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第15話 配信開始!
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いざダンジョンへ行こう! と思ったのだが、すぐに探索というわけではないらしい。
俺たちは今、ダンジョンへ入ったのにスマホをいじっている。
えりちゃんからSNSについて習っている。SNSはまったく知らないわけじゃないけども、嗜む程度にしか使っていない。
いや、正直に言えば、えりちゃんと比べれば俺は使ったことがないと言ってもいいくらい使っていない。
そのため、ほとんど何も知らない。
俺はこれまで、探索者のことばかりで、あまり流行を追ってこなかった。多分、話題が合わないことも俺に友だちができなかった原因の一つでもあるのだろう。
「それで、今は何を?」
「ん? しょうちゃんねるの準備かな」
「しょうちゃんねる?」
サーカスか何かの名前だろうか。
いや、おそらく配信関係の何かなのだろう。
俺としては、出す側のことなんて見る側以上にさっぱりだが、先ほど懇切丁寧に教えてくれた。
にも関わらず、一割も記憶に残っていない。
ただ、ダンジョン探索の様子を世界中に届けるための特殊なドローンが浮いていることから、配信なのだとはわかる。どうしてそんなドローンのことは知ってるのか? これもさっき教えてもらった。
「不安?」
「まあ」
「大丈夫だよ。おいおい教えてってあげるから」
「ありがとう」
しかし、今さらながら、どうしてここまでしてくれるんだ?
優秀な新人への投資とは言っていたが、俺以外にも優秀な新人はいるだろうに……。
「今、どうしてここまでしてくれるんだろって思ったでしょ」
「え!?」
まさか、作業しながら俺の心を読んでたのか?
「どう思う?」
本当に読んでいる? いや、そんな器用な真似……えりちゃんならできそうだな。
「俺の心、読んでる?」
「残念! 実は今は読んでないんだ。でもね、しょうちゃんの反応わかりやすいからさ」
「俺、そんなにわかりやすい?」
「わかりやすいよー。顔見てたらだいたいわかるもん」
「うぇぇ」
「そんなところもかわいい」
「か、からかわないでよ。それに、準備してるんでしょ? 失敗するよ?」
「はいはーい」
真剣なんだかそうじゃないんだか、掴みどころがない。
ただ、今のようにおちゃらけて、俺が緊張しないでいられるように気を遣ってくれているのだろう。
ガッチガチじゃ、命のやり取りをする場面で咄嗟に動けない。
昨日の俺も、性別が変わった驚きのおかげで、体を動かせたところがあると思う。
やはり、こういうところも探索による慣れなのだろう。
「でっきたっかなー?」
何やらぽちぽちしていたが、設定が終わったらしく、俺のチャンネルがしょうちゃんねるだかしょうちゃんのチャンネルだかに変わっている。
「見ててね? ここをこうしてこうすれば始まるから。はい、やってみて」
「え、いや」
「それと、いずれはドローンもしょうちゃんが自分のを買うといいと思うよ。ダンジョンで得た素材を売ったりしたら、しょうちゃんならすぐに貯まるよ」
「いや、俺は別に顔がバレてるけど、配信するのはこれが最後のつもりなんだけど」
「ふっふっふ。甘いよしょうちゃん。甘すぎるよ」
一体何が甘いというのか。
俺としては別に普通の生活を諦める覚悟ぐらいはしているつもりなのだが……。
「探索の過程を残しておいた方が後から振り返りができて反省になるんだよ? つまり、見られる見られないは別として、配信してない探索者の方が少数派ってこと。プロどころか野球少年でもビデオで振り返るでしょ?」
「確かに一理ある。そうか、だから多くの探索者が配信もしてたのか。なんか物凄い腑に落ちた。人気取りじゃなかったのか」
「ふふふ」
なんだかえりちゃんがしたり顔をしているのがとても気になるのだが。
「ちょっと疑ってる? それじゃあ、一回配信前にやってみようか」
「やってみるって?」
「スマホで撮るからさ。ほら、素振りしてみて」
えりちゃんは両手でスマホを構えて俺に言ってくる。
素振りって急に言われても……。
俺はひとまず、これまで習ってきた通りに剣を振るった。
「こ、こう?」
「もっともっと」
「こう?」
「そんな感じそんな感じ。次はシャドーボクシングみたいに相手を想定して」
「えっと、こんな?」
「そうそう、いい感じ! そして最後にピース!」
「最後に、ぴーす?」
「うん、バッチリ!」
いや、ピース必要だったか?
