配信初心者の私、プロ指示厨の言いなりで気づけば百合ハーレム完成!?

マグローK

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第10話 変身! 魔法少女重畳寺萌葉ちゃん

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「とまあ、モンスターハウスだった訳」

「それで私が見たところにつながってくる訳ですね」

「そ」

 重畳寺先輩がどうしてモンスターハウスにいたのか、まさか壮絶な探索の後だったなんて。

 探索だけでなく配信にも慣れている重畳寺先輩の話は聞いているだけで引き込まれる。
 あと、今までしたことのないコラボ配信ということもあり、なんかずっと楽しい。
 もしかして、私の気持ちがテンションを高めて反応がキモかったりしないかな。大丈夫かな。

 でも、憧れの探索者さんと探索ができて興奮しない訳がないじゃない。

「とまあ振り返りはここまででいいんじゃない? ここから先はみんな知ってるでしょ」

:まあ、ね
:本物のSランクって異次元なんだなって思った
:Sランク探索者の動画とか見て疑ってたけど信じざるを得ない
:やばすぎなのよ
:いつの間にか同接1万人超えてる……
:重畳寺って見た目は嘘みたいだけど嘘つかないしな

「見た目はって余計よ。でも、嘘はほとんどつかないわね」

 重畳寺先輩がコメントと結託した感じで私を見てきた。
 私が重畳寺先輩を助けた過程については途中途中で振り返っていたし、それでいいかなってことかな。

「わかりました。それでもまだまだ30分ですか。話ながらにしてはサクサク振り返れたんですかね」

「いや、そりゃあんたの動きを見せられてたら、わたしの探索を堂々と振り返ることなんてできないわよ」

「え、どうしてですか?」

「どうしてって。わかってないの?」

 私としては、Aランク深層での杖用素材収集に関しての話を聞けたのはとても楽しめたし、探索者として純粋に勉強になった。
 今の私がやっていることは普通の探索で、魅せるための探索でもなんでもないのに何か話を遮るようなことをしてしまったかな。

「すみません。分からなくって」

「そう。なるほど。その実力は当たり前すぎるのね」

「はい。改善とか工夫が好きで探索を続けるなかで当たり前にできるようには頑張ってきました」

「ほうほう……それで発見系のスキルもあるってSの数が足りないんじゃない?」

 待て待て。
 このままだとまた重畳寺先輩に自分のチャンネルでしょ、と言われてしまう。
 ただ、変なことを聞いては場違いだろうし。

「あの重畳寺先輩?」

「何かしら」

「杖や魔法については配信もいくつか見てるのでわかるんですけど、今日は昨日の杖と違うもの使ってますよね? そんなにすぐ武器ができるとは思えませんし、どういうスキルなんですか?」

「どういうスキル?」

「魔法とかですか?」

「まあ、そんなところ」

:言ったれよ
:教えてあげたら?
:もしかして恥ずかしがってる?
:今さらwww
:知らない人は知らないか
:隠すことないだろうに

「なんか、コメントだとただの魔法じゃないみたいですけど」

「……。ええ。そうよ。杖や何やらによって使える属性が変わるの。前回のは風。今は火みたいにね」

「複数属性の魔法が使えるってことですか? そんなのすごいじゃないですか。私、魔法はてんで使えなくってうらやましいです」

「魔力を直接握れるんなら必要ないでしょうに」

「でも、魔法って女の子なら誰しも憧れあるじゃないですか」

 私もまだ自分のスキルが判明する前はテレビや動画で見た魔法の真似をよくしていた記憶がある。
 それこそ、りーちゃんとか、友だちと一緒に魔法使いの探索者ごっこなんてものをしていた。
 スキルがわかってからも、新しいスキルが獲得できないかってずっと魔法について調べたり、聞いたりしてたっけ。

「重畳寺先輩は他にどんなことができるんですか?」

「気になる気持ちは分からないではないけど他のは恥ずかしいって言うか」

「えー、見てみたいです。ターゲットなしの爆風が使えるくらいですもんね。他のもすごそう」

「いや、ほら、ね?」

「どうしてですか?」

:言わないから
:猪瀬ちゃんはいい子やよ
:大丈夫だって
:リスナーも実はほぼ知らないからな
:本当にごくごくたまにしか使ってないもんね

 もしかすると、知られるとまずいタイプのスキルなのかな。
 となると、配信をしている間にあんまり質問をして困らせるのはよくないか。

「すみません。無理言っちゃって。ご迷惑でしたよね」

:あーあ
:女の子泣かせちゃダメでしょ
:仮にも先輩なのに……
:これは悪い先輩
:おいおいおいおい

「やる。やるからそんな悲しそうな顔しないで!」

「いや、そんな無理して明かすのはよくないです」

「大丈夫。隠してるとかじゃないから。本当に恥ずかしいだけなの。でもその代わり絶対に笑わないでよ?」

「はい!」

:見せてもらえるってわかったらすっごい笑顔
:表情に出やすいタイプ?
:かわいい
:登録者数80万行ってね?
:どうして見つかってなかったんだ

 見せてもらえる。見せてもらえる。

 でも、笑うようなスキルなのかな?
 わかんないけど、むしろ魔法の可能性に胸がドキドキしてきた。

「いくわよ」

 わたしに一声そう言うと、重畳寺先輩は周囲を警戒するように様子をうかがってから右手をそっと前に出した。

「コンパクト!」

 宣言と同時、重畳寺先輩の手元にコンパクトが出現した。

「輝く世界に広がる未来!」

 続く重畳寺先輩の詠唱とともにとダンジョン内がどういう訳か輝き出した。

「救い出すは夢を抱く希望の民! 開け! モエハチョウジョウジ! これで攻略しちゃうよっ」

:キャー!
:重畳寺たーん
:重畳寺かわいいぞ重畳寺
:久しぶりに見られたー
:ナイスのぞみちゃん

「……」

 純白のドレスに虹色の宝石が散りばめられた装備。コンパクトもその一つとして腰の辺りに飾られている。
 さらに右手にはステッキが握られ魔法使いらしくいつでも魔法が使えるみたい。今までの杖とは違って放たれる魔力からは属性が判別できない。
 ここまででも十分すごいけど、まだまだ終わりじゃない。反対の左手にはダイヤのような輝きを放つオノらしきものを持っていた。これは魔法使いの近距離戦闘性能を補ってくれるものなのかな。
 そして、極め付けは決めポーズなのか全てを見せつけるような立ち姿で止まっていることだ。その姿はまるでアニメのキャラクターのようで、すごくかわいらしい。

「も、もういいでしょ? これがわたしのスキル【魔法少女】」

 言っていた通り恥ずかしいのか早口で言い切ると、重畳寺先輩はぷいっとそっぽを向いてしまった。
 その動作で装備のあちこちが揺れキラキラと宝石の数々が反射する。

「……かわいいです」

「え?」

 少し赤らんだ顔をキョトンとさせて、いつもより幼い印象の重畳寺先輩は聞き返してきた。
 先ほどまでよりもなんだか背が縮んだというか丸っこくなったというか。

 いや、それより。

「かっわいいですよ! いーなー! 私ももうそれがいいです! キラキラの憧れの衣装を装備したいです!」

「わ、笑わないの?」

「笑いませんよ。私はいつだってそんなかわいい探索者に憧れてるんですから。女の子はいつだって女の子でしょ? それで探索できるならウッキウキですって」

:のぞみちゃん嬉しそう
:重畳寺見たことない顔してる
:今まで散々いじられてきたしな
:これを引き出せるのはすげぇいい子だ
:相性ピッタリだろこの2人

「そ、そう? じゃあ、もうちょっとだけ、わたしの力を見せてあげようかなっ」

 重畳寺先輩もテンションが上がってきたのか、スキップなんかしながら重畳寺先輩は駆け出した。
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