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第26話 助けた女性は……
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「げっ!」
助けてくれた相手にその反応はないんじゃなかろうか。
先ほどまで感謝してくれていたはずの女性は、何やら見たくないものでも見たかのように、しかめっ面をしたかと思うと、なぜか俺の背後に回った。
「なぜっ!」
人質にでも取るように、いや違うな、俺に隠れるように、俺にしがみつきながら、顔だけ出して二人の様子をうかがっているみたいだ。
知り合いなのか犬猿の仲なのか、なぜか俺に隠れている。本当になぜ……?
「しょうちゃんの知り合い?」
「人見知りをするタイプの人なのかい?」
「いやぁ、知り合いってわけじゃ……」
でもなんだか引っかかるんだよな。こう、喉の辺りまで出かかってる感じなんだけど……。
「あっ! 思い出した!」
俺はすぐさまひるがえって女性の手を取った。
「千島華蓮《ちしまかれん》さんですよね! 女性最強探索者と言われている、ヤリの使い手の!」
「知ってくれてるの? ふ、ふふ。最強だなんて、そんな」
と言いつつも嬉しそうに頬を染めている。
しきりに髪をいじくっているところなんか、どう見たって照れ隠しだ。
「憧れの探索者の一人です! 知ってますよ!」
「ああー! ホントだ! 千島さんだ!」
「千島さんじゃないですか。いやしかし、どうして隠れる必要があるんです?」
えりちゃんも関先輩も別に千島さんのことを嫌っているわけではない反応。
むしろテンションが上がっているし、笑みも二割くらい増している気がする。
:やっぱり千島さんだ!
:画面越しだけど、あの量耐えてる時点でエグい……
:一般人なら即死レベルだったろさっきの!
「応援してます!」
「そ、そう?」
千島さんは強いから、ぱっと見怖そうな印象を与えるのだが、インタビューやそこかしこで垣間見える人のよさが、本当は優しい人なんだと思わされる素敵な人だ。
「あたしを見てるなんて言ってくれる人そういないけど、嬉しいわ」
「そんなことないですって。評価してくれる人がいるから、最強と言われてるんですし」
「そ、そうかしら?」
いや、やっぱり人がいいみたいだ。
こんなに嬉しそうにしてくれるなら周りも褒めがいがあるだろう。
それに、褒められても威張らないところに共感がもてる。だから人から最強だって話されるんだろうな。
「ふふ。人を助けてそのうえこうして気持ちを持ち上げてくれるなんて」
「持ち上げるだなんて、そんなつもりないですよ。純粋な気持ちです」
「ありがとう。あなたのことは見たことがある気もするけど、かわいいわね!」
「わ、ちょっ!?」
何やら急に髪をわしゃわしゃされ、なんだか変な感じがゾクゾクッと登ってきた。
でも、くすぐったいのに不思議と嫌な感じがしない。
「綺麗な髪」
「ありがとうございます」
「ちょっと。千島さん。しょうちゃんと近すぎです」
「そうですね。ワタシたちを無視とはあんまりじゃないですか?」
引っ張られ引き離され、再度顔をうかがうといつの間にかみんなブスッとした顔をしていた。
「ま、まあまあ助かったからいいじゃない。ね?」
えりちゃんはつーんと口を尖らせている。気のせいかと思ったが、もしかしたら仲が悪いという直感は当たっていたのかもしれない。
いつもは人当たりのいいえりちゃんがこんな表情をするなんて。
「ま、しょうちゃんの言う通りか。千島さん。ここはこれで収めましょう」
「年下からの提案ということが受け入れがたいけど、いいわ。ここはダンジョンだしね」
ほっと一息。一安心だ。
「それで、千島さんはどうしてここに?」
「探索よ。いつも通りね」
「あっ! 手当てするの忘れてた。ちょっと千島さん動かないでくださいね?」
「な、何するつもりよ。別にこれくらい」
突如接近したえりちゃんを警戒するような千島さん。
しかし、えりちゃんは構うことなく、素早くケガを治療していく。
「あ、ありがと……」
「いえ。千島さんはいつもすごいなと思わされてますから」
「そう、なの?」
「はい。それはそうですよ。わたしと同じ時期から活躍していて、ずっと一線級の人って千島さんくらいですし」
「ワタシも同じような時期から探索者をしているのだが……まあ、ワタシも千島さんを一つの目標に日々鍛錬を積んできました。ここでお会いできてよかったです」
「え、そうなの?」
今はモンスターに囲まれていないというのに、なんだか千島さんがテンパリだした。
「……ど、どうしよう。こんなこと言われるなんて思ってなかった。ずっと、あたしの立場を脅かす存在だと思ってたのに、あたしが一線級? 目標……?」
ぶつぶつと何事かを言いながら顔を真っ赤にしている。
もしかして、困らせてしまった?
「わ、あたしも二人のことは頑張っててすごいと思って、いつも活躍を聞いて刺激を受けてた。あたしの方が置いてかれるんじゃないかと思って……ち、違うの! 今のは違う。わ、忘れて!」
「ふふ。刺激だってゆいちゃん」
「嬉しいこともあるものだな」
「ねえ、違うから。違うの!」
「やっぱり人がいいんですね」
「本当にやめて!」
もおーと言って真っ赤になった顔を隠し、千島さんはしゃがみ込んでしまった。
所作がいちいちかわいらしいところからも人に好かれることがうかがい知れる。
俺にはそういうところなかなかないからな……でも、俺は同じことできない。やっぱり千島さんだからってことだ。
「で、でも感謝してるのは本当だから。そのまあ、色々あったけど、本当に助かったわ。一人だったから……ありがと」
「感謝されましたよ!」
「続けてきた甲斐があるものだな」
「喜びすぎじゃない!? ね、ねえ、一回戻りましょ?」
助けてくれた相手にその反応はないんじゃなかろうか。
先ほどまで感謝してくれていたはずの女性は、何やら見たくないものでも見たかのように、しかめっ面をしたかと思うと、なぜか俺の背後に回った。
「なぜっ!」
人質にでも取るように、いや違うな、俺に隠れるように、俺にしがみつきながら、顔だけ出して二人の様子をうかがっているみたいだ。
知り合いなのか犬猿の仲なのか、なぜか俺に隠れている。本当になぜ……?
