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第34話 千島さんと!
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俺はスキル【TS】を、自分の性別や人の性別を変えるスキルなのではと思っていたのだが、モンスターを少女のような姿に変えてしまった。
正直、よくわからない力だ。
もしかしたら、モンスターを弱体化させていたことで、俺は今まで生き残ってこられたのかもしれない。
関先輩は褒めてくれたし、強スキルのような気もするが、イマイチ発動条件がわからない。
「ああ、空、青いな」
混乱している時は一人で空を見上げる。
人に人として認識されるけど、しょうちゃんとして認識されないようにスキルは発動させる。
雲を見る。
見上げる。
もう、頭がパンクしかけている。
「ああ……」
だんだんと雲が昨日の少女のように見えてきて頭を振る。
人型のモンスターも存在しているらしいし、言語を操り人を混乱させるモンスターとかもいるらしい。そう考えると俺のスキルはモンスターを弱体化させているものではないのかもしれない。
別に、気にしているわけではない。ただ、俺はこのスキルに振り回されっぱなしだと思っただけ。
それに、だからと言って、ここで探索者をやめるつもりはない。俺でもやれるかもしれないと思えてきたし、憧れだったし、やっとなれたし、色々と引っ込みがつかなくなってきているし。
「あれ」
声のした方に顔を向けると、見知った顔が近づいてくる。
俺も誰からも自分が認識されないようにはスキルを使っていない。
さすがに画面越しに見ている人間や、知り合いでもない人にバレたりはしないが、ある程度の顔見知りなら俺だとわかってしまう。
「千島さん」
「こんにちは。今日は一人? こんなところでなにしてるの?」
「ちょっと……」
「……?」
この間はダンジョンだったからだろうが、今は私服で女性的な印象を受ける。
髪もウェーブがかかっていながら崩れていない。優しそうな女性らしい格好をしている。
「千島さんは何か用事が?」
「うーん。あたしもちょっとね」
「そうですか」
まあ、誰だって思い悩むことはあるか。
俺みたいに一人で空を見上げたりしないだろうけど、千島さんだって何もしないで今の地位を築いてきたわけじゃないだろうし。
「あのさ、しょうちゃん。お姉さんとこれからダンジョン行かない?」
「いいですよ。ちょうど行こうと思ってたところなので」
「そりゃもっと、え、本当に!?」
「はい」
「え、え。いいの? あたしとで」
「いいも何も、千島さんの誘いを断る理由がないじゃないですか」
やたら嬉しそうにしているが、むしろ俺が頼ませてもらうような立場だ。
今、一人で行っても危ないだけだし、誰か人がいた方がいい。
しかし、千島さんの笑顔を見ているとちょっと安心する。
この間も、ダンジョンだったからピリついていただけで、本当は人といるのが好きなのかな。
「え!」
「しょうちゃん大好き!」
「い、いやなんですか急に!?」
急に背後から抱きつかれ頭を撫でられる。
最近、俺はペットか何かだと思われているのだろうか。
「いい子だからつい! でも、あんまりホイホイ人についてっちゃダメだぞ?」
「ほ、ホイホイはついてかないですよ。い、行きましょう? あんまりくっついてると目立ちますから」
「そうね。そうしましょう」
手を差し伸べてもらって立ち上がり、スカートの汚れを払ってもらう。
それからダンジョンまでずっと手を離してもらえなかった。
別に、逃げたりしないのですが……。
「はっ!」
さすがの安定感。
イレギュラーだとしても一人で生き残るという、千島さんの実力は伊達じゃないみたいだ。
「さすがですね」
「……」
「?」
戦闘が終わったのに、なぜか厳しい表情を崩さずに俺のことをじっと見つめてくる。
いや、なんだろう。さすがに真剣な表情で見つめられると照れる。
あれ、でも……
「はぁ!」
「ひぃっ!」
「がっぁあっぁ……」
俺の顔の横を千島さんのヤリが通った。
一瞬、刺されるかと思ってヒヤリとした。
どうやら俺の後ろにいたモンスターを倒してくれたみたいだ。
本当に、今日は気が散っている。一人じゃなくてよかった。
「助かりました」
「なんだか、攻撃しないでしょうちゃんの後ろで踊ってたんだけど、大丈夫?」
「死ぬかと思いまし……踊ってた?」
「うん。だからちょっと何してるのか見ちゃって」
だから若干目線がそれてたのか。
モンスターの叫びからして俺の本当に真後ろに立って踊ってたんだろうし、敵意がないから気づけなかったのか。
でも、どうして?