撮った動画を見せてもらうと、確かに客観的な俺の姿。
やはり、まだまだ頼りない動きをしている。
「ほら、こうして客観的に見れるでしょ? 探索者だから戦闘を想定した動きはできてるけど、まだゆったりしてるかな?」
「ゆったり……」
「ちょっと持ってて?」
スマホを預かると、今度はえりちゃんが抜刀、
「見ててね?」
そう言うと、えりちゃんは背を向けた。
気づくと、剣を振った残像が星型に残って見えた。
速すぎて、剣を振るところは見えなかった。
「すごい……」
「うふふーありがと。まあ、こういうのは反復練習だから、今のところ実際の戦闘でできてれば問題ないよ」
いや、練習でできないこと実戦でできないんじゃ。
「とまあ、今回はわたしがいたからいいけど、自分で振り返りたい時とか、誰もいない時とかは残しておくと便利でしょ?」
「うん。よくわかった。探索者の多くは真面目な人なんだね」
「その通り! それじゃあ始めてみて」
えりちゃんに言われた通りに操作して配信を始める。
できたのかよくわからないが、画面は変わったように見える。
「これ始まってる?」
「えーっとね。うんできてるよ。それじゃしょうちゃんとして挨拶!」
「あ、そっか。ど、どうもしょうちゃんです。えっと……」
誰も見ていないと思うのだが、カメラに虚しく挨拶する。
少し迷ったが、これ以上言うことがない。
「以上です。はい!」
「まあいっか。今回はシンプルにね。はいはーい。いいのんだよー!」
えりちゃんは慣れた様子でドローンに向かって挨拶した。
まあ、今見てる人はいないだろう。実際、ドローンに固定されたスマホは今のところ特に変化はない。
えりちゃんは有名人、俺も知られてはいる。でも、チャンネルは知られていない。
あくまで記録用だろうな。
「ん? しょうちゃんかわいい? うわっ!」
なんだか急にコメントが勢いよく流れていく。
:始まったー!
:かわいいーーーーー!
:無事だったんだね
:二人ともかわいいよー
多くのコメントで一気に流れていってほとんど目で追えない。
その中には俺までかわいいと書かれている。
どうして……?
「か、かわいい……?」
:恥ずかしがってるものかわいいー
いいのん:しょうちゃんかわいいー!
:その場にいるのにいいのんがコメントしてる!
:助けてくれてありがとー
これが、配信……!
俺たちは今、ダンジョンへ入ったのにスマホをいじっている。
えりちゃんからSNSについて習っている。SNSはまったく知らないわけじゃないけども、嗜む程度にしか使っていない。
いや、正直に言えば、えりちゃんと比べれば俺は使ったことがないと言ってもいいくらい使っていない。
そのため、ほとんど何も知らない。
俺はこれまで、探索者のことばかりで、あまり流行を追ってこなかった。多分、話題が合わないことも俺に友だちができなかった原因の一つでもあるのだろう。
「それで、今は何を?」
「ん? しょうちゃんねるの準備かな」
「しょうちゃんねる?」
サーカスか何かの名前だろうか。
いや、おそらく配信関係の何かなのだろう。
俺としては、出す側のことなんて見る側以上にさっぱりだが、先ほど懇切丁寧に教えてくれた。
にも関わらず、一割も記憶に残っていない。
ただ、ダンジョン探索の様子を世界中に届けるための特殊なドローンが浮いていることから、配信なのだとはわかる。どうしてそんなドローンのことは知ってるのか? これもさっき教えてもらった。
「不安?」
「まあ」
「大丈夫だよ。おいおい教えてってあげるから」
「ありがとう」
しかし、今さらながら、どうしてここまでしてくれるんだ?
優秀な新人への投資とは言っていたが、俺以外にも優秀な新人はいるだろうに……。
「今、どうしてここまでしてくれるんだろって思ったでしょ」
「え!?」
まさか、作業しながら俺の心を読んでたのか?
