14 / 60
第14話 解決感謝!
しおりを挟む
変なものを賭けた腕相撲なんて、やらない!
やってたまるか!
「よーい、ドン!」
「って、うおっ」
こんな時に限って能力を全力で使う不意打ち。
えりちゃんの力で、俺はイスに座らされたかと思うと、気づいた時には負けていた。
「わたしの勝ち!」
なんだかいよいよ高梨正一郎という人格が破壊されてきている気がする。
俺は全力で猫のモノマネをした。未だ顔が熱い。
そもそも俺の初撃無効はどこへ行ってしまったのか。
えりちゃんを敵と思っていないから発動しないのか、それともえりちゃんはまったく悪意なくやっているのか。今の俺にはまだわからない。
「うふふ。大切にしよっと」
「男のそれ、保存してていいのか?」
「いいよー」
俺の黒歴史がえりちゃんのスマホに保存されてしまった。
楽しそうにスマホを見つめていることから、おそらく削除されることはないのだろう。
ああ。思い出すだけでめまいがする。
「さて、お騒がせしました」
「いえ、全然問題ないです。むしろ俺がお騒がせしました」
「かわいかったですよ?」
「そうですか……あ、そうだ。昨日借りた服」
「それなら気にしなくて結構です。差し上げます」
「いや……」
「差し上げます!」
今日の受付も宇野さん。
昨日のことを根に持っているのか少し怖い。
「ありがたく頂戴します」
「はい!」
「しょうちゃん服借りたの?」
「うん。着れるのがなかったから、ここの受付の制服を」
「えー! 今度着てね!」
「えぇ……」
「着てよー」
「い、いつかね……機会があれば」
「うんうん!」
「それでは、お話を進めてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい」
えりちゃんが話を通したり、ダンジョンへ入る前に受付の宇野さんの方からやってきたりと、どうにも普通ではない状況。
素人の俺でも何かあったのだとわかる。
「では、高梨正一郎様。混乱の解決に尽力してくださり、誠にありがとうございました」
「え?」
「改めて、わたしからもありがとね。しょうちゃん」
「ありがとう!」
「伊井野さんが助かったのはあんたのおかげだ!」
「いいのんを救ってくれてありがとー!」
「え、え?」
えりちゃんの感謝を皮切りに、今集まっている探索者の人たちからも、俺への感謝の言葉が飛んでくる。
予想外のことに正直思考が追いついていない。
悪いことがあったとかではない?
「いや、俺はえりちゃんに逃がしてもらっただけで」
「そんなことないって。それにこれはわたしから申し出たんだから、真っ直ぐ受け止めてほしいな」
「えりちゃん……」
たまたまだったとしても、感謝を否定するのは失礼か。こんなに何度も伝えてもらってるんだしな。
しかし、さっきは見ず知らずの人がわざわざ庇ってくれたし、改めて世界に向けて俺がやったことが大々的に広まっていることを実感する。
そして、ただの強力なモンスターの発生ではなく、ボスが下の層に降りてくるイレギュラーの異常性を改めて認識した。
本当に、倒せたのはラッキーだ。
「やっぱり、わたし一人じゃ無理だったなと思うよ。昨日は回復が時間かかって、なかなかここに戻ってこれなかったんだから」
「いいのんを助けてくれた神!」
「伊井野さん一人じゃ無理なんて、それを一撃か……」
まあ、今回は多くの人が少しでも攻撃を与えて弱らせてくれていたはずだからなんとかなったのだと俺は思っている。
それに、こういうのはきっと油断している時にまたやってくる。
「俺も、今回のことに恥じないように、これからも探索者をしていきたいです。こちらこそありがとうございます!」
俺は思っていることを口にして頭を下げた。
すると今度は、拍手の嵐が俺を襲った。
「人としてもできてる!」
「さすがだな」
「やっぱり、あの場に初日の探索者でも向かえる勇気がすごい」
俺のことを高く評価しすぎな気がするが、やはりここで否定するのも失礼な気がする。
少しずつボロが出てきてしまうだろうが、誰だってそうだと考えて、この場では受け入れることにしよう。
「それじゃあ、行こうか」
「うん」
「ちょっと待ってください!」
俺たちは、一段落したと思い、ダンジョンに向かって歩き出したのだが、宇野さんに呼び止められた。
なんだか神妙な表情をしている。まさか、本当はまた何か、ダンジョンの中で起こっているのだろうか。
「あの、実はですね。ダンジョンのボスもテイム。そうですね、仲間にすることができるようですよ。倒さずに力を見せればどんな時でも指示に従ってくれるみたいです」
「どうしてそのことを俺なんかに?」
「期待ですよ。あと、少しはここをひいきにしてほしいなと思ったからです。ダンジョンはここだけではありませんから」
「なるほど」
「まあ、閑散として、受付までモンスター退治に駆り出される場所もあるみたいだからね。わたしもできるだけ学校から近いここに来るようにはしてるよ」
「つまり、もっとモンスターを倒せと?」
「そうじゃないですよ。ただ、ここなら私もお力になれるので」
「そうですね。ありがとうございます」
しかし、俺がボスをテイムなんて、夢のまた夢の話だろうけど、とりあえず頭の片隅にでも置いておこう。
「それと、最近、中層以降で何やら異変があるらしいです。ここでは、昨日のことがあったので当分はないでしょうが、気をつけてください」
「わかりました。ありがとうございます」
さあ、ダンジョンへ行こうか。
やってたまるか!
