋肉が声を響かせるのだろう。
これで恋でも知って色艶が生まれたらどれだけの男を虜にするのやら。
なぜこれほどの逸材が埋もれたままになっている?
AVなんかより普通に表の世界で大金を虜にする逸材だろ。
あの事務所の連中はどうしょうもなく無能なのか?
ダンスと歌声でこのまま観客を呑み込んでいくと思われた瞬間。
「ひっこめーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「へっぽこダンスをするくらいならぬげーーーーーーーーーーーーー」
「みみがいたいぞーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
オタ芸という押しのアイドルを応援する踊りがあるがあれの逆バージョン、嫌いなアイドルを潰す為の罵詈雑言と共に気持ち悪い踊りをする男達が表れた。
これでいい気分で聞こうとした家族連れの観客達も顔を顰め、誰も美希奈の歌を聴こうとしなくなった。
いいも悪いも惹き付けるアイドルは大変だと思いつつ美希奈を見ると、美希奈は全く動揺する様子無く歌って歌いきった。
誰も注目して無くても歌うことを辞めない辞められない小鳥。
これは俺も本気にならないといけないかな。
その本物を虚構で彩ってみせましょう。
美希奈が歌い終わってステージから引っ込むと男達も観客席から立ち上がった。そしてこの後のメインなど興味が無いとでもいうように立ち去っていく。
俺はそれを付けだした。
美希奈のマネージャーを引き受けはしたが、未来のスターの実力は見たことが無い。本格的に仕事を始める前にダイヤの原石かただの石炭か確認しておきたい。
ダイヤの原石なら磨けばいいし。
石炭なら潰れるほどのプレッシャーでダイヤにしてしまえばいい。
私も契約した以上どんな手段だろうとベストを尽くす、これぞ仕事人、はやりの職人特集でメインを張れてしまう。
そういう訳で社長権限で予定を調べると丁度今日の午後にショッピングモールが開催するイベントの賑やかしの前座として野外ステージで歌うことが分かったので、早速品定めに行くというわけだ。
ショッピングモールはシネコンや色々な店が入った建物が中庭をぐるっと取り囲むように並んでいる。中庭には小川が流れベンチなどが設置される憩いの場。その中庭に野外ステージが設置されている。調べると客寄せの為にショッピングモールが月に一度くらいはそこそこの有名人と売り出しの新人を呼んでいるらしい。
着くとちょうど美希奈の前のダンスグループがダンスを披露していた。若い娘四人くらいのユニットで、新人らしく荒々しく初々しい。
客は買い物に来た家族連れがメインで、来てみたら何かやっていたので暇つぶしの気晴らしに見て聞いてみようくらいのもので、特定の誰かのファンという輩はいないようだ。
ちょうどいい、美希奈の前の丁度いい物差しだ。未来の大スターならこのグループよりは客を湧かして欲しいものだ。
このときカグリは美希奈に大スターの片鱗を見た、なんて自叙伝に書けるくらいのインパクトが欲しいところ。
ダンスが終わればお義理の拍手がぱちぱちと鳴り響く。
いよいよ美希奈の番だ。
ステージに星が瞬いた。
美希奈は新人とは思えないほどに堂々と臆すること無くステージに駆け上がってきただけだで、まだ何のパフォーマンスもしていないというのにステージが華やいだ。
美希奈の服装は基本レオタード上からひらひらを付けたような激しいダンスを主体に置いた動きやすい格好。
体に密着しているレオタードのおかげで躰付きはアスリートのように締まっているのが分かる。
少なくても稽古を怠っているような慢心は無い。寧ろ先程のダンスグループよりダンスをする機能に特化した躰付きをしているようにすら見える。
「みんな~今日は美希奈のステージに来てくれてありがとう。じゃあ行っくっね~」
くるっと廻ってタンと踏み込む。
出だしのこのアクションだけで観客の目を奪った。
おいおい、まさか本当にダイヤの原石なのか?
己の実力を見誤った妄想少女の勘違いストーリーじゃ無いのか?
数々の虚言を扱う虚構の旋律使いと言われた俺が本物に見込まれたとはどんな運命の悪戯だ?
観客の目を奪って美希奈が歌い出す。
まだ色気は無いがこの広い会場に響き渡るいい声だ。
引き締まった腹筋などの密度の高い筋肉が声を響かせるのだろう。
これで恋でも知って色艶が生まれたらどれだけの男を虜にするのやら。
なぜこれほどの逸材が埋もれたままになっている?
AVなんかより普通に表の世界で大金を虜にする逸材だろ。
あの事務所の連中はどうしょうもなく無能なのか?
ダンスと歌声でこのまま観客を呑み込んでいくと思われた瞬間。
「ひっこめーーーーーーーーーーーーーーーーー」
「へっぽこダンスをするくらいならぬげーーーーーーーーーーーーー」
「みみがいたいぞーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
オタ芸という押しのアイドルを応援する踊りがあるがあれの逆バージョン、嫌いなアイドルを潰す為の罵詈雑言と共に気持ち悪い踊りをする男達が表れた。
これでいい気分で聞こうとした家族連れの観客達も顔を顰め、誰も美希奈の歌を聴こうとしなくなった。
いいも悪いも惹き付けるアイドルは大変だと思いつつ美希奈を見ると、美希奈は全く動揺する様子無く歌って歌いきった。
誰も注目して無くても歌うことを辞めない辞められない小鳥。
これは俺も本気にならないといけないかな。
その本物を虚構で彩ってみせましょう。
美希奈が歌い終わってステージから引っ込むと男達も観客席から立ち上がった。そしてこの後のメインなど興味が無いとでもいうように立ち去っていく。
俺はそれを付けだした。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
怒らせてはいけない人々 ~雉も鳴かずば撃たれまいに~
美袋和仁
恋愛
ある夜、一人の少女が婚約を解消された。根も葉もない噂による冤罪だが、事を荒立てたくない彼女は従容として婚約解消される。
しかしその背後で爆音が轟き、一人の男性が姿を見せた。彼は少女の父親。
怒らせてはならない人々に繋がる少女の婚約解消が、思わぬ展開を導きだす。
なんとなくの一気書き。御笑覧下さると幸いです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる