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第35話 新しい装備!
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「ん。しょーいちろー」
「はい……?」
覇気のない声に振り返ると、そこには今の俺より背の低い少女のような女性の姿。
タイコウではなく、なんでも屋さんだ。
「こんにちは」
「ん」
気のない返事だが、嫌な気はしない。不思議な雰囲気をまとっている女性。
そういえば、外で見るのは初めてだ。全体のシルエットを見たのも初めてな気がする。
服だけが大人びた印象を受け正直不釣り合いな気もする。だが、なんだか不思議とまとまっているような。
年上というのはわかるのだが、立っていると幼い印象が一層増す。
じっと眠そうな目で俺を見ていたかと思うと、跳ねながらいきなり頬をつついてきた。
「へ、な、なんです?」
「柔らかそうだったから」
「そ、そうですか……。えっと、それじゃあ」
「待って。いつも見てる。装備がボロい。手入れしてる?」
「うっ……」
確かにしてる。してるのだが、どういうわけかどんどんボロボロになっていくのだ。
残念ながら、かつてのものはどうあがいても使えないので仕方がないが、新しいものはサイズ自体は合っている。
合っているはずなのだが、どんどんと形がおかしくなっている。
「し、してますよ。ボロくはない、はずです」
「ん、大丈夫。しょーいちろーを責めてない。装備がしょーいちろーについていけてない」
「そんなことが?」
「そう。私も遅れた。すまない。でも、新しいのできてる」
「遅れた?」
そういえば、初めてえりちゃんと一緒になんでも屋さんに行った時、何か言っていたような……?
「新しい装備ですか?」
「そう言ってる。私の特注。作りたいように作った。来て」
「はい!」
よかった。これで、今までの装備から大義名分を持って卒業できる。
長かった。
いや、そんなに時間としては経っていないのだが、精神的にものすごく長かった気がする。
「いやぁ、ありがとうございます!」
「ん。そこまで喜んでもらえると私も嬉しい」
めずらしく優しい笑みを見せられ、少しドキッとする。
不意にそんな表情はずるい。
「き、着替えてみますね」
「サイズは合ってると思う。けど、一応試してほしい」
「はい」
前回の来店から、なんでも屋さんも俺の要望はわかってくれているはずだし、そもそも冒険者に防御力は大事だしな。
もちろん動けないと困るけど、やっぱりどうしても気になってしまう。
「……」
うん。なんとなくわかってたけどね?
素材からしてどうやら前回の一般用みたいなものよりも優秀らしい。
色味は黒っぽく寒色が多くて派手な印象を受けないのがありがたい。
そして、上等な素材を使っているだけあり、俺の動きをまったく阻害しない。むしろ、以前より動きやすくなっている気がする。
しかし、
「……スカートですか……」
「うん。かわいい」
なんでも屋さんはやけに満足げだ。
俺を見て、とてもいい仕事をしたみたいに安らかな表情をしている。
「服装で言えばなんでも屋さんの方がかわいいと思いますけどね!」
「か、かわいいって言うな……」
あれ、なんだろう。えりちゃんの時のツッコミとは違う? ちょっと照れてる?
不服そうではあるが、目線をそらして……。
いや、これはあれだ。何か言いたげな雰囲気だ。
「他にも何かあるんですか?」
「……ひめの」
「はい?」
「姫野ひまり。私の名前」
急に名乗られ、ぽかんとしてしまう。
そう言えば、なんでも屋さんはなんでも屋さんと呼ばれて、名前を知らなかった。
「かわいい名前じゃないですか」
「だから、かわいいって、言うな……」
見た目も名前もかわいらしい。今は反応すらかわいらしい。
幼い少女と見間違えるような女性。
いつもはかわいいと言われるとブスッとしているが、それはおそらく気にしているからなのだろう。
実際かわいいと思ってしまうのだが、コンプレックスは人それぞれだ。
人からすると、俺がスカートを気にするのも、似たように見られているのかもしれない。
「本人が嫌がってるのに、あんまりかわいいって言うのは失礼でしたね」
「いい。しょーいちろーなら」
「え?」
「別に、言っていい。それだけ。それだけ……」
「? はい。それじゃあ、思ったらこれからも言ってきますね」
「ん」
「姫野さん、ありがとうございました」
「また来て」
一人じゃ生きていけない。
こうして協力してくれる人がいるからこそ、俺もダンジョンに向かえる。
「あ、お代は」
「いい。もうもらってるから」
「そうでしたっけ?」
「他の人から」
「誰ですか?」
「守秘義務。でも、近いうちに会うかも」
えりちゃんかな? なら、今度ありがとうって言っておこう。
「そうだ。代わりになんでも屋さんにいつもの感謝の気持ちとして、素材を渡そう思います」
「待ってた」
今度は好奇心いっぱいの瞳で俺を見てくる。
やっぱり、作るのが好きだからこんなことをしているんだ。
よかった。すべての素材をダンジョンの入り口で交換しないでおいて。
「まずはこれなんですけど……」
「……! うちで扱える日が来ようとは! 他は! 他は!」
「待ってください。まだいっぱいありますから」
「何作ろう。色々試せる。金はある。じゃんじゃん出して」
それから、子どものように喜ぶ姫野さんをニヤニヤ見ながら、俺は俺の持つ素材を売っていった。
今後はとりあえず姫野さんに持っていこう。
「はい……?」
覇気のない声に振り返ると、そこには今の俺より背の低い少女のような女性の姿。
タイコウではなく、なんでも屋さんだ。
「こんにちは」
「ん」
気のない返事だが、嫌な気はしない。不思議な雰囲気をまとっている女性。
そういえば、外で見るのは初めてだ。全体のシルエットを見たのも初めてな気がする。
服だけが大人びた印象を受け正直不釣り合いな気もする。だが、なんだか不思議とまとまっているような。
年上というのはわかるのだが、立っていると幼い印象が一層増す。
じっと眠そうな目で俺を見ていたかと思うと、跳ねながらいきなり頬をつついてきた。
「へ、な、なんです?」
「柔らかそうだったから」
「そ、そうですか……。えっと、それじゃあ」
「待って。いつも見てる。装備がボロい。手入れしてる?」
「うっ……」
確かにしてる。してるのだが、どういうわけかどんどんボロボロになっていくのだ。
残念ながら、かつてのものはどうあがいても使えないので仕方がないが、新しいものはサイズ自体は合っている。
合っているはずなのだが、どんどんと形がおかしくなっている。
「し、してますよ。ボロくはない、はずです」
「ん、大丈夫。しょーいちろーを責めてない。装備がしょーいちろーについていけてない」
「そんなことが?」
「そう。私も遅れた。すまない。でも、新しいのできてる」
「遅れた?」
そういえば、初めてえりちゃんと一緒になんでも屋さんに行った時、何か言っていたような……?
