配信初心者の私、プロ指示厨の言いなりで気づけば百合ハーレム完成!?

マグローK

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第11話 魔法少女装備の所感/新たな探索者はクール系

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 目につくモンスターに対してステッキを振るだけで放たれる五属性以上の魔法は確実にモンスターを屠っていた。
 モンスターがどんな逃げ方をしても関係なく、自動追尾で倒してしまうその様は私からすれば万能に見える。
 一撃の威力はとても高そうで、Aランクダンジョンでも二振り程度でモンスターにトドメをさせるくらいみたいだ。
 接近される前に戦闘を済ませられることを考えると、Sランクダンジョンでも通用しそうなほどの高火力っぷりだと思う。

「ざっとこんなものかしら」

「や、やばい……便利すぎる」

「ちなみにこのオノは投げたらわたしの意思で戻ってくるから」

「え。連続投擲も可能ってことですか?」

「そうそう。まあ、遠距離攻撃としてはこっちのステッキを振った方がいいけどね」

 振るたび虹のように輝くステッキはちょっとしたインテリアとして見ても素敵な気がする。

 なんだこの隙のない完成されたスキル。

 一見やっていることがやっていることだから、魔力消費が弱点のように見えるけど、とんでもない。重畳寺先輩に疲労はほとんど見えない。
 まるで回復の方が早いくらい。異常性能と言っていいんじゃないかな。

「でも、やっぱり左手のはオノなんですね」

「そうよ? 他の何に見えてたの?」

「オノかなーって」

 これ、魔力が尽きてもオノが遠近両対応ってことでしょ? この人1人でよくない?
 あたかも目についたモンスターだけみたいに表現しちゃったけど、見えてなくても自動追尾してくれるらしいし。

 なんだろう。でも、何かが引っかかる。

「それならそれで、どうしてあの時のモンスターハウスでは使ってなかったんですか? 1人で攻略してたならあった方が便利でしょうに。それに使ってたら狩場として見ても効率的だったんじゃ?」

:あっ
:聞いてあげるな
:禁忌禁忌
:やっちゃったか?
:でも気になるよね

「……それは」

 まるで重力魔法でもかけられたように空気が重くなった。

 何これ。重畳寺先輩にやられた?
 ううん。コメントの雰囲気と重畳寺先輩の圧。
 これは空気読みの魔法。

「いや、あの」

「恥ずかしいからよ! さっきから言ってるでしょ? わたしいくつだと思ってるの? もう26です。こんな格好、結婚式でもないとしないから。公衆の面前に対して、ただの26歳がさらせるものじゃないでしょ。高校入りたての頃はまだなんとかなった。2年目もまだ綺麗だなって好きだった。卒業が迫ったら思い出にしようかなって思ってた。そこから先はもう思い出になってくれって感じなの! スキルは歳を取りません!」

 重畳寺先輩は叫びながら顔を真っ赤にして両手の武器をブンブン振り出した。
 オノも魔法もデタラメに放つものだから近くの壁や天井がガラガラと崩れ出す。

「あ、ああ、ああ。あの重畳寺先輩落ち着いてください」

「あんたは素直ないい子だから、気にすることないって思ってるんでしょう?」

「それは、はい。似合ってるのにって」

「似合ってるとかそこがむしろ問題でしょ。なんでよ。こういうのって高校生でもギリギリでしょ? どこの世界に大人の魔法少女(笑)を喜ぶ層がいるのよ」

:俺らがいるぞ
:見てますよ
:いつも応援してます
:恥ずかしがらなくていいって
:その姿に救われてます

「ほら、コメントの皆さんも好意的ですよ」

「ありがとね! そんなあんたらが大好きだよ!」

:キャー!
:ハイになってない?
:ちょっと嬉しいな
:普段言わないこと口にしてるから
:もしかして酔ってる?

「酔ってないわ。酔拳持ちじゃないんだから」

 最後に大きくため息をつくと、重畳寺先輩はひとまず落ち着いてくれた。

 でも、装備やスキルと年齢感の話は今まで聞いてこなかっただけにすごい参考になるなと思う。
 年齢とともに装備の趣向が変わる方はこれまで見てきた。けれど、装備がスキルと一体化してる重畳寺先輩みたいな人は年齢で変えることもできないもんな。
 あれ? 私はかなり縛られない方だけど、このミニスカートもキツいって思う日が来たりするってことだよね……。

「……あんまり考えたくないかも」

「何?」

「なんでもないです」





ソロ探索者甘崎

 地面を凍らせ滑走しつつヘドロによる攻撃を凍結。
 氷の二刀で横腹を切り裂く。

 ソロ探索者の甘崎《あまさき》静奈《しずな》は氷の上で風に青いショートカットをたなびかせながら攻撃の後すぐさま距離を取り様子をうかがった。

「グアアアアア!」

「……効いてる」

 相対するモンスターはうめきながら甘崎をにらみつけていた。攻撃によるダメージは確実に入っている。

 甘崎のヒットアンドアウェイ作戦は確実に相手の体力を削っていた。
 戦う相手はポイズネルキメラ。キメラ種の中でも特別毒による攻撃を多用してくる種族である。仮に対処法を持っていないパーティが遭遇してしまった場合、単体を相手にしても死傷者を多数出すことになる強力なモンスターだ。

「ポイズネルキメラなんて誰が名付けたんだろう……」

 そんな相手に対し、見かけ上は優勢を保っていた甘崎だが……

「モヤ……? 気のせい、かな」

 甘崎の違和感。それは、気のせいではなかった。
 甘崎にとって、ポイズネルキメラは格上の相手。

 ポイズネルキメラほどの狡猾なモンスターともなると自らの体力を探索者に削らせることもモンスター側の作戦となる。そのことに甘崎はまだ気づいていない。
 少しでも価値の目が見えると逃走の選択肢を取りにくくなる。そんな探索者の心情も利用するモンスターの罠。
 加えて、甘崎へ直撃せず床に落ちた毒はブクブクと泡を拭き始めている。甘崎の冷気が支配する空間においても、まるで熱を持っているかのように気化し徐々にダンジョンの空気に混ざり始めていた。

「っ! 体に、力が……」

 甘崎が異変に気づいた時には、すでにその肉体へと影響が出ていた。
 氷の上で体勢を崩しダンジョンの壁になすすべなく激突。氷の剣を維持する集中力すら保てず、二刀は衝突の衝撃で霧散した。

 すぐさま立ち上がったもののその足取りはふらふらとしておぼつかない。

「視界が、霞んでる。これ、モヤのせい、だけじゃない……」

 今では呼吸も乱れ、息をするたびに肺が痛むのか苦しそうに顔を歪めている。

 直撃だけがポイズネルキメラの放つ毒の脅威ではない。
 この種族は直接戦闘で勝てないと判断した相手に毒を吸わせて勝ちを狙う。特殊なスキルを使う種族なのだ。

「逃げ、ないと」

 過呼吸気味の呼吸にピンチを察した甘崎は涙を凍らせ踏み込むと残った地面の氷を滑り出した。

「ガアッガアッ!」

「ぐっ、あぐっ」

 散弾のように飛ばされた毒を何発か受けながらもヘドロの直撃に耐え、甘崎は追ってこなくなる距離までただひたすらに逃げ延びた。
 一心不乱のその行動は一時的にスキルの効果を高め、足場の氷は逃げ切るその瞬間まで永続的に続いていた。
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