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第28話 体育へ!
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なんだろう。急にふわふわしてきた。
これまでは正直、すごいすごいと言われていても、自分の力がなくても同じようになったという思いもあり、あまり実感がなかったのかもしれない。
だが、実際にお金という目に見える形で俺の手元に入ってくると、急に実感が湧いてきたというか。
「どうしよう」
「どうしたの?」
「ひゃっ。え、えりちゃん」
「なに? かわいい声出して、そんなところでぼーっとして。入らないの?」
「え、いや、かわいい声なんて」
「開けるよ?」
「待っ」
尻込みしていたのはどう対応するかということなのだが、気にする様子もなくえりちゃんは教室のドアを開けてしまった。
「来た!」
「相変わらずすごかったな!」
「ホントだよ! ねぇ、ちょっと探索者のスキルとか見せてくれない?」
「私も見たい!」
「それより本当に女の子になったの?」
今回は初めからえりちゃんも一緒に囲まれてしまい、どうにも脱出困難な状況。
やりようがわかるダンジョン内よりも、ここの方がぼっちにとってはよっぽど難易度が高い気がする。
助けてえりちゃん。
「いやぁ。みんなだって普段頑張ってるじゃん。おんなじことだよ」
「でも探索者って頑張るだけじゃなれないだろ?」
「そうそう。才能も重要だって」
「そう言うかもしれないけど、才能だけじゃやっぱりダメだよ。それに、才能があっても才能を発揮しないと、才能があることにも気づけないでしょ?」
「たしかに」
「うぉぉおおお! 伊井野さんが言うなら俺も頑張ろう!」
「みんなもがんばろー!」
えりちゃんはとても冷静に会話している。
モンスターの相手だけでなく、当たり前だが対応も慣れてる。
やっぱり、俺はまだまだだな。
「高梨ちゃんはどうなの?」
「ど、どうって? それに、高梨ちゃん?」
「もー。今の見た目で高梨くんの方が変だよ」
「そうそう。そうだ。放課後一緒に買い物行かない? 着てもらいたい服があるんだ。きっと似合うよ」
「ダメ! そういうのはわたしと行くんだから。はーい! あんまりうるさいと他のクラスに迷惑だよー」
「いや、別に買い物くらい」
「はいはーい! 終わり終わりー!」
なんだか無理矢理な終わらせ方だったが、いいのだろうか。
「ほら、席に戻るー。しょうちゃんも」
「う、うん」
背中を押され歩きつつ、周りを見る。
だが、誰も不満を漏らさずに、えりちゃんの言う通りに散り散りになっていた。
「……あれってどういうことなんだ?」
「……やっぱりそういう……?」
「……でも、どうなんだ?」
「ああ、いい!」
なんだか変な視線を感じる。
いや、モンスターもいないのに気のせいだろう。
次は体育。
探索者になって初めての体育だ。
女子の体になったことで女子と一緒の更衣室、着替えの最中が見えてしまうドキドキ! みたいなものはない。
探索者のスキルの中には、色々なものを作れるスキルもあるのだ。
ここは俺用の更衣室である。
「残念だったな! はっはっは!」
いや、なにしてるんだろう、俺。
いやいや、一人で着替えられる方がよくね? うん、うんうん。そうだ。ラクだし。そうそう。
そういえば、なんでも屋さんも生産系のスキルらしい。ただ、詳細まではわからない。やっぱり謎の女性だ。
「うわぁ、ひろーい……本当になにしてるんだろう……」
無駄に広いせいで、一人では完全に持て余してしまっている。
まあ、わざわざ体育のためなんかにどうしてこんなことをしてくれるのかということなのだが、体育の授業が特別だからだ。
別に他の科目よりも好きな生徒が多いからとか、運動部が熱心とかそういうことではない。もっと重要なことがある。
そう、俺は探索者なのだ。
探索者のスキルで他の生徒に危害を加えてしまいかねない。当初はそういった事故もあったそうな。
「と、そういう特別待遇でぼっち。もしかしたら他の生徒が同じようなスキルに覚醒してもってことなのだろうが……そういえば俺一人ではないのか。なるほど」
タイコウも同じような状態だった。
ということで、探索者と一般人は別! 俺のクラスは、いや、俺の学年は俺とえりちゃんの二人だけが別授業となる。
授業は専任の先生が担当している。これまではえりちゃん一人だったところに俺が入るというわけだ。
「そろそろ大人しく着替えよう」
二人だから余計に遅れれば目につくというもの。それに、スカートの制服よりは多少マシなはず。
俺が着替えを始めようと制服に手をかけたところで、ガラガラガラッと勢いよく扉が開かれた。
「しょうちゃん! 一緒に着替えよ!」
「なんで入ってきてんの!?」
ここは俺用なんだが!?
女子は女子で女子として更衣室がある。
「えりちゃんはここじゃなくてもいいでしょうよ」
「えー。せっかく探索者がわたしだけじゃなくなったんだからいいじゃん」
「俺が困る。そもそもここは俺用って」
「先生が、高梨がいいならいいって」
「じゃあ、一人にして」
「遅刻するよ?」
「わざわざ来たらそうでしょうよ!」
本当に俺の知る伊井野さんと同じ人だろうか。自由人だな。
これが許されるのも、実績があるからか。
なにもしないではみ出さないよりは、クセがあっても大きなことをしている方がなんだかんだ人望もあるものなのか?
