2,789 / 3,140
DIY、高みへと挑む
舞い降りた手紙 後篇
しおりを挟むギフトカタログ、その言葉が意味するものはやはりお歳暮や引き出物だろうか。
だが今回は違う、失名神話の創造神から授けられたそれは──祝福カタログだった。
その詳細もまた、現在進行形で書き換わっていく手紙に記されている。
内容を気にする風兎のためにも、そして何より自分のためその文面を読み上げていく。
「『それは見ての通り、載っているものが僕たちからの祝福という形で貰えるカタログだよ。経費はいろんな形で貰っているし、気にしなくていいよ。ちなみに、アイスプルで信仰されている純粋な分だね』……これは」
まだ中身を開けていないカタログだが、ある意味厄そのものではなかろうか。
他の神話信仰者が、またどれだけの聖職者たちが希うものか理解してもらいたい。
信仰を何のためにするのか、形はいくつもあるがこちらの世界において、実益を求めての信仰というのは意外と多いものだ。
祈りを捧げた対価が、加護という形で示されるからこそ、人々は神に祈る。
そして神もまた、継続的な祈りを得るため他の神話以上の実益を彼らに提示するのだ。
そんな中、失名神話が提示したカタログ。
目に見える形で、しかも自分たちで好きなようにその恩恵を選べるというのだからさぁ大変……普通なら奪い合いが始まるな。
「なあ風兎、うちの住民でこれが欲しいって希望を出す奴いるかな?」
『少なくとも、我の民だった者たちには居ないだろうな……貴様の食べ物があれば充分、あるいは今以上に満足の行く物を提示すれば何も言うまい』
「うん、そんな気がする」
一癖も二癖もある元風兎の森の住民たち。
超越種や災凶種になった個体も居れば、そうでなくとも『プログレス』の発現や職業による無双を可能になった個体などなど。
そんな文字通りユニークな彼らは、基本的に俺の作る物を好んで食べている。
神への祈りより食べ物というか……うん、更なる実益を求めているわけだな。
「『ツクル君、クローチル君、それに『SEBAS』君の誰かが神像の前でカタログを出して欲しいモノを言ってくれれば、それをこちらで用意するよ。もちろん、前提条件を満たしているものだけね』」
『な、なぜ我もなのですか!?』
「『君のことも高い評価をしているからさ。うんうん、特に君からの信仰は純粋だから目立つよ……創造神である僕より、獣神の方が信仰されているのは少し残念だけど』……風兎さんや、どうします?」
『こればかりは変わりませぬ』
神様を意識して、丁寧語だがそれでもきっぱりと断言する風兎。
うん、だからこそ創造神も、風兎を評価しているのだろう。
「『うん、今のはただの愚痴だからね。話はこれまで。カタログに書いてあるものはもちろん、要望があれば受け付けるよ。全部が通るわけじゃないけど、大抵のものはOKさ。これもこの神話の緩さかな?』」
寛大さって言ってくれよ……。
ともあれ、手紙はここまでのようで、ふわりと俺の下から離れて浮かび上がる。
だが最後に、伝えたいことがあるようで、その文面が書き綴られていく──
『なお、この手紙は読み終わると同時に爆発する』
ポンッ、と軽快な音を上げて手紙が爆発。
紙吹雪が辺りに撒き散らされ、すぐに粒子となって宙に消えていく。
「……なんか凄いバフが付いてる。今なら独りで『騎士王』でも倒せそうだな──能力値が普通にあるヤツなら」
『貴様では無理だな』
創造神からのお土産は、残念ながらいかされることはない。
だがまあ、とりあえずカタログの中身を精査しなければ……何が載っているんだ?
1
あなたにおすすめの小説
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜
伽羅
ファンタジー
【幼少期】
双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。
ここはもしかして異世界か?
だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。
ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。
【学院期】
学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。
周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜
鮒捌ケコラ
ファンタジー
入学式から3週間目にして『退学」を言い渡された。
(早くない?RTAじゃないんだからさ。)
自分で言うのもアレだけど、入学してからは結構真面目に通ってた。
けど、どうやら教員の不況を買ってしまったらしい。
幸か不幸か、退学まで1週間の執行猶予が与えられた。
けど、今更どう足掻いても挽回する事は不可能だろうし、
そもそも挽回する気も起こらない。
ここまでの学園生活を振り返っても
『この学園に執着出来る程の魅力』
というものが思い当たらないからだ。
寧ろ散々な事ばかりだったな、今日まで。
それに、これ以上無理に通い続けて
貴族とのしがらみシミッシミの薬師になるより
故郷に帰って自由気ままな森番に復職した方が
ずっと実りある人生になるだろう。
私を送り出した公爵様も領主様も、
アイツだってきっとわかってくれる筈だ。
よし。決まりだな。
それじゃあ、退学するまでは休まず毎日通い続けるとして……
大人しくする理由も無くなったし、
これからは自由気ままに、我儘に、好き勝手に過ごす事にしよう。
せっかくだし、教員達からのヘイトをカンストさせるのも面白そうだ。
てな訳で………
薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。
…そう息巻いて迎えた執行猶予満了日、
掲示板に張り出された正式な退学勧告文を
確認しに行ったんだけど……
どういう事なの?これ。
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる