22 / 60
第22話 俺の取り合い!?
しおりを挟む
気づくと俺は空を見ていた。
と言うより、俺の姿勢がおかしい。
視界に入ってくるのは、
「大丈夫? しょうちゃん」
「えりちゃん!?」
俺を抱きかかえるようにして、器用に関先輩の拘束から脱出させてくれたらしい。
別に、脅されていたわけではないのだが、なんとなく助かった?
いや、今は別の意味で心臓がうるさい。めちゃくちゃ密着してるから……。
「なんの真似かな? 伊井野くん」
「関先輩。しょうちゃんはわたしのパートナーです。しょうちゃんのことを知りたいって言うなら、せめてわたしに話を通すべきです。ね、しょうちゃん」
「いつから?」
「昨日からだよ」
そんな話をした記憶は一切ないのだが……。
確かに、色々と教えてもらったし、色々と助けてもらったが、パートナーって話は出てない、よな?
探索者に関して、パートナー制度みたいなのってあったっけ?
「本人に自覚がないうちからパートナーというのは、あまりにも思い上がった発言じゃないかな? 高梨くんはワタシの助手だよ? そうだろう? 高梨くん」
「それもいつからですか?」
「先ほどからだとも」
さっきの話は俺が助手になるという前提で進められていたのか?
それならそうと言っておいてほしかったのだが。
「先輩こそ妄想を現実とごっちゃごちゃにしてるじゃないですか」
「君に言われたくないな」
「負け惜しみですね。さっき先輩はしょうちゃんを怯えさせていました。でも、わたしがこうしてくっついていても、しょうちゃんが抵抗しないことから、わたしとしょうちゃんの方が信頼関係があることは明白でしょう?」
「先ほどの我々の様子を見ていなかったのかな? 高梨くんなら脱出できたものをあえて動かなかったんだ」
理由がイマイチわからないのだが、二人してにらみ合っている。
誰かが来ると恥ずかしいから、俺としてはそろそろ下ろしてほしいのだが、一流探索者の喧嘩に首をつっこむ勇気はまだない。
「い、いいのんでもこれだけは言わせてもらうっす! アネゴはオイラのアネゴっすから!」
「いや、だからいつから!?」
さすがにタイコウが誰かわからないのか、ぽかんとした顔でえりちゃんは完全に虚をつかれたらしい。
必死に記憶を探っているのが俺でもわかる。
「あれは坂本タイコウだよ」
「え、あれが!? 坂本タイコウって坂本先輩でしょ? 女の子だったっけ? 違うよね?」
「ふふーん!」
なぜか見た目に自信を持っているタイコウに混乱しているえりちゃん。
気持ちはわかる。
俺も名前を知った時から、坂本タイコウという人物のイメージがガラガラと崩壊してしまっている。
「い、いや、坂本先輩だとしても、しょうちゃんはわたしと探索に行くんだから。先輩二人にも譲りませんから! しょうちゃんはまだまだ隙だらけでかわいいんです!」
「それっていいの?」
「いいや、高梨くんはなんとも不思議で興味深い存在だろう」
「興味深い?」
「わたしを助けてくれたんだから、わたしが恩を返す方が自然ですよね」
「まだ探索者として発展途上。先輩としてもあまり危険を犯させたくないな」
「先輩という意味なら関先輩よりわたしの方が探索者歴は長いです」
「歳はワタシの方が上だ。それを言うなら、守られていた君は高梨くんにとって足手まといなんじゃないか?」
「いいのんは足手まといなんかじゃない。それに、アネゴが初日でボスを一撃で倒したのは、アネゴがヤバいだけだろ?」