「いや、そうじゃなくて、しょうちゃん持ってないでしょ?」
「何を?」
「体操服。サイズ合うの」
「……」
そういやそうだ。俺、体操服は持ってない。
「ないです」
「わたしが来てよかったでしょ?」
「ありがとうございます!」
俺はおとなしくえりちゃんに服を着させてもらった。
これまでは正直、すごいすごいと言われていても、自分の力がなくても同じようになったという思いもあり、あまり実感がなかったのかもしれない。
だが、実際にお金という目に見える形で俺の手元に入ってくると、急に実感が湧いてきたというか。
「どうしよう」
「どうしたの?」
「ひゃっ。え、えりちゃん」
「なに? かわいい声出して、そんなところでぼーっとして。入らないの?」
「え、いや、かわいい声なんて」
「開けるよ?」
「待っ」
尻込みしていたのはどう対応するかということなのだが、気にする様子もなくえりちゃんは教室のドアを開けてしまった。
「来た!」
「相変わらずすごかったな!」
「ホントだよ! ねぇ、ちょっと探索者のスキルとか見せてくれない?」
「私も見たい!」
「それより本当に女の子になったの?」
今回は初めからえりちゃんも一緒に囲まれてしまい、どうにも脱出困難な状況。
やりようがわかるダンジョン内よりも、ここの方がぼっちにとってはよっぽど難易度が高い気がする。
助けてえりちゃん。
「いやぁ。みんなだって普段頑張ってるじゃん。おんなじことだよ」
「でも探索者って頑張るだけじゃなれないだろ?」
「そうそう。才能も重要だって」
「そう言うかもしれないけど、才能だけじゃやっぱりダメだよ。それに、才能があっても才能を発揮しないと、才能があることにも気づけないでしょ?」
「たしかに」
「うぉぉおおお! 伊井野さんが言うなら俺も頑張ろう!」
「みんなもがんばろー!」
えりちゃんはとても冷静に会話している。
モンスターの相手だけでなく、当たり前だが対応も慣れてる。
やっぱり、俺はまだまだだな。
「高梨ちゃんはどうなの?」
「ど、どうって? それに、高梨ちゃん?」
「もー。今の見た目で高梨くんの方が変だよ」
「そうそう。そうだ。放課後一緒に買い物行かない? 着てもらいたい服があるんだ。きっと似合うよ」
「ダメ! そういうのはわたしと行くんだから。はーい! あんまりうるさいと他のクラスに迷惑だよー」
「いや、別に買い物くらい」
「はいはーい! 終わり終わりー!」
なんだか無理矢理な終わらせ方だったが、いいのだろうか。
「ほら、席に戻るー。しょうちゃんも」
「う、うん」
背中を押され歩きつつ、周りを見る。
だが、誰も不満を漏らさずに、えりちゃんの言う通りに散り散りになっていた。
「……あれってどういうことなんだ?」
「……やっぱりそういう……?」
「……でも、どうなんだ?」
「ああ、いい!」
なんだか変な視線を感じる。
いや、モンスターもいないのに気のせいだろう。
次は体育。
探索者になって初めての体育だ。
女子の体になったことで女子と一緒の更衣室、着替えの最中が見えてしまうドキドキ! みたいなものはない。
探索者のスキルの中には、色々なものを作れるスキルもあるのだ。
ここは俺用の更衣室である。
「残念だったな! はっはっは!」
いや、なにしてるんだろう、俺。
いやいや、一人で着替えられる方がよくね? うん、うんうん。そうだ。ラクだし。そうそう。
そういえば、なんでも屋さんも生産系のスキルらしい。ただ、詳細まではわからない。やっぱり謎の女性だ。
「うわぁ、ひろーい……本当になにしてるんだろう……」
無駄に広いせいで、一人では完全に持て余してしまっている。
まあ、わざわざ体育のためなんかにどうしてこんなことをしてくれるのかということなのだが、体育の授業が特別だからだ。
別に他の科目よりも好きな生徒が多いからとか、運動部が熱心とかそういうことではない。もっと重要なことがある。
そう、俺は探索者なのだ。
探索者のスキルで他の生徒に危害を加えてしまいかねない。当初はそういった事故もあったそうな。
「と、そういう特別待遇でぼっち。もしかしたら他の生徒が同じようなスキルに覚醒してもってことなのだろうが……そういえば俺一人ではないのか。なるほど」
タイコウも同じような状態だった。
ということで、探索者と一般人は別! 俺のクラスは、いや、俺の学年は俺とえりちゃんの二人だけが別授業となる。
授業は専任の先生が担当している。これまではえりちゃん一人だったところに俺が入るというわけだ。
「そろそろ大人しく着替えよう」
二人だから余計に遅れれば目につくというもの。それに、スカートの制服よりは多少マシなはず。
俺が着替えを始めようと制服に手をかけたところで、ガラガラガラッと勢いよく扉が開かれた。
「しょうちゃん! 一緒に着替えよ!」
「なんで入ってきてんの!?」
ここは俺用なんだが!?
女子は女子で女子として更衣室がある。
「えりちゃんはここじゃなくてもいいでしょうよ」
「えー。せっかく探索者がわたしだけじゃなくなったんだからいいじゃん」
「俺が困る。そもそもここは俺用って」
「先生が、高梨がいいならいいって」
「じゃあ、一人にして」
「遅刻するよ?」
「わざわざ来たらそうでしょうよ!」
本当に俺の知る伊井野さんと同じ人だろうか。自由人だな。
これが許されるのも、実績があるからか。
なにもしないではみ出さないよりは、クセがあっても大きなことをしている方がなんだかんだ人望もあるものなのか?
「いや、そうじゃなくて、しょうちゃん持ってないでしょ?」
「何を?」
「体操服。サイズ合うの」
「……」
そういやそうだ。俺、体操服は持ってない。
「ないです」
「わたしが来てよかったでしょ?」
「ありがとうございます!」
俺はおとなしくえりちゃんに服を着させてもらった。
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