「ま、無事でよかったわ」
「はい。ありがとうございます」
「もう、本当にかわいい!」
「わ、わっ!」
今日はどういうわけか、本当に千島さんの距離が近い。
いや、前回も俺に対してはやたら親切にしてくれた気がするが、どうしてだろう。
当たってるのは鎧だけど、位置的に胸……。
:今回もご褒美ですか
:目が幸せ
:あそこの空気になりたいわ
なんだかまた言われていそうだ。
「しょうちゃんって末っ子? かわいがられて育った?」
「い、いえ。俺は一人っ子です」
「そう? じゃあ俺っていうのは方便?」
「いや、特にそうじゃないんですけど」
「ふぅん? でも、なんだか不思議と違和感がないよね」
「そうですか?」
えりちゃんとの約束で俺のスキルは曖昧なままでしか世間に認知されていない。
少し心苦しいところもあるが、手の内を知ると狙ってくる輩がいるらしい。
結局、今回現れたモンスターたちは、前回よりも大きかったが、苦戦することはなかった。
やはり、千島さんにとって、急に間合いを詰められるというのが一つ課題なのだろう。
最後に一つ聞いておこう。
「あの。千島さんはどうして配信を?」
「あたし? あたしは、力を示すため。あたしの力を知らせておけば、あたしに何ができるか認識してもらえるでしょ?」
「なるほど」
配信する理由も色々だな。
でも、人と協力するためにも能力を明かすという道もあるのか。
「あたしに興味持ってくれたの? 嬉しい。また一緒にダンジョン潜ろうね」
「はい。ありがとうございました」
正直、よくわからない力だ。
もしかしたら、モンスターを弱体化させていたことで、俺は今まで生き残ってこられたのかもしれない。
関先輩は褒めてくれたし、強スキルのような気もするが、イマイチ発動条件がわからない。
「ああ、空、青いな」
混乱している時は一人で空を見上げる。
人に人として認識されるけど、しょうちゃんとして認識されないようにスキルは発動させる。
雲を見る。
見上げる。
もう、頭がパンクしかけている。
「ああ……」
だんだんと雲が昨日の少女のように見えてきて頭を振る。
人型のモンスターも存在しているらしいし、言語を操り人を混乱させるモンスターとかもいるらしい。そう考えると俺のスキルはモンスターを弱体化させているものではないのかもしれない。
別に、気にしているわけではない。ただ、俺はこのスキルに振り回されっぱなしだと思っただけ。
それに、だからと言って、ここで探索者をやめるつもりはない。俺でもやれるかもしれないと思えてきたし、憧れだったし、やっとなれたし、色々と引っ込みがつかなくなってきているし。
「あれ」
声のした方に顔を向けると、見知った顔が近づいてくる。
俺も誰からも自分が認識されないようにはスキルを使っていない。
さすがに画面越しに見ている人間や、知り合いでもない人にバレたりはしないが、ある程度の顔見知りなら俺だとわかってしまう。
「千島さん」
「こんにちは。今日は一人? こんなところでなにしてるの?」
「ちょっと……」
「……?」
この間はダンジョンだったからだろうが、今は私服で女性的な印象を受ける。
髪もウェーブがかかっていながら崩れていない。優しそうな女性らしい格好をしている。
「千島さんは何か用事が?」
「うーん。あたしもちょっとね」
「そうですか」
まあ、誰だって思い悩むことはあるか。
俺みたいに一人で空を見上げたりしないだろうけど、千島さんだって何もしないで今の地位を築いてきたわけじゃないだろうし。
「あのさ、しょうちゃん。お姉さんとこれからダンジョン行かない?」
「いいですよ。ちょうど行こうと思ってたところなので」
「そりゃもっと、え、本当に!?」
「はい」
「え、え。いいの? あたしとで」
