配信初心者の私、プロ指示厨の言いなりで気づけば百合ハーレム完成!?

マグローK

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第7話 学校でも有名人。そして再会へ……

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「おい、来たぞ」
「有名探索者の猪瀬様だ!」
「キャーせんぱーい!」
「カバンお持ちします!」
「こっち見てー! 手を振ってー!」
「今見てくれた! こっち見てくれたよね!」
「静かに! 近隣の皆さんのご迷惑にな、猪瀬、猪瀬が来た」

 校門が見えてきた辺りで学校の方からお祭りのような騒ぎ声が聞こえてきた。
 みんなが注目する先はどうやら私たちな様子で、先生たちに叱られながらも手を振ってきたり、跳ねてアピールしていたりと騒ぎはすぐに収まりそうには見えない。
 ていうか、先生も生徒に混じってない?

「な、何これ……」

「これがバズよ」

「いや、いやいや、絶対に規模がおかしい。知られるの早すぎだしこんなに周りが騒ぐことってないでしょ」

 私はとっさにりーちゃんの背中に隠れてみたが、学校の様子をうかがう限り正直意味がなさそうだ。

「のぞみんはないと言ってるけど、目の前で起こってるんだから認めなって」

「うぅ……」

 校庭に出しゃばっている皆様方。加えて、教室や校舎内からも窓を開けて私の方を見ている方々。
 一夜にして有名になったストーリーが普通以上の興奮をもたらしている気がする。

「舐めてた。配信舐めてた。うちの高校から東大生が出ても、こうはならないでしょ」

「ならないだろうねぇ」

「水泳のインターハイ優勝してもならないよね」

「ならないと思うよ?」

 遮蔽物になってくれているりーちゃんは平然と答える。
 それが余計に私の顔をほてらせる気がした。

「嬉しいけどやっぱり恥ずかしいよ」

「みんなも嬉しいんだよ。近くにすごい探索者がいて」

「でも、水泳の話はインターハイ出てた子が実際にいたよね?」

「そりゃ、全国レベルと世界王者に手をかけてるヤツじゃ、野次馬としちゃ絡みがいがあるのはどっちって話よ」

「きっと、私の存在を知らなかった意外性も大きいんだろうね」

「わかってるじゃん」

 あえて隠していたつもりはないけれど、おおっぴらに知ってもらおうとはしてこなかったし、自覚はしてる。
 もしクラスの陽な子たちと絡めていたら、プチバズくらいは経験していたかもしれない。

「は、入りづらい。日常生活が侵食されるよぉ」

「のぞみん。そうも言ってられなさそうだよ?」

「りーちゃん待って。チャイムがなったら教室に入るから」

「それ遅刻だよね?」

「猪瀬さん」

「ひゃい!」

 探索の冨田《とみた》先生に呼ばれて反射的に背筋が伸びた。
 せっかくりーちゃんに隠れていてもこれじゃ台無しだ。

「猪瀬さん。バレたみたいな顔してるけど、姿が見えてからは全部バレてますよ」

「いや、これは私のせいじゃないというか、私はやっていいことをやっただけというか……」

 なんとか論理をこねくり回そうとするが、数字の暴力に加えて実体をもって見せつけられた現状のせいでうまく言葉がまとまらない。
 謹慎? 停学? 最悪退学?
 嫌だ! 朝お母さんといい感じに話したばかりなのに!

「あ、あの、冨田先生。今の現象は別に悪気が起こっている訳じゃ」

「確かに、この反応はどうかと思いますが」

「すみません」

「救助見ました。素晴らしかったわ」

「え?」

 予想外の反応に、私はそこでようやく冨田先生の顔を見ることができた。
 第一声から、てっきり怒っているのかと思ったけれど、先生は優しげな笑顔を浮かべていた。

「きっと表彰もあるだろうけど、それはまた来週かしらね。我が校の代表としてこれからも頑張ってください」

「ひゃ、ひゃあ」

 肯定的だった? 肯定的だったよね。

「りーちゃん。喜んでいいやつ? これ、喜んでいいやつ?」

「最初からそれで大丈夫だって。なんであたしの方が堂々としてるのよ。もっとピシッとしなさいって」

「あ、ダメ。そこダメぇ。くすぐった………」

 りーちゃんにくすぐられながら前に押し出されると冨田先生や学校の様子がしっかりと見える。
 勉強はあまり得意じゃないから少しだけ引け目を感じていたところがあったけれど、探索で人の役に立てるってやっぱり大事だ。

