家族を殺され、毒を盛られたTS幼女は、スキル『デスゲーム』で復讐する

マグローK

文字の大きさ
10 / 21

第10話 不意打ち

しおりを挟む
 前回、自分のため、怪我した仲間を殺す事に躊躇のなかったトバオ。

 今回、ルールを破ったタカラシを確実に殺すため、わざわざ兵器を組み立てたハクア。

 ダンジョンの魔物は、本当はこいつらなんじゃないだろうか。

:決着か!
:なかなかなものだった
:だが、残った者でも、望むような姿勢は持ち合わせていないようだな

 神からのコメントを見る限りでも、やはり、人間が正されるという事に対して難しさを実感する。

 やっぱり、変えるのなんて無理かね。

 変えられるなら、俺はこんな事になってないだろうからな。

「何をぼーっとしている。ほら、やったぞ。これでいいんだろ?」

「はいはい。つーわけで勝利おめでとう。チョーカーがある事からわかってると思うが、お前に自由はない。せいぜい次のデスゲームまでの間、短い自由を噛み締めておくんだな」

「つまりそれは、今回のデスゲームは終わったって事でいいよな?」

「ああ。今回のデスゲームは終わった。それがどうした?」

「今、今回のデスゲームは終わった。そう言ったな?」

「何度も繰り返させるなよ。言ったよ言った」

 なんだこいつ、もったいぶりやがって。

 トバオみたいに安心してすぐ帰ったりしないし、近くに魔物がいないか警戒してるみたいだ。

 バックアップだからか、どちらかと言えば地味で、初めから周りを見ていた気はするが、なんだこいつ。

「は……? あ、刺された」

「残念だが、僕も探索者なんでな。あいつらには悪いが、魔物側につくような輩を、野放しには出来ない」

「あー……。なるほど。それでデスゲームが終わったか聞いてたのね。理解理解」

 スキル発動中に攻撃すれば、無条件反撃が飛んで来る事を想定して、ゲームが終わるまで待っていたと。

 なるほどねー。だから生き残らないといけなかったと。

 それで、最大火力をぶっ放して、自らの戦力が下がった事を見せたうえで、俺に不意打ちか。

「本当に賢いな」

「なんだ? 諦めたか?」

「いいや、皮肉だよ。お前、今何してるか理解してる?」

「してるさ。お前のスキル。デスゲームとか言ったか? そのルール適用は、ゲーム内。つまり」

「いいいい、そういうの」

「いずれにしろ、今お前が僕程度に刺されていることが証拠だ。それに、お前はあくまで戦力軽減のために倒す前提。ここで兵器は使えない。本体はあっちなんだろ? 何もしてこないアレ。だからこそ、ここまでの力を使えるって訳だ」

「ジン、動けるか?」

「話しかけてきた! まさしくそうだ! どうだ? ピンチだって言って、あいつをここに連れてこいよ!」

「必要ない」

「本当か?」

「問題ない。こーいう悪い子には、しっかり躾をしないといけないからな」

「躾? 無理だね。そんな状態で何ができる? お前は魔物じゃない。ただの人間だろ? だったら、スキルが解除された以上、俺に心臓を貫かれれば死ぬ!」

 そういや確かに、剣を通さない鋼の肉体じゃなかったな。

 だが、大丈夫だ。

「なあ、いつまでこうしてるつもりだ?」

「いつまで……? まさか、ここまでしてなんともないのか?」

「いや、効いてる。効いてるよ?」

「なら、どうして……?」

「効いてるけど、なんつーかな、喉に魚の骨がつっかえたみたいな感じが、胸にあるだけなんだわ」

「その程度だって……??」

「そ。その程度」

 実際、俺も突然のことに驚いてるんだけどね。

 自分の体が剣で貫かれてるのに、痛みがほとんどなくて、不快感があるくらい。時間が経っても、それは変わらない。

「どうして……? まさかお前、本当は人間じゃないのか?」

「れっきとした人間だわ。失礼な。そもそも俺みたいな女の子に剣を突き刺すなよ」

「……」

 戦意喪失ってところか? 早いな。つまんねーな。

「これでもくらえ!」

「は?」

 まさかの二度目の不意打ち。かと思ったら、何も飛んでこなかった。

 が、地面に落ちると形が見えた。

 おそらく、先ほど錯覚として見せた、魔物の素材を使った物だろう。

「これも、駄目なのか……」

「あれは偽物だぞ」

「は……?」

「俺の見せてた幻覚だから」

「……」

 今ので準備していた道具を使い果たしたのか、本当にやる気が失せてしまったようだ。

「なあ、嬉しすぎて冷静さを欠いてたのか知らないけど、この程度でなんとかできるとか思ってた訳?」

「……」

「うっ。いきなり抜くなよ」

「ははっ! 本当だ。血すら付いてない。こりゃ、実力差がありすぎだな。スキルとかそういうレベルじゃない。末端の探索者じゃ、相手にならない世界……」

「そういやこの服ってそんな機能もあるのか? 見た目はアレだけど便利だな」

「今なら、お前が本体って言われても納得できるわ」

「別にどっちが本体とかないけどな。べフィアの役割は、神への報告らしい。配信って奴だな」

「神か。人間がイキるなってか? レベルが違うと、思考までぶっ飛んでるな」

 ハクアは、今度は自嘲気味に笑い出した。

 信じているのか信じていないのかわからないが、どちらにしろ、こいつはさっさと始末するに限るか?

 いや、ここは少し試してみるか。

「せっかくなら聞いてみようか。神様、人を刺すような悪い子はどうしますか?」

「は?」

「その反応、実は信じてないな? まあ、聞きゃわかるさ」

「即刻処刑! 即刻処刑!」
「いいや、洗脳し直すべきだ」
「そいつはいらん。いい奴だけ残せば十分だ」

「なんだ、この声……。脳に、直接……」

「本当だ。気持ち悪っ」

 なんで今回だけ脳に直接語りかけてきてんだよ。

「ま、わかったろ。お前は処刑ってことだ」

「ま、待て。おかしいだろ。今はデスゲームじゃない。ルールを破っていいのか?」

「もうデスゲームじゃないわ。ルール無用の攻撃を先に仕掛けてきた奴に言われたくないなあ! それに、一回だけだったから、神様も溜まってるよね!」

「うおおおおお!」
「やーれ! やーれ!」
「まさしく処刑の時」

「なんだこれ。この狂気はっ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

追放されたら無能スキルで無双する

ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。 見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。 僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。 咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。 僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

処理中です...