「坂本くんは黙っててくれないかな?」
「坂本先輩は黙っててください」
「あ、アネゴぉ」
「タイコウ。ありがとう。ちょっと静かにしてた方がいいかも」
涙目でしょんぼりし出したタイコウを言葉で落ち着かせる。
もう二人はタイコウに目もくれない。
こんな状況では、俺も正気を保つのがやっとだ。
未だ理由はわからないが、どうやら俺をめぐって言い争いをしているという雰囲気は感じ取れた。
しかし、そんな状況に精神がついていかない。
「しょうちゃん」
「高梨くん」
「どうするの?」
「どうするんだい?」
「え? えっと……」
正直恥ずかしい。
今まで誰かに相手にされることなんてほとんどなかった人生だから、俺のことを見て、しかも憧れていた探索者が探索者として俺を評価しているというのは、今さらになってすごいことなのだと理解できる。
どちらか選ぶというのはとても難しい。
俺の知る限りでは、両者ともに大技を扱う探索者という認識だ。
ならば、お互いに得になる情報を持っていそうな気がする。
「一緒じゃダメですかね?」
「え?」
「どういうことかな?」
「二人とも一緒なら心強いと思います。それに、不意の出来事の対策をするなら、本来一人でダンジョンに挑むことは推奨されていない。このことからも、二人にはあんまりいがみあってほしくないです」
キョトンとした表情の二人。
なんだろう。俺は間違ったことを言っただろうか。
「ふふ」
「はは」
「ふふふふふ」
「はっはっはっは」
少しの沈黙の後、二人は突然笑い出した。
いや、怖い。どうして笑ってるの二人は!
「しょうちゃんに探索者の基本を思い出させられるなんて」
「そうだな。実験に没頭しすぎていて、危ない状況には何度もおちいっていた。一人では対処できないこともある。うん。伊井野くん力を貸してほしい」
「もちろんですよ。先輩」
よかった。喧嘩が激しくならずに済んだみたいだ。
ようやく俺も地面に下ろしてもらったし。
「それで、坂本くんも来るのかな?」
「あ? オイラは無理だよ。今の状態でアネゴに迷惑かけるわけにはいかないだろ。色々と準備不足だ」
「だろうね」
「つーわけで、すんませんっす、アネゴ」
「大丈夫だよ」
と言うより、俺の姿勢がおかしい。
視界に入ってくるのは、
「大丈夫? しょうちゃん」
「えりちゃん!?」
俺を抱きかかえるようにして、器用に関先輩の拘束から脱出させてくれたらしい。
別に、脅されていたわけではないのだが、なんとなく助かった?
いや、今は別の意味で心臓がうるさい。めちゃくちゃ密着してるから……。
「なんの真似かな? 伊井野くん」
「関先輩。しょうちゃんはわたしのパートナーです。しょうちゃんのことを知りたいって言うなら、せめてわたしに話を通すべきです。ね、しょうちゃん」
「いつから?」
「昨日からだよ」
そんな話をした記憶は一切ないのだが……。
確かに、色々と教えてもらったし、色々と助けてもらったが、パートナーって話は出てない、よな?
探索者に関して、パートナー制度みたいなのってあったっけ?
「本人に自覚がないうちからパートナーというのは、あまりにも思い上がった発言じゃないかな? 高梨くんはワタシの助手だよ? そうだろう? 高梨くん」
「それもいつからですか?」
「先ほどからだとも」
さっきの話は俺が助手になるという前提で進められていたのか?