 なんだか別の意味でもくすぐったい。



指示厨:2つ先の横道を入ったところにピンチの探索者です

「なるほど」

 学校終わりに今日もダンジョンへ来ている。
 とはいえ、今は多くの人に見られるようになったということで、限定公開でウォーミングアップ中。

 もしかしたらりーちゃんの知り合いかもしれない指示厨さんも入ってきて、調子も探索にチューニングできてきた。
 指示厨さんのコメント通り、とっさに見かけた探索者の女の子を抱え上げつつ、私はAランク下層のモンスター2体を蹴りでまとめて倒した。
 走りざまの攻撃だったが、しっかりととどめが刺せたらしい。

「あ、危ないところだったわ。助かっ、た……」

 腕の中でぱちぱちと拍手してくれる子は、黄色い髪をしたピンク色のパジャマの女の子。ツインテールがとてもかわいらしい。
 大きな目をぱちぱちとさせながら私と目が合った。

「怪我はなさそ……あれ?」

「あ、あんた! わたしをダシにして有名になった猪瀬のぞみ!」

「い、いや、そんなつもりは」

「ちょっと、いいから降ろしなさい!」

「あ、危ないよ。ああっ!」

 萌葉ちゃんは私の腕の中で急にジタバタ暴れ出すと、魔法使いとは思えないほどの抵抗で私から飛び降りた。
 見事な着地は綺麗だったが、突然の展開と再会に脳の処理が追いつかない。

「昨日ぶりだね、萌葉ちゃん」

「しっかり名前まで覚えて……いや、違うのよ。本当はさっきみたいなこと言うつもりなくって。あーもう、こういう時、あたしの性格が嫌になる」

 萌葉ちゃんは自分で左右のツインテールを引っ張るようにしてから、はあっと大きくため息をついた。それから、その場にしゃがみ込んで頭を抱えてしまった。

「えっと、大丈夫?」

「……」

 中腰で萌葉ちゃんの顔をのぞき見ると、しかめっ面でへの字口をしていた。
 暴れ出しただけあり、明らかに不機嫌そうだ。

 ただ、しばらく黙っていたかと思うと、急に私の顔を見上げてきた。

「な、何?」

「ありがと。そう。これが言いたかったの。あんたのおかげで助かったわ。命を拾った。あんたはわたしの命の恩人よ」

「そ、そんなぁ。たまたまだよ」

「たまたまであそこまでみちみちに詰まったモンスターハウスを攻略できるものじゃないわ。確かに、近くにいたのは幸運だったけど」

「私がやってることは私のやれることだけだから」

「……なんて言うか、全然尊大じゃないのね」

「ありがとうございます。そうだ。お近づきの印にグミ食べる?」

「いいの! やった。もらうもらう!」

「どうぞどうぞ。ダンジョン探索ってお腹減るからいっぱい持ってきてるんだ。好きなだけ食べていいからね」

「ありがと!」

 もらってくれてよかった。

 萌葉ちゃんってやたら子どもらしさが薄い子だったから、喜んでくれるか少し心配だったけどいらない心配だったね。それに、こうしてグミに釣られる姿はすごいかわいらしい。
 グミを渡してあげると口に入れられるだけ頬張って幸せそうに噛み締め出した。

「そっかそっか、一気に食べる派ね」

:なんだ。年相応なところもあるんじゃない

「ねーかわいい。こういうところは幼女って感じ」

 私の言葉に萌葉ちゃんはピクリと反応した。
 一度動きを止めてから、モニュモニュと食べていたグミを高速で噛んでからゴクリと飲み込んだ。

「そうそう。もう一つ言おうと思ってたの。救出の件については確かに感謝してる。でも、わたしを子ども扱いしないで」

「あ、ごめんごめん」

「そこだけはずっと気になってたのよ。のぞみって女子高生探索者でしょ? わたし確実に年上だから」

「それは、嘘だよー」

「う、嬉しいけど! あんたに子ども扱いされる年齢じゃないのよ」

 照れ隠しやませているだけ、という雰囲気ではなさそうだ。
 どうやら冗談で言っている訳ではないらしい。
 見た目は幼そうに見えるけれど、もしかしたら一つ下くらいなのかもしれない。いや、年上ってことは一つ上か?

「じゃあ何歳?」

「26! ソロ探索者としてもう長いんだから」

「そっかーよしよしかわいいねー」

「だからやめなさいって、これ本当だから」

「……」

 グミを与えた時と反応が違う。
 あれ、私はこれやってしまったか?
 人を見かけで判断しちゃったか?

「……」

「何よ」

「本当なの、ですか?」

「そうよ」

「…………」

:やっちゃったわね

「す、すすす、すいませんでしたー!」
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