「どう思う?」
本当に読んでいる? いや、そんな器用な真似……えりちゃんならできそうだな。
「俺の心、読んでる?」
「残念! 実は今は読んでないんだ。でもね、しょうちゃんの反応わかりやすいからさ」
「俺、そんなにわかりやすい?」
「わかりやすいよー。顔見てたらだいたいわかるもん」
「うぇぇ」
「そんなところもかわいい」
「か、からかわないでよ。それに、準備してるんでしょ? 失敗するよ?」
「はいはーい」
真剣なんだかそうじゃないんだか、掴みどころがない。
ただ、今のようにおちゃらけて、俺が緊張しないでいられるように気を遣ってくれているのだろう。
ガッチガチじゃ、命のやり取りをする場面で咄嗟に動けない。
昨日の俺も、性別が変わった驚きのおかげで、体を動かせたところがあると思う。
やはり、こういうところも探索による慣れなのだろう。
「でっきたっかなー?」
何やらぽちぽちしていたが、設定が終わったらしく、俺のチャンネルがしょうちゃんねるだかしょうちゃんのチャンネルだかに変わっている。
「見ててね? ここをこうしてこうすれば始まるから。はい、やってみて」
「え、いや」
「それと、いずれはドローンもしょうちゃんが自分のを買うといいと思うよ。ダンジョンで得た素材を売ったりしたら、しょうちゃんならすぐに貯まるよ」
「いや、俺は別に顔がバレてるけど、配信するのはこれが最後のつもりなんだけど」
「ふっふっふ。甘いよしょうちゃん。甘すぎるよ」
一体何が甘いというのか。
俺としては別に普通の生活を諦める覚悟ぐらいはしているつもりなのだが……。
「探索の過程を残しておいた方が後から振り返りができて反省になるんだよ? つまり、見られる見られないは別として、配信してない探索者の方が少数派ってこと。プロどころか野球少年でもビデオで振り返るでしょ?」
「確かに一理ある。そうか、だから多くの探索者が配信もしてたのか。なんか物凄い腑に落ちた。人気取りじゃなかったのか」
「ふふふ」
なんだかえりちゃんがしたり顔をしているのがとても気になるのだが。
「ちょっと疑ってる? それじゃあ、一回配信前にやってみようか」
「やってみるって?」
「スマホで撮るからさ。ほら、素振りしてみて」
えりちゃんは両手でスマホを構えて俺に言ってくる。
素振りって急に言われても……。
俺はひとまず、これまで習ってきた通りに剣を振るった。
「こ、こう?」
「もっともっと」
「こう?」
「そんな感じそんな感じ。次はシャドーボクシングみたいに相手を想定して」
「えっと、こんな?」
「そうそう、いい感じ! そして最後にピース!」
「最後に、ぴーす?」
「うん、バッチリ!」
いや、ピース必要だったか?
撮った動画を見せてもらうと、確かに客観的な俺の姿。
やはり、まだまだ頼りない動きをしている。
「ほら、こうして客観的に見れるでしょ? 探索者だから戦闘を想定した動きはできてるけど、まだゆったりしてるかな?」
「ゆったり……」
「ちょっと持ってて?」
スマホを預かると、今度はえりちゃんが抜刀、
「見ててね?」
そう言うと、えりちゃんは背を向けた。
気づくと、剣を振った残像が星型に残って見えた。
速すぎて、剣を振るところは見えなかった。
「すごい……」
「うふふーありがと。まあ、こういうのは反復練習だから、今のところ実際の戦闘でできてれば問題ないよ」
いや、練習でできないこと実戦でできないんじゃ。
「とまあ、今回はわたしがいたからいいけど、自分で振り返りたい時とか、誰もいない時とかは残しておくと便利でしょ?」
「うん。よくわかった。探索者の多くは真面目な人なんだね」
「その通り! それじゃあ始めてみて」
えりちゃんに言われた通りに操作して配信を始める。
できたのかよくわからないが、画面は変わったように見える。
「これ始まってる?」
「えーっとね。うんできてるよ。それじゃしょうちゃんとして挨拶!」
「あ、そっか。ど、どうもしょうちゃんです。えっと……」
誰も見ていないと思うのだが、カメラに虚しく挨拶する。
少し迷ったが、これ以上言うことがない。
「以上です。はい!」
「まあいっか。今回はシンプルにね。はいはーい。いいのんだよー!」
えりちゃんは慣れた様子でドローンに向かって挨拶した。
まあ、今見てる人はいないだろう。実際、ドローンに固定されたスマホは今のところ特に変化はない。
えりちゃんは有名人、俺も知られてはいる。でも、チャンネルは知られていない。
あくまで記録用だろうな。
「ん? しょうちゃんかわいい? うわっ!」
なんだか急にコメントが勢いよく流れていく。
:始まったー!
:かわいいーーーーー!
:無事だったんだね
:二人ともかわいいよー
多くのコメントで一気に流れていってほとんど目で追えない。
その中には俺までかわいいと書かれている。
どうして……?
「か、かわいい……?」
:恥ずかしがってるものかわいいー
いいのん:しょうちゃんかわいいー!
:その場にいるのにいいのんがコメントしてる!
:助けてくれてありがとー
これが、配信……!
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