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第44話 未開の深層攻略へ!
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「どう、どっどうしよう! どうしよう、しょうちゃん!」
「ここまで来たら仕方がないさ。深層のボスを倒すか、ワタシたちが死ぬかだ」
「え、え? 他に方法は? 他はないの?」
現場にも混乱が広がっている。
俺としても、くちびるを噛むことくらいしかできない。
もし、スキルの中に何かあっても、俺だけ脱出できたとしたら、三人は置いてけぼり。それでは俺の精神が辛い。
どうしたものか。何かないか。何か何か
「『アイス』!」
「冷たっ!」
「正気かい?」
「な、なになに?」
落ち着かせる方法を考えたが、思いつかなかった。
威力は抑えたため、俺がえりちゃんに氷を入れられた時のように、ちょっと冷たいだけだ。
ひとまず、三人からあわてふためく様子は消えた。
開放されていない深層に落とされるなんて、誰だって混乱する。俺はたまたま周りの混乱が大きくて多少落ち着けていただけで、みんなの反応が普通だ。
だからこそ、何かいい方法を示す必要があると思う。
俺は一呼吸置いてから、上を指さした。
「天井から戻れないかな? 穴が開いてるならそこから戻れるはず。上層のボスが中層へ降りてた時は、ボスが降りても穴は開いたままだった。もちろん、これはボスの時だけど」
「それだよ!」
「試してみる価値はあるね」
「でも、あたしたちに飛行能力はないんじゃない?」
「わたしを侮ってもらっちゃ困るな?」
腕まくりをして、準備を始めるえりちゃんを止めた。
「いや、俺が一人で見てくる」
「でも、わたしならみんなで行けるよ?」
「そうかもしれないけど、ぞろぞろ動いて体力を削る方がまずい気がするから」
「そう?」
「ここは任せて」
俺の言葉にえりちゃん含め、みんながうなずいてくれた。
俺にも共通スキルとして飛行能力がある。
使ったことがないため使い方はわからないが、風を飛ばす時と同じようなイメージで、体を浮かす。
「よしっ」
思った通りに体が浮いた。
俺は続けて、風を飛ばすイメージを連続しながら上まで目指した。
落下の距離からして、天井までの距離が他の層よりも遠い。
深層の地面から見上げても、天井が見えないほどの高さだった。
だが、飛んでしまえば……。
「ない」
穴がない。
:閉じてる……
:一般モンスターによるイレギュラーだから?
:モンスターの形してただけって説も……
いいのん:しょうちゃーん!
即座に反応していればよかったが、えりちゃんのスキルは一度に一つしか使えない。
あの感じだとおそらく全員に適応するには時間がかかるはず。
いや、そもそもどのタイミングで穴が閉じたかわからない以上、これ以上考えても仕方ない。
「って、あれ? えりちゃん?」
いいのん:ダメそうだね
「うん」
コメントで確認してるってことは、もう天井の様子は俺が説明するまでもなく伝わっている。
そして、試してみた限り、天井に近づいても転移は使えず、破壊も無理ぽい印象を受けた。
「ダメだった。ごめん」
「いや、謝ることじゃない。見てたからわかっている。だけども、頼みの綱が一つ切れたようなものだからね……」
「しょうちゃんの攻撃で壊せないとなると、多分誰がやっても同じだね」
「そう、ですかね?」
心なしかみなの顔色は暗い。それはそうだ。助かるかもしれない道が一つ消えたのだから。
もしかしたら、暗すぎてはっきり見えなかっただけで、弱い部分やもろい部分もあるのかもしれないが、判別できるような環境じゃない。
俺がベテランだったら、まだ何か手が打てたかもしれないが……。
そこで、ポンと肩に手を置かれた。
「はい。自分を責めない責めない」
「いや」
「そういう顔してたよ。とにかく、ボスを倒せばいいんでしょ?」
「それも多分だけどね」
マップは見えども、勝算は見えない。
位置が把握できたとしても、難易度はバカ高い。
分の悪いかけ。だが、下層へ行くという選択肢をしたのは俺だ。
「やる。みんながいるならやれる」
「そうそう。サポートはわたしに任せて。明かりはわたしが絶やさないから」
「そもそも全体像が見えているのはしょうちゃんだけだろう?」
「そうね。そうしたら先導も変わらず任せるわ」
「え」
なし、なし、なし。それは考えてなかった。
確かに、俺が適任かもしれないが。
「ほら、消えたら何も見えないでしょ? それに、作戦を変えるには情報が少ない」
えりちゃんが今までつけていた明かりを消すと確かに何も見えない。
むにゅ? え、なんか触られてる?
「あ、えっと。えりちゃ、ん?」
「なに?」
「ちょっと待って? そ、そこ胸だから」
「何が?」
言ってるのに手が止まってない!