「よーい、ドン!」
「って、うおっ」
こんな時に限って能力を全力で使う不意打ち。
えりちゃんの力で、俺はイスに座らされたかと思うと、気づいた時には負けていた。
「わたしの勝ち!」
なんだかいよいよ高梨正一郎という人格が破壊されてきている気がする。
俺は全力で猫のモノマネをした。未だ顔が熱い。
そもそも俺の初撃無効はどこへ行ってしまったのか。
えりちゃんを敵と思っていないから発動しないのか、それともえりちゃんはまったく悪意なくやっているのか。今の俺にはまだわからない。
「うふふ。大切にしよっと」
「男のそれ、保存してていいのか?」
「いいよー」
俺の黒歴史がえりちゃんのスマホに保存されてしまった。
楽しそうにスマホを見つめていることから、おそらく削除されることはないのだろう。
ああ。思い出すだけでめまいがする。
「さて、お騒がせしました」
「いえ、全然問題ないです。むしろ俺がお騒がせしました」
「かわいかったですよ?」
「そうですか……あ、そうだ。昨日借りた服」
「それなら気にしなくて結構です。差し上げます」
「いや……」
「差し上げます!」
今日の受付も宇野さん。
昨日のことを根に持っているのか少し怖い。
「ありがたく頂戴します」
「はい!」
「しょうちゃん服借りたの?」
「うん。着れるのがなかったから、ここの受付の制服を」
「えー! 今度着てね!」
「えぇ……」
「着てよー」
「い、いつかね……機会があれば」
「うんうん!」
「それでは、お話を進めてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい」
えりちゃんが話を通したり、ダンジョンへ入る前に受付の宇野さんの方からやってきたりと、どうにも普通ではない状況。
素人の俺でも何かあったのだとわかる。
「では、高梨正一郎様。混乱の解決に尽力してくださり、誠にありがとうございました」
「え?」
「改めて、わたしからもありがとね。しょうちゃん」
「ありがとう!」
「伊井野さんが助かったのはあんたのおかげだ!」
「いいのんを救ってくれてありがとー!」
「え、え?」
えりちゃんの感謝を皮切りに、今集まっている探索者の人たちからも、俺への感謝の言葉が飛んでくる。
予想外のことに正直思考が追いついていない。
悪いことがあったとかではない?
「いや、俺はえりちゃんに逃がしてもらっただけで」
「そんなことないって。それにこれはわたしから申し出たんだから、真っ直ぐ受け止めてほしいな」
「えりちゃん……」
たまたまだったとしても、感謝を否定するのは失礼か。こんなに何度も伝えてもらってるんだしな。
しかし、さっきは見ず知らずの人がわざわざ庇ってくれたし、改めて世界に向けて俺がやったことが大々的に広まっていることを実感する。
そして、ただの強力なモンスターの発生ではなく、ボスが下の層に降りてくるイレギュラーの異常性を改めて認識した。
本当に、倒せたのはラッキーだ。
「やっぱり、わたし一人じゃ無理だったなと思うよ。昨日は回復が時間かかって、なかなかここに戻ってこれなかったんだから」
「いいのんを助けてくれた神!」
「伊井野さん一人じゃ無理なんて、それを一撃か……」
まあ、今回は多くの人が少しでも攻撃を与えて弱らせてくれていたはずだからなんとかなったのだと俺は思っている。
それに、こういうのはきっと油断している時にまたやってくる。
「俺も、今回のことに恥じないように、これからも探索者をしていきたいです。こちらこそありがとうございます!」
俺は思っていることを口にして頭を下げた。
すると今度は、拍手の嵐が俺を襲った。
「人としてもできてる!」
「さすがだな」
「やっぱり、あの場に初日の探索者でも向かえる勇気がすごい」
俺のことを高く評価しすぎな気がするが、やはりここで否定するのも失礼な気がする。
少しずつボロが出てきてしまうだろうが、誰だってそうだと考えて、この場では受け入れることにしよう。
「それじゃあ、行こうか」
「うん」
「ちょっと待ってください!」
俺たちは、一段落したと思い、ダンジョンに向かって歩き出したのだが、宇野さんに呼び止められた。
なんだか神妙な表情をしている。まさか、本当はまた何か、ダンジョンの中で起こっているのだろうか。
「あの、実はですね。ダンジョンのボスもテイム。そうですね、仲間にすることができるようですよ。倒さずに力を見せればどんな時でも指示に従ってくれるみたいです」
「どうしてそのことを俺なんかに?」
「期待ですよ。あと、少しはここをひいきにしてほしいなと思ったからです。ダンジョンはここだけではありませんから」
「なるほど」
「まあ、閑散として、受付までモンスター退治に駆り出される場所もあるみたいだからね。わたしもできるだけ学校から近いここに来るようにはしてるよ」
「つまり、もっとモンスターを倒せと?」
「そうじゃないですよ。ただ、ここなら私もお力になれるので」
「そうですね。ありがとうございます」
しかし、俺がボスをテイムなんて、夢のまた夢の話だろうけど、とりあえず頭の片隅にでも置いておこう。
「それと、最近、中層以降で何やら異変があるらしいです。ここでは、昨日のことがあったので当分はないでしょうが、気をつけてください」
「わかりました。ありがとうございます」
さあ、ダンジョンへ行こうか。
10
あなたにおすすめの小説
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる