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第45話 魔王との契約
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王の背後に立つ男が魔王だと明かされた。
そして、王は契約と叫んだ。
「させないのだ!」
機をうかがっていたデューチャがとうとう動き、奥の魔王へと向けて飛び出した。
そんな様子を俺はただぼう然と見ていた。なんだかやけに世界の動きが遅く見えた。
「あぐっ!」
突然のことで理解が追いつかない。
前に出たはずのデューチャが、その勢いを無視するように一気に地面に叩きつけられた。
「デューチャ!」
即座のことではっきりと見えなかった。
だが、これまで動いていなかった魔王が表情を歪め腕を動かしたところまではわかった。おそらくデューチャに何かしたのだろう。
にらむように視線を向けると、王の後方にあった影は消えていた。
俺は慌てて倒れ込んだデューチャに駆け寄った。
「おい、大丈夫か?」
「……ええ、大丈夫ですわ……」
体を抱き起こすと弱々しく返事をするデューチャ。
一瞬の出来事だったがさまざまな場所に傷ができている。
俺ではこの傷は癒せない。それに、王の相手もある。
「大槻任せた」
「はい」
ここは、聖女の力で魔王の回復もできることを祈るしかない。
「ふんっ! デューチャと言ったか。どこかで魔王として聞いたような名だが、このワシと取引をしているやつの方が格上だったみたいだな」
魔王は消えたが王の声がドスの効いたものに変わっている。
どうやら魔王の契約を許してしまったようだ。
そうこうしている間に、王の姿は黒くまがまがしく変わっていた。おそらくこれが契約とやらの影響なのだろう。
肌は黒と灰色の混ざったようなマーブル状になり、目は白目をむいて、着ていた服が粉々になる程、筋肉が肥大化して大きくなったようだ。
果ては、頭部から角まで生え、王はまるで悪魔のような見た目へと変貌を遂げていた。
「グハハハハッ! 素晴らしい、この力。素晴らしいぞ! 全盛期の力がよみがえるようだ」
「化け物め……」
「何とでも言うがいい。これが、金と栄光の権力者だけがたどり着ける世界だ」
不気味な表情で笑い声を漏らしながら、王は自分の体を確かめている。
よく見れば、持っていた剣までも形を変え、片刄が溶けたような歪な形をしている。
これではもはや、誰が魔王かわからないほどだ。
「ふぅんっ!」
「くそっ」
腕の長さ、そして剣の長さを生かした攻撃してくる。が、動きは遅い。
問題なく見切れる。
これなら、
「はあっ!」
魔王もいなくなった。無駄に警戒する必要はない。完全にスキのできたタイミングで、俺は王の左腕を切り落とした。
ターゲットが大きくなった分狙いやすい。
これで攻撃力は落ちたはず。そう思って振り向くと、切り落としたはずの腕はすでに生えていた。
地面には確かに切り落とした腕が落ちているというのに。
「なにを驚いている? 致命傷を与えられたとでも思ったのか? おめでたいやつめ。貴様の実力では傷もつかぬわ」
傷はついただろう。実際に腕は切り落とされていた。
もしかして、再生が速すぎて切られたことにすら気づいていないのか?
「河原、フェイラ。援護を頼む」
「わかったわ」
「任せて!」
「エルディー。エディカは離すんじゃないぞ」
「大丈夫だ」
魔王がいないから、俺以外も攻めに回れる。
今の王のような鈍い相手なら、河原も頼りになる。
そして、しっかり注意を引いていれば後ろまで攻撃は届かない。この人数ならエディカは確実に守り切れる。
「いくぞ!」
俺たちの攻撃は余裕を持って当たる。
が、再生が速すぎてダメージにならない。
フェイラの力でも、
「当たったか?」
と言わせるだけ、ほんの少し再生を遅めるだけで、これもダメージにならない。
突破口はやはり、エディカに溺愛の権能を使った時に出た何か。
こうなったら、どうにかこの戦闘の間で会得してやる。
そして、王は契約と叫んだ。
「させないのだ!」
機をうかがっていたデューチャがとうとう動き、奥の魔王へと向けて飛び出した。
そんな様子を俺はただぼう然と見ていた。なんだかやけに世界の動きが遅く見えた。
「あぐっ!」
突然のことで理解が追いつかない。
前に出たはずのデューチャが、その勢いを無視するように一気に地面に叩きつけられた。
「デューチャ!」
即座のことではっきりと見えなかった。
だが、これまで動いていなかった魔王が表情を歪め腕を動かしたところまではわかった。おそらくデューチャに何かしたのだろう。
にらむように視線を向けると、王の後方にあった影は消えていた。
俺は慌てて倒れ込んだデューチャに駆け寄った。
「おい、大丈夫か?」
「……ええ、大丈夫ですわ……」
体を抱き起こすと弱々しく返事をするデューチャ。
一瞬の出来事だったがさまざまな場所に傷ができている。
俺ではこの傷は癒せない。それに、王の相手もある。
「大槻任せた」
「はい」
ここは、聖女の力で魔王の回復もできることを祈るしかない。
「ふんっ! デューチャと言ったか。どこかで魔王として聞いたような名だが、このワシと取引をしているやつの方が格上だったみたいだな」
魔王は消えたが王の声がドスの効いたものに変わっている。
どうやら魔王の契約を許してしまったようだ。
そうこうしている間に、王の姿は黒くまがまがしく変わっていた。おそらくこれが契約とやらの影響なのだろう。
肌は黒と灰色の混ざったようなマーブル状になり、目は白目をむいて、着ていた服が粉々になる程、筋肉が肥大化して大きくなったようだ。
果ては、頭部から角まで生え、王はまるで悪魔のような見た目へと変貌を遂げていた。
「グハハハハッ! 素晴らしい、この力。素晴らしいぞ! 全盛期の力がよみがえるようだ」
「化け物め……」
「何とでも言うがいい。これが、金と栄光の権力者だけがたどり着ける世界だ」
不気味な表情で笑い声を漏らしながら、王は自分の体を確かめている。
よく見れば、持っていた剣までも形を変え、片刄が溶けたような歪な形をしている。
これではもはや、誰が魔王かわからないほどだ。
「ふぅんっ!」
「くそっ」
腕の長さ、そして剣の長さを生かした攻撃してくる。が、動きは遅い。
問題なく見切れる。
これなら、
「はあっ!」
魔王もいなくなった。無駄に警戒する必要はない。完全にスキのできたタイミングで、俺は王の左腕を切り落とした。
ターゲットが大きくなった分狙いやすい。
これで攻撃力は落ちたはず。そう思って振り向くと、切り落としたはずの腕はすでに生えていた。
地面には確かに切り落とした腕が落ちているというのに。
「なにを驚いている? 致命傷を与えられたとでも思ったのか? おめでたいやつめ。貴様の実力では傷もつかぬわ」
傷はついただろう。実際に腕は切り落とされていた。
もしかして、再生が速すぎて切られたことにすら気づいていないのか?
「河原、フェイラ。援護を頼む」
「わかったわ」
「任せて!」
「エルディー。エディカは離すんじゃないぞ」
「大丈夫だ」
魔王がいないから、俺以外も攻めに回れる。
今の王のような鈍い相手なら、河原も頼りになる。
そして、しっかり注意を引いていれば後ろまで攻撃は届かない。この人数ならエディカは確実に守り切れる。
「いくぞ!」
俺たちの攻撃は余裕を持って当たる。
が、再生が速すぎてダメージにならない。
フェイラの力でも、
「当たったか?」
と言わせるだけ、ほんの少し再生を遅めるだけで、これもダメージにならない。
突破口はやはり、エディカに溺愛の権能を使った時に出た何か。
こうなったら、どうにかこの戦闘の間で会得してやる。
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