それならそうと言っておいてほしかったのだが。
「先輩こそ妄想を現実とごっちゃごちゃにしてるじゃないですか」
「君に言われたくないな」
「負け惜しみですね。さっき先輩はしょうちゃんを怯えさせていました。でも、わたしがこうしてくっついていても、しょうちゃんが抵抗しないことから、わたしとしょうちゃんの方が信頼関係があることは明白でしょう?」
「先ほどの我々の様子を見ていなかったのかな? 高梨くんなら脱出できたものをあえて動かなかったんだ」
理由がイマイチわからないのだが、二人してにらみ合っている。
誰かが来ると恥ずかしいから、俺としてはそろそろ下ろしてほしいのだが、一流探索者の喧嘩に首をつっこむ勇気はまだない。
「い、いいのんでもこれだけは言わせてもらうっす! アネゴはオイラのアネゴっすから!」
「いや、だからいつから!?」
さすがにタイコウが誰かわからないのか、ぽかんとした顔でえりちゃんは完全に虚をつかれたらしい。
必死に記憶を探っているのが俺でもわかる。
「あれは坂本タイコウだよ」
「え、あれが!? 坂本タイコウって坂本先輩でしょ? 女の子だったっけ? 違うよね?」
「ふふーん!」
なぜか見た目に自信を持っているタイコウに混乱しているえりちゃん。
気持ちはわかる。
俺も名前を知った時から、坂本タイコウという人物のイメージがガラガラと崩壊してしまっている。
「い、いや、坂本先輩だとしても、しょうちゃんはわたしと探索に行くんだから。先輩二人にも譲りませんから! しょうちゃんはまだまだ隙だらけでかわいいんです!」
「それっていいの?」
「いいや、高梨くんはなんとも不思議で興味深い存在だろう」
「興味深い?」
「わたしを助けてくれたんだから、わたしが恩を返す方が自然ですよね」
「まだ探索者として発展途上。先輩としてもあまり危険を犯させたくないな」
「先輩という意味なら関先輩よりわたしの方が探索者歴は長いです」
「歳はワタシの方が上だ。それを言うなら、守られていた君は高梨くんにとって足手まといなんじゃないか?」
「いいのんは足手まといなんかじゃない。それに、アネゴが初日でボスを一撃で倒したのは、アネゴがヤバいだけだろ?」
「坂本くんは黙っててくれないかな?」
「坂本先輩は黙っててください」
「あ、アネゴぉ」
「タイコウ。ありがとう。ちょっと静かにしてた方がいいかも」
涙目でしょんぼりし出したタイコウを言葉で落ち着かせる。
もう二人はタイコウに目もくれない。
こんな状況では、俺も正気を保つのがやっとだ。
未だ理由はわからないが、どうやら俺をめぐって言い争いをしているという雰囲気は感じ取れた。
しかし、そんな状況に精神がついていかない。
「しょうちゃん」
「高梨くん」
「どうするの?」
「どうするんだい?」
「え? えっと……」
正直恥ずかしい。
今まで誰かに相手にされることなんてほとんどなかった人生だから、俺のことを見て、しかも憧れていた探索者が探索者として俺を評価しているというのは、今さらになってすごいことなのだと理解できる。
どちらか選ぶというのはとても難しい。
俺の知る限りでは、両者ともに大技を扱う探索者という認識だ。
ならば、お互いに得になる情報を持っていそうな気がする。
「一緒じゃダメですかね?」
「え?」
「どういうことかな?」
「二人とも一緒なら心強いと思います。それに、不意の出来事の対策をするなら、本来一人でダンジョンに挑むことは推奨されていない。このことからも、二人にはあんまりいがみあってほしくないです」
キョトンとした表情の二人。
なんだろう。俺は間違ったことを言っただろうか。
「ふふ」
「はは」
「ふふふふふ」
「はっはっはっは」
少しの沈黙の後、二人は突然笑い出した。
いや、怖い。どうして笑ってるの二人は!
「しょうちゃんに探索者の基本を思い出させられるなんて」
「そうだな。実験に没頭しすぎていて、危ない状況には何度もおちいっていた。一人では対処できないこともある。うん。伊井野くん力を貸してほしい」
「もちろんですよ。先輩」
よかった。喧嘩が激しくならずに済んだみたいだ。
ようやく俺も地面に下ろしてもらったし。
「それで、坂本くんも来るのかな?」
「あ? オイラは無理だよ。今の状態でアネゴに迷惑かけるわけにはいかないだろ。色々と準備不足だ」
「だろうね」
「つーわけで、すんませんっす、アネゴ」
「大丈夫だよ」
20
あなたにおすすめの小説
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる