配信初心者の私、プロ指示厨の言いなりで気づけば百合ハーレム完成!?

マグローK

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第12話 遭遇クールな美少女

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「あ」

「うわぁ! びっくりしたぁ」

 突然下の方から重畳寺先輩以外の人の声が聞こえて飛び上がってしまった。
 急なことに心臓がバクバクいっている。

 今はまだ配信中だというのにとんだ失態だ。
 そして、現れたのは女の子。これまたとんだ失態。

「ごめんなさい。驚いたりして」

「ううん。大丈夫」

「何? そんなところに座って。探索者狩りでもしてたの?」

 重畳寺先輩の言葉に弱々しいながらもふるふると左右に首を振る女の子。
 どうやら探索者狩りではないらしい。
 ショートカットの青い髪をサラサラと揺らすその姿はなんとなく儚げで、すぐに消えてしまう雪の結晶みたいに見えた。
 こんな子が悪さをしている子とは思えない。

 じっと見てみると、すぐに違和感に気づかされた。

「傷を凍らせてるの?」

「うん」

「何それ。いや待って。全身傷だらけじゃない」

 毒なのか、アザのように痛々しく変色した肌が破損した装備の隙間からのぞいている。
 目をそらしたくなるようなダメージを受けているらしく、呼吸もなんだかやっとしている様子だ。

 それでも、まるで映画のワンシーンみたく目を奪われてしまうほどの美しさがあった。

「綺麗」

「え?」

「ううん。なんでもない」

:これ、萌葉ちゃんもできるんじゃない?
:確か重畳寺も氷属性あったよな
:有効な方法なのかくらいわからんか?
:痛そうだけど、止血みたいなもの?
:なんとかなりませんかね?

 コメントも突然現れた女の子に心配を寄せているみたいだ。

「少なくともわたしに同じ芸当は無理だから対処法はわからない。こんなのわたしじゃ魔力が尽きて死ぬわよ」

 重畳寺先輩も難しいことをやってのける女の子。
 ここで会ったのもきっと何かの縁だ。

「何はともあれ自己紹介からにしよう。私は猪瀬のぞみ。こちらは重畳寺萌葉さん」

「なんでわたしの分も名乗るの?」

「まあまあ。あなたの名前は?」

「……甘崎、甘崎静奈」

「静奈ちゃんか」

 ふんふん。
 見たところまだ会話をするだけの体力はあるのね。じゃあしばらくは問題ないかな。
 それに、戦闘の結果がどうなったかまではわからないけど、少なくともモンスターがすぐに出てくる心配はなさそう。

「この先にまだいる。気をつけて」

「ありがとう」

 キョロキョロする私の様子から察してくれたらしい。
 とすると、先に簡単な手当てからかな。

「毒の感じからしてキメラ種のどれかってところ?」

「え、どうして」

「OK、OK」

「いや、なんでわかったのよ」

「このダンジョンの下層で氷属性のスキル持ちにワンチャンあるのはキメラ種あたりが有力かなって、ただの勘ですよ」

「いや、勘って」

「勘です勘。ならならー」

 私は重畳寺先輩の呆れ声を聞き流しながらゴソゴソとポーチの中をまさぐって目的のブツを探してみた。

「お、あったあった」

 手の感覚を頼りに取り出したのは大正解。緑色の液体が入った小瓶だ。俗にポーションなんて言われる代物で今回のものは毒に対しての回復薬。
 静奈ちゃんの状態に対する特効薬って訳じゃないけど、キメラ種だとわかっていればこれでいいはず。

「このポーションで治ると思うよ。大丈夫。飲み薬みたいなものだから」

「いや、大丈夫って、ちょっと待ちなさいよ。それ時価いくらするものよ」

:いや、サラッと出したんで反応遅れた。ポーション!?
:これは重畳寺が正しい
:猪瀬ちゃん?猪瀬ちゃん? 
:これはブルジョアすぎるwww
:Sランクってそういうとこズレてるの?

「いや、大切なものみたいに言ってますけど」

「大切なものでしょうよ」

「人の命はお金じゃ取り戻せませんよ」

「それは、そうね。そうだけど」

;言ってることは正しい
:蘇生事例って正式には確認されてないんだっけか
:蘇生は都市伝説くらいらしいしな
:回復は間に合う内にって習った気がする
:萌葉ちゃんの回復は?

 興味深いコメントを見つけて私は重畳寺先輩の顔を見た。

「重畳寺先輩、回復も使えるんですか?」

「ええ。できる。でも、わたしのは体力回復って感じ。わたし自身、この姿だと状態異常系は全部効かないから」

「なるほどなるほど」

 ド派手な見た目に納得の性能って感じだ。
 そもそも攻撃をくらってないから細かいところはわからないけど、疑う理由もない。

 なら仕方がない。

 ここ3人。多分みんなソロだろうし、自分の事情に合わせたスキルセット、道具セットって感じのことを思えば、これ以上の検討は不要かな。
 私は小瓶の蓋を外した。

「静奈ちゃん口を開けて。その体じゃ辛そうだし、飲ませてあげる」

「いや、自分で飲める」

「遠慮しないで」

 腕を上げることすら難しそうなのだし、自分で飲めるというのは怪しいところだ。
 ということで、あちこち凍って大変そうな静奈ちゃんに代わって、私がそっと口に添えてあげる。

「ゆっくりでいいからね」

「ん、ん、ん」

「飲めたかな」

 一口飲むだけで見るからに毒が浄化されていくようで、変色していた肌は元通りの白く澄んで見えるほどの肌へと本来の美しさを取り戻していった。
 持ってたけど、こんなピンチ今までなかったし、自分に対してはもったいなくて使えなかったからちょうどよかったかな。

「ん。ありがとう」

 ちょっとだけ照れたように赤みの戻った顔で静奈ちゃんはポソっと言った。

「いえいえ。よかったよかった」

「ねえ、治った今だから言うけど、わたしと違ってこの子のことあんまり子ども扱いしてなくない?」

「そうですか? でも静奈ちゃんは同級生くらいに見えますし。ね?」

「ワタシ、多分年下」

「そうなの?」

「配信を見てそう思った」

「え、見ててくれてるの?」

「有名だもの。知ってて当然」

「えー。嬉しいな」

「だから言ったでしょ。今あんたを知らないのはモグリだって」

 と言っても、重畳寺先輩だけ言ってるのと、他の子も言ってくれるのじゃ言葉の響きが全然違う。
 見てくれたのなら、なおさらこれはいいところを直に見せてあげないとだな。

「それじゃ、キメラを倒しに行ってみようかな。安全の確保は大事だからね」

「危ないと思う」

「まあまあ、私これでもSランクなんだ」
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