「しょうちゃんの知り合い?」
「人見知りをするタイプの人なのかい?」
「いやぁ、知り合いってわけじゃ……」
でもなんだか引っかかるんだよな。こう、喉の辺りまで出かかってる感じなんだけど……。
「あっ! 思い出した!」
俺はすぐさまひるがえって女性の手を取った。
「千島華蓮《ちしまかれん》さんですよね! 女性最強探索者と言われている、ヤリの使い手の!」
「知ってくれてるの? ふ、ふふ。最強だなんて、そんな」
と言いつつも嬉しそうに頬を染めている。
しきりに髪をいじくっているところなんか、どう見たって照れ隠しだ。
「憧れの探索者の一人です! 知ってますよ!」
「ああー! ホントだ! 千島さんだ!」
「千島さんじゃないですか。いやしかし、どうして隠れる必要があるんです?」
えりちゃんも関先輩も別に千島さんのことを嫌っているわけではない反応。
むしろテンションが上がっているし、笑みも二割くらい増している気がする。
:やっぱり千島さんだ!
:画面越しだけど、あの量耐えてる時点でエグい……
:一般人なら即死レベルだったろさっきの!
「応援してます!」
「そ、そう?」
千島さんは強いから、ぱっと見怖そうな印象を与えるのだが、インタビューやそこかしこで垣間見える人のよさが、本当は優しい人なんだと思わされる素敵な人だ。
「あたしを見てるなんて言ってくれる人そういないけど、嬉しいわ」
「そんなことないですって。評価してくれる人がいるから、最強と言われてるんですし」
「そ、そうかしら?」
いや、やっぱり人がいいみたいだ。
こんなに嬉しそうにしてくれるなら周りも褒めがいがあるだろう。
それに、褒められても威張らないところに共感がもてる。だから人から最強だって話されるんだろうな。
「ふふ。人を助けてそのうえこうして気持ちを持ち上げてくれるなんて」
「持ち上げるだなんて、そんなつもりないですよ。純粋な気持ちです」
「ありがとう。あなたのことは見たことがある気もするけど、かわいいわね!」
「わ、ちょっ!?」
何やら急に髪をわしゃわしゃされ、なんだか変な感じがゾクゾクッと登ってきた。
でも、くすぐったいのに不思議と嫌な感じがしない。
「綺麗な髪」
「ありがとうございます」
「ちょっと。千島さん。しょうちゃんと近すぎです」
「そうですね。ワタシたちを無視とはあんまりじゃないですか?」
引っ張られ引き離され、再度顔をうかがうといつの間にかみんなブスッとした顔をしていた。
「ま、まあまあ助かったからいいじゃない。ね?」
えりちゃんはつーんと口を尖らせている。気のせいかと思ったが、もしかしたら仲が悪いという直感は当たっていたのかもしれない。
いつもは人当たりのいいえりちゃんがこんな表情をするなんて。
「ま、しょうちゃんの言う通りか。千島さん。ここはこれで収めましょう」
「年下からの提案ということが受け入れがたいけど、いいわ。ここはダンジョンだしね」
ほっと一息。一安心だ。
「それで、千島さんはどうしてここに?」
「探索よ。いつも通りね」
「あっ! 手当てするの忘れてた。ちょっと千島さん動かないでくださいね?」
「な、何するつもりよ。別にこれくらい」
突如接近したえりちゃんを警戒するような千島さん。
しかし、えりちゃんは構うことなく、素早くケガを治療していく。
「あ、ありがと……」
「いえ。千島さんはいつもすごいなと思わされてますから」
「そう、なの?」
「はい。それはそうですよ。わたしと同じ時期から活躍していて、ずっと一線級の人って千島さんくらいですし」
「ワタシも同じような時期から探索者をしているのだが……まあ、ワタシも千島さんを一つの目標に日々鍛錬を積んできました。ここでお会いできてよかったです」
「え、そうなの?」
今はモンスターに囲まれていないというのに、なんだか千島さんがテンパリだした。
「……ど、どうしよう。こんなこと言われるなんて思ってなかった。ずっと、あたしの立場を脅かす存在だと思ってたのに、あたしが一線級? 目標……?」
ぶつぶつと何事かを言いながら顔を真っ赤にしている。
もしかして、困らせてしまった?
「わ、あたしも二人のことは頑張っててすごいと思って、いつも活躍を聞いて刺激を受けてた。あたしの方が置いてかれるんじゃないかと思って……ち、違うの! 今のは違う。わ、忘れて!」
「ふふ。刺激だってゆいちゃん」
「嬉しいこともあるものだな」
「ねえ、違うから。違うの!」
「やっぱり人がいいんですね」
「本当にやめて!」
もおーと言って真っ赤になった顔を隠し、千島さんはしゃがみ込んでしまった。
所作がいちいちかわいらしいところからも人に好かれることがうかがい知れる。
俺にはそういうところなかなかないからな……でも、俺は同じことできない。やっぱり千島さんだからってことだ。
「で、でも感謝してるのは本当だから。そのまあ、色々あったけど、本当に助かったわ。一人だったから……ありがと」
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