配信初心者の私、プロ指示厨の言いなりで気づけば百合ハーレム完成!?

マグローK

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第14話 治すために脱いで

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「何をするかと言えば回復とかですね。でも、今回はダンジョンアラート出てないから、自分たちでどうにかしないといけないんですよね」

「ああ。わたしもあんたに助けられた後、結構色々診察されたわ。回復もされたし。人の数が多いだけあったわね」

 そう。日本のダンジョン救助隊はしっかりしている。
 危機の解決だけでなく、その後の回復や報告まで一手に引き受けてくれるのだ。
 まあ、その分税金やら何やらでお金がかかっているらしいけども、それはそれ。

「でも、静奈だっけ? この子大丈夫って言ってるわよ?」

「うん。ワタシは大丈夫」

「だから念のためですよ。安全なところで私がみたらお金もかからないですし。静奈ちゃんは時間ある?」

「時間はある」

「よし、決まりだね」

「え、でも」

「どうしてそこまでやってあげるのよ」

「そう。どうして」

 2人から疑問の視線を向けられてしまった。
 そんなに怪しいことかな。

「たしかに、探索者って高校生でも普通に探索すればバイト代くらいは稼げますけど、同時に探索のためにかかる出費もバカにならないですから、回復用のお金はかからないに越したことないんですよ」

 ただのケガくらいなら、探索者をやってる人だったら自然治癒力でなんとかなると思うけど、毒は本当に個人差が大きい。悪化すると取り返しがつかなかったりするし放置ってのは愚策だ。

「でも、そこまでしてもらう訳には」

「遠慮しないで。私はやりたくてやってるだけだから」

 私も色々な方面に迷惑をかけながら始めたから、学生探索者の苦しみは理解しているつもりだ。
 自転車に乗ってお金をもらっているようなものなせいで、周囲の理解もなかなか得られないしね。
 こればっかりは、ダンジョンが世間に馴染みすぎたところも問題な気がする。

「さて、善は急げ。そういう訳なので、今回の配信はここまでです」

:えー
:まだ見てたい
:でも仕方ないよね
:探索者だからなぁ
:安全確保を優先して

「みなさんありがとうございました。それでは」

「ちょっと待ちなさい」

「なんですか?」

「ポーションを使って時間は多少あるでしょ? なら、挨拶くらいしっかりしておいたら」

「ああ、挨拶」

 配信前にはタイトルやらサムネやらで色々言われ、ここでは挨拶。
 でも、日常と変わらないような挨拶しかしていなかったから、もしかしたらそこも印象に残らず、見てくれた時でも登録につなげられなかったのかもしれない。
 探索者としてのプロ意識だけでなく、配信者としてもプロ意識を持ち続けないとだった。

「えっと。おつのぞみーとかですか?」

「それでいいと思うならいいんじゃない?」

「それじゃ行きますね。おつのぞみーで。せーの、おつぞみー」

:お疲れ様でしたー
:おつのぞみー
:おつのぞ、え?
:違った?
:おつー

 噛んじゃった。
 いや、滑舌が悪かった。

 …………。

 言い直すのが恥ずかしくなって私はしれっと配信を閉じた。
 今回はここで切れている。別に前回が切り忘れたとかじゃないけどしっかり確認ね。

「緊張したの?」

「い、いつもしないことなので……」

 ちょっと変な汗かいてあっつい気がする。
 これは慣れるまで時間がかかりそうだ。
 おつのぞみ、ね。

 でも、静奈ちゃんがクスッと笑ってくれたみたいなのでよしとしよう。

「さ。行こうか。おぶって行くよ」

「いや、歩けます」

「ここは一応休んでて」

「ん」

 私は有無を言わせず静奈ちゃんをおぶった。
 背は同じくらいだけど、うん。軽い軽い。

「そうだな。時間があれだし近い方がいいですね」

「ギルドじゃダメなんでしょ?」

「はい。ただ、私の家までだと走るんですよね」

「都市伝説の煙女ってあんたじゃないでしょうね」

「違いますよ。多分……」

「なんで自信なさげなのよ」

 いや、走って砂埃が立つからって、そんな風には呼ばれてないはず。
 私じゃなくたって走っている人はいるんだし、うんうん。

「うち、徒歩圏内よ。嫌でなければ場所の提供くらいはできるわ」

「ありがとうございます!」

「もう少し警戒とかしたら?」

「それはお互い様では? ほとんど見知らぬ女の子を2人も家に入れる訳ですから。ね?」

「うん」

「それは、そうね。幼児誘拐じゃないけど、未成年者なんとかだっけ?」

「あれ。となると、絵面的には私の方がまずいのか?」

「そうかもしれないわよ?」

 重畳寺先輩の方が女児に見えるものな。
 いや、それは絵面だけだ。
 それにこれは合意の上だし何も問題ない。

「私は重畳寺先輩を信頼できると思ってますから、行きましょう」

「そ」




 夕暮れくらいの時間帯。
 ついたのはなんて事のない一軒家。
 アパートとかではないことを思えば、そこまで苦しい生活をしていないんだなって感じ。
 将来探索者として生きていくかもしれないことを思うと、こうして悪くない生活をしている人を見てちょっと安心した。

「そんなに面白い建物?」

「い、いえ。入りましょ?」

「どうぞ」

 私はおとなしく家に入れてもらった。
 中も特別な感じではない。普通の家だ。玄関から短い廊下が続いてドアがいくつかある感じ。

「こっちがリビングだから」

 右手のドアからリビングに案内してもらう。
 整理された部屋って感じ。
 ひとまず静奈ちゃんをソファに座らせてあげてカーテンを閉める。

「荷物も置かせてもらいますね」

「まだ何も言ってないけど、いいわよ。好きにリラックスしてちょうだい。お茶でも持ってくるから」

「ありがとうございます」

「ありがとございます」

 これでよし。
 静奈ちゃんの顔色は悪くないけど、澄ました表情は何かを我慢しているのがわかる。

「それじゃ、脱いで」

「え?」

「ちょ、ちょっと人の家で何をおっ始めようとしてるのかしら?」

「いや、毒って装備とかに残ってポーションで回復した後も体に移ることがあるんですよ」

「…………」

 くちびるを軽く噛んで俯く静奈ちゃん。

「……なんでもわかっちゃうんだ」

 観念したようにおとなしく装備を外していくと、空色の下着とともにほんの少しだが毒によって肌が変色している箇所が見て取れた。やはり、ポツポツとした毒の跡。痛々しいがポーションで治せなかったものというより、装備から移った毒だろう。

「やっぱり我慢してたね」

「うん」

 これに関しては、お金を払って人に治してもらう以外であれば、道具を買うなり、自力で治すなりということになる。
 もちろんパーティを組んでいればパーティメンバーに治してもらうことも選択肢に入るけれど、みんながみんな解毒スキルを持っている訳じゃない。

「でも、のぞみって魔法を使えないんでしょ? ポーションを使えば静奈の毒は治せても装備の方は残っちゃうんじゃない? どう治すのよ」

「引っ張り出しちゃえばいいんですよ。もしくは、反転させるか」

 私は言いながら、キメラとの戦闘中に見せたように毒を反転させるため、魔力で静奈ちゃんの体を包んだ。

「ひゃっ」

 予想外だったのか、静奈ちゃんはかわいらしい声を漏らした。
 そして、緊張したように体を縮こませここまで見せなかった不安げな表情で固まっている。

「大丈夫だよ。すぐ終わるから」

「う、うん」

 まあ、足がつかない飛行機の飛び立つ時のような違和感があるから落ち着かないのはわかる。
 でも解毒のためだ。我慢してもらおう。

 まずは静奈ちゃんの体から毒素を排出するため、私は魔力で毒素に触れスポイトで吸い取るようなイメージで抽出した。すぐさまそれを反転させて治癒のため静奈ちゃんの肌へと触れさせる。
 雫が触れた瞬間に静奈ちゃんの体がビクッと大きく震えたが、なんてことないと気づけたみたい。不思議そうに大きく目を見開いて自身の体を見下ろし出した。

「すごい。楽になった」

「でしょ? ふふふ。よかった」

 今の静奈ちゃんは思わず見とれそうになる姿をしているけれど、今度は私が我慢我慢。

 さっさと静奈ちゃんの装備も治してあげよう。

 私は装備に残った毒素も同じように吸い出し手元へと持ってきた。

「ほい。これで」

 静奈ちゃんに渡そうとしたところで、装備から何かが落ちた。

「あ、ごめん」

 ふと拾い上げると、どうやら学生証。近くの五月雨中のもの。
 私が気づいた時にはパッと静奈ちゃんに取られてしまった。

「見た?」

 顔を上げると、真剣そのものの顔で静奈ちゃんは私の顔をじっと見つめていた。
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