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外国へ遊びに行こう

踊ってもらおう

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 戦いは始まったが、礼儀とかで挨拶をしてもらう。
 だが覚える気がなかったので、少しだけ興味を持った特徴だけ覚えておいた。

「はいはい、それじゃあ全員纏めてかかって来いやー」

「本当にやる気を感じないな」

 ドラゴンの翼を背中に持つイケメンが、俺の言葉に肩を竦める。

「そりゃねぇんだもん。ドラゴン、お前も早く終わらせる手伝いをしてくれ」

「ああ、そうだな……ヴォルビーティ、俺の援護をしろ!」

「チッ、俺に命令すんじゃねぇよ!」

 ドラゴンイケメン──ドラゴンの声に答えるのは、昏い黒色の狼耳を持つイケメン──ウルフだ。

 共に連携して俺に迫ると、鬼気迫る気迫を放って攻撃してくる。

 使う武器は大剣と爪、ウルフの方はその感じがウェポンXのようでとても面白そうで印象に残った。

 金属のように鋭い爪は、彼の体毛と同じように黒色に塗りたくられ暗殺に打ってつけ、やはり興奮してくるというものだ。

「えっと……魔を払え、偉大なるどっかの神様の力をあやかろう──『白の矢』」

 適当な詠唱擬きを言ってから、番えた二本の矢を二人に放つ。
 宣言通り、その色は白──勇者か聖人しか持ち得ない聖属性の輝きだ。

『なっ!?』

「そんなに驚くなよ。俺だって、やりたくてやってるわけじゃないんだからさ」

「その力、勇者の一人なのか!」

「違う違う。そんな七面倒な役目は無いから気にすんな。俺のは……そうだな、拾っただけだから」

 驚いていた二人だが、それでも対処はとても適切だった。

 対魔族……というか対闇属性の神聖な力を打ち砕こうとは思わず、少々無茶でも回避行動でそれを躱す。

 ちなみに、人であれば間接的な問題で回避不可能なんだが……さすが魔族ということもあり、避けられてしまった。

「おい、オーンデッドもタルトスも早く手伝え! こいつは普通じゃねぇ!」

「……いきなりそんなこと言うなよ。俺も人間だ、心が傷ついちまうよ──」

「……隙あり」

「いや、無いから」

 後ろから迫ってきたローブの子供──鎌を持っているのでたぶんタナトスっぽい奴が、俺の首目がけてその鎌を振り下ろす。

 だが、五感を強化するスキルもある俺にはそれがすぐに分かった。

「気配は隠せるんだから、鎌を振る音まで隠せたらよかったんじゃないか?」

「えっ?」

「武具術って、武具を使わない弱点補助のために拳術も使えるんだ」

「あぅっ」

 声が女の子っぽかったが、別にそれで優しくなるほど余裕があるわけじゃない……あってもしないけど。

 聖属性の拳はクリティカルヒットとなり、タナトスの鳩尾に当たって吹っ飛ぶ。

 強化スキルは使っていないが、神聖武具術の補正が凄まじいのでコロシアムの壁にめり込むぐらいの威力となった。

「あとは……そこのオーガ。お前は俺に攻撃しないのか?」

「ヒッ! む、無理です無理です! アナタみたいな人、僕なんかが勝てるわけないじゃないですか! しょ、召喚!」

「あっ、うん。なんかごめんな」

 怯えるのは、額に小さな角の生えた黒髪の少年──オーガ。
 そんな彼は握り締めた短杖を振り、辺りに魔法陣を展開して召喚を行う。

 呼びだされたのは、アンデッドたち。
 一部体のパーツが欠けた魔物たちが、いっせいに襲いかかってくる。

「展開──“神聖空間”」

「あっ……あぎゃぁああああぁ!」

「おっと、お前もアンデッドの系譜だったのか。それならそうと、最初から言ってくれればよかったのに」

「──さっき紹介したではないか!」

 ドラゴンが再び吼え、大剣を振るう。
 それも分かっていたので最低限の動きで避けると、そのまま拳で殴りつける。

「ぐがぁっ!」

「へー、結構固いんだな。けどまあ、確実に当たるんだから関係ない」

 和弓女子が持っていた必中のスキルなんだが、別に弓でなくとも発動可能だった。

 意識した場所に攻撃を、無理ではない形で中てることのできるチートスキル……少しだけ練習が必要だったが、貴重な時間を割いただけの意味はあったわけだ。

「テメェ、よくもアイツらを!」

「はいはい、ツンデレツンデレ。怒るぐらいなら、最初から仲良くしてろっての」

 眼を血走らせて迫ってくる男……正直ゾッとするが我慢して対処する。
 四足歩行をも織り交ぜ、素早い動きで翻弄して隙を狙っているようだ。

 だから俺も、狙って射ることにした。

「はい、“必中”」

「ぎぃっ!」

「なんでギの音? まあ、別にいいけど」

 番えた矢は同じく白色、破邪の力は闇色のウルフにはかなり効いたようだ。
 魔力が凄まじい勢いで減少し、弱められているのがよく分かる。

「全員生かしてやってんだから、あんまりお痛はしないでほしいんだが……『青の矢』」

 矢を四つ一気に掴んで、頭の中で四天王の心臓をイメージする……無い奴や止まっている奴もいる気がするが、そこはイメージの中だけの話なので気にしない。

 辺りから悲鳴が聞こえる。
 だが、俺はそんなものどうでもいい。

 大切なのは、お客様の身内を死なないように適切な処置を行うことだけ。

「まあ、もう少し踊ってもらわないとな」

 そう呟き、張った弦を緩めた。

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