「ね。わかっててやってるでしょ? えりちゃん今見えてるでしょ!?」
装備つけてるから下から手を入れたりしないとこんなことにならないんだよ。
「ああ。ごめんごめん」
暗がりでとぼけて。
ま、ひょうきんに見せて周りを気遣ってくれてるんだろう。
少し、肩の荷が降りた気がする。俺が、迫るモンスターを倒すんだ。
再びついた明かりに周りを見ると、遠くから迫るモンスター。
反応は遠いが、向かってきていることがわかる。
「き、来ちゃった。なんかモンスター来ちゃった」
「えりちゃんが変なところ触るからでしょ?」
「しょうちゃんが変な声出すからー」
「俺が悪いの? ごめんなさいね!」
どちらにしろ迎え撃つのだ。
ボスを倒して帰るのだ。
深層のモンスターだろうが、苦戦している場合じゃない。
「ここまで来たら仕方がないさ。深層のボスを倒すか、ワタシたちが死ぬかだ」
「え、え? 他に方法は? 他はないの?」
現場にも混乱が広がっている。
俺としても、くちびるを噛むことくらいしかできない。
もし、スキルの中に何かあっても、俺だけ脱出できたとしたら、三人は置いてけぼり。それでは俺の精神が辛い。
どうしたものか。何かないか。何か何か
「『アイス』!」
「冷たっ!」
「正気かい?」
「な、なになに?」
落ち着かせる方法を考えたが、思いつかなかった。
威力は抑えたため、俺がえりちゃんに氷を入れられた時のように、ちょっと冷たいだけだ。
ひとまず、三人からあわてふためく様子は消えた。
開放されていない深層に落とされるなんて、誰だって混乱する。俺はたまたま周りの混乱が大きくて多少落ち着けていただけで、みんなの反応が普通だ。
だからこそ、何かいい方法を示す必要があると思う。
俺は一呼吸置いてから、上を指さした。
「天井から戻れないかな? 穴が開いてるならそこから戻れるはず。上層のボスが中層へ降りてた時は、ボスが降りても穴は開いたままだった。もちろん、これはボスの時だけど」
「それだよ!」
「試してみる価値はあるね」
「でも、あたしたちに飛行能力はないんじゃない?」
「わたしを侮ってもらっちゃ困るな?」
腕まくりをして、準備を始めるえりちゃんを止めた。
「いや、俺が一人で見てくる」
「でも、わたしならみんなで行けるよ?」
「そうかもしれないけど、ぞろぞろ動いて体力を削る方がまずい気がするから」
「そう?」
「ここは任せて」
俺の言葉にえりちゃん含め、みんながうなずいてくれた。
俺にも共通スキルとして飛行能力がある。
使ったことがないため使い方はわからないが、風を飛ばす時と同じようなイメージで、体を浮かす。
「よしっ」
思った通りに体が浮いた。
俺は続けて、風を飛ばすイメージを連続しながら上まで目指した。
落下の距離からして、天井までの距離が他の層よりも遠い。
深層の地面から見上げても、天井が見えないほどの高さだった。
だが、飛んでしまえば……。
「ない」
穴がない。
:閉じてる……
:一般モンスターによるイレギュラーだから?
:モンスターの形してただけって説も……
いいのん:しょうちゃーん!
即座に反応していればよかったが、えりちゃんのスキルは一度に一つしか使えない。
あの感じだとおそらく全員に適応するには時間がかかるはず。
いや、そもそもどのタイミングで穴が閉じたかわからない以上、これ以上考えても仕方ない。
「って、あれ? えりちゃん?」
いいのん:ダメそうだね
「うん」
コメントで確認してるってことは、もう天井の様子は俺が説明するまでもなく伝わっている。
そして、試してみた限り、天井に近づいても転移は使えず、破壊も無理ぽい印象を受けた。
「ダメだった。ごめん」
「いや、謝ることじゃない。見てたからわかっている。だけども、頼みの綱が一つ切れたようなものだからね……」
「しょうちゃんの攻撃で壊せないとなると、多分誰がやっても同じだね」
「そう、ですかね?」
心なしかみなの顔色は暗い。それはそうだ。助かるかもしれない道が一つ消えたのだから。
もしかしたら、暗すぎてはっきり見えなかっただけで、弱い部分やもろい部分もあるのかもしれないが、判別できるような環境じゃない。
俺がベテランだったら、まだ何か手が打てたかもしれないが……。
そこで、ポンと肩に手を置かれた。
「はい。自分を責めない責めない」
「いや」
「そういう顔してたよ。とにかく、ボスを倒せばいいんでしょ?」
「それも多分だけどね」
マップは見えども、勝算は見えない。
位置が把握できたとしても、難易度はバカ高い。
分の悪いかけ。だが、下層へ行くという選択肢をしたのは俺だ。
「やる。みんながいるならやれる」
「そうそう。サポートはわたしに任せて。明かりはわたしが絶やさないから」
「そもそも全体像が見えているのはしょうちゃんだけだろう?」
「そうね。そうしたら先導も変わらず任せるわ」
「え」
なし、なし、なし。それは考えてなかった。
確かに、俺が適任かもしれないが。
「ほら、消えたら何も見えないでしょ? それに、作戦を変えるには情報が少ない」
えりちゃんが今までつけていた明かりを消すと確かに何も見えない。
むにゅ? え、なんか触られてる?
「あ、えっと。えりちゃ、ん?」
「なに?」
「ちょっと待って? そ、そこ胸だから」
「何が?」
言ってるのに手が止まってない!
「ね。わかっててやってるでしょ? えりちゃん今見えてるでしょ!?」
装備つけてるから下から手を入れたりしないとこんなことにならないんだよ。
「ああ。ごめんごめん」
暗がりでとぼけて。
ま、ひょうきんに見せて周りを気遣ってくれてるんだろう。
少し、肩の荷が降りた気がする。俺が、迫るモンスターを倒すんだ。
再びついた明かりに周りを見ると、遠くから迫るモンスター。
反応は遠いが、向かってきていることがわかる。
「き、来ちゃった。なんかモンスター来ちゃった」
「えりちゃんが変なところ触るからでしょ?」
「しょうちゃんが変な声出すからー」
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ボスを倒して帰るのだ。
深層のモンスターだろうが、苦戦している場合じゃない。
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