「いいも何も、千島さんの誘いを断る理由がないじゃないですか」
やたら嬉しそうにしているが、むしろ俺が頼ませてもらうような立場だ。
今、一人で行っても危ないだけだし、誰か人がいた方がいい。
しかし、千島さんの笑顔を見ているとちょっと安心する。
この間も、ダンジョンだったからピリついていただけで、本当は人といるのが好きなのかな。
「え!」
「しょうちゃん大好き!」
「い、いやなんですか急に!?」
急に背後から抱きつかれ頭を撫でられる。
最近、俺はペットか何かだと思われているのだろうか。
「いい子だからつい! でも、あんまりホイホイ人についてっちゃダメだぞ?」
「ほ、ホイホイはついてかないですよ。い、行きましょう? あんまりくっついてると目立ちますから」
「そうね。そうしましょう」
手を差し伸べてもらって立ち上がり、スカートの汚れを払ってもらう。
それからダンジョンまでずっと手を離してもらえなかった。
別に、逃げたりしないのですが……。
「はっ!」
さすがの安定感。
イレギュラーだとしても一人で生き残るという、千島さんの実力は伊達じゃないみたいだ。
「さすがですね」
「……」
「?」
戦闘が終わったのに、なぜか厳しい表情を崩さずに俺のことをじっと見つめてくる。
いや、なんだろう。さすがに真剣な表情で見つめられると照れる。
あれ、でも……
「はぁ!」
「ひぃっ!」
「がっぁあっぁ……」
俺の顔の横を千島さんのヤリが通った。
一瞬、刺されるかと思ってヒヤリとした。
どうやら俺の後ろにいたモンスターを倒してくれたみたいだ。
本当に、今日は気が散っている。一人じゃなくてよかった。
「助かりました」
「なんだか、攻撃しないでしょうちゃんの後ろで踊ってたんだけど、大丈夫?」
「死ぬかと思いまし……踊ってた?」
「うん。だからちょっと何してるのか見ちゃって」
だから若干目線がそれてたのか。
モンスターの叫びからして俺の本当に真後ろに立って踊ってたんだろうし、敵意がないから気づけなかったのか。
でも、どうして?
「ま、無事でよかったわ」
「はい。ありがとうございます」
「もう、本当にかわいい!」
「わ、わっ!」
今日はどういうわけか、本当に千島さんの距離が近い。
いや、前回も俺に対してはやたら親切にしてくれた気がするが、どうしてだろう。
当たってるのは鎧だけど、位置的に胸……。
:今回もご褒美ですか
:目が幸せ
:あそこの空気になりたいわ
なんだかまた言われていそうだ。
「しょうちゃんって末っ子? かわいがられて育った?」
「い、いえ。俺は一人っ子です」
「そう? じゃあ俺っていうのは方便?」
「いや、特にそうじゃないんですけど」
「ふぅん? でも、なんだか不思議と違和感がないよね」
「そうですか?」
えりちゃんとの約束で俺のスキルは曖昧なままでしか世間に認知されていない。
少し心苦しいところもあるが、手の内を知ると狙ってくる輩がいるらしい。
結局、今回現れたモンスターたちは、前回よりも大きかったが、苦戦することはなかった。
やはり、千島さんにとって、急に間合いを詰められるというのが一つ課題なのだろう。
最後に一つ聞いておこう。
「あの。千島さんはどうして配信を?」
「あたし? あたしは、力を示すため。あたしの力を知らせておけば、あたしに何ができるか認識してもらえるでしょ?」
「なるほど」
配信する理由も色々だな。
でも、人と協力するためにも能力を明かすという道もあるのか。
「あたしに興味持ってくれたの? 嬉しい。また一緒にダンジョン潜ろうね」
「はい。ありがとうございました」
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