「新しい装備ですか?」
「そう言ってる。私の特注。作りたいように作った。来て」
「はい!」
よかった。これで、今までの装備から大義名分を持って卒業できる。
長かった。
いや、そんなに時間としては経っていないのだが、精神的にものすごく長かった気がする。
「いやぁ、ありがとうございます!」
「ん。そこまで喜んでもらえると私も嬉しい」
めずらしく優しい笑みを見せられ、少しドキッとする。
不意にそんな表情はずるい。
「き、着替えてみますね」
「サイズは合ってると思う。けど、一応試してほしい」
「はい」
前回の来店から、なんでも屋さんも俺の要望はわかってくれているはずだし、そもそも冒険者に防御力は大事だしな。
もちろん動けないと困るけど、やっぱりどうしても気になってしまう。
「……」
うん。なんとなくわかってたけどね?
素材からしてどうやら前回の一般用みたいなものよりも優秀らしい。
色味は黒っぽく寒色が多くて派手な印象を受けないのがありがたい。
そして、上等な素材を使っているだけあり、俺の動きをまったく阻害しない。むしろ、以前より動きやすくなっている気がする。
しかし、
「……スカートですか……」
「うん。かわいい」
なんでも屋さんはやけに満足げだ。
俺を見て、とてもいい仕事をしたみたいに安らかな表情をしている。
「服装で言えばなんでも屋さんの方がかわいいと思いますけどね!」
「か、かわいいって言うな……」
あれ、なんだろう。えりちゃんの時のツッコミとは違う? ちょっと照れてる?
不服そうではあるが、目線をそらして……。
いや、これはあれだ。何か言いたげな雰囲気だ。
「他にも何かあるんですか?」
「……ひめの」
「はい?」
「姫野ひまり。私の名前」
急に名乗られ、ぽかんとしてしまう。
そう言えば、なんでも屋さんはなんでも屋さんと呼ばれて、名前を知らなかった。
「かわいい名前じゃないですか」
「だから、かわいいって、言うな……」
見た目も名前もかわいらしい。今は反応すらかわいらしい。
幼い少女と見間違えるような女性。
いつもはかわいいと言われるとブスッとしているが、それはおそらく気にしているからなのだろう。
実際かわいいと思ってしまうのだが、コンプレックスは人それぞれだ。
人からすると、俺がスカートを気にするのも、似たように見られているのかもしれない。
「本人が嫌がってるのに、あんまりかわいいって言うのは失礼でしたね」
「いい。しょーいちろーなら」
「え?」
「別に、言っていい。それだけ。それだけ……」
「? はい。それじゃあ、思ったらこれからも言ってきますね」
「ん」
「姫野さん、ありがとうございました」
「また来て」
一人じゃ生きていけない。
こうして協力してくれる人がいるからこそ、俺もダンジョンに向かえる。
「あ、お代は」
「いい。もうもらってるから」
「そうでしたっけ?」
「他の人から」
「誰ですか?」
「守秘義務。でも、近いうちに会うかも」
えりちゃんかな? なら、今度ありがとうって言っておこう。
「そうだ。代わりになんでも屋さんにいつもの感謝の気持ちとして、素材を渡そう思います」
「待ってた」
今度は好奇心いっぱいの瞳で俺を見てくる。
やっぱり、作るのが好きだからこんなことをしているんだ。
よかった。すべての素材をダンジョンの入り口で交換しないでおいて。
「まずはこれなんですけど……」
「……! うちで扱える日が来ようとは! 他は! 他は!」
「待ってください。まだいっぱいありますから」
「何作ろう。色々試せる。金はある。じゃんじゃん出して」
それから、子どものように喜ぶ姫野さんをニヤニヤ見ながら、俺は俺の持つ素材を売っていった。
今後はとりあえず姫野さんに持っていこう。
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