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第48話 ボスもどき
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ウシ戦士によって振り下ろされたオノ。
場違いな場所に下ろされたが、場所が見当違いという油断は禁物。
ここに落ちてきたのが、そんなイノシシの策略だった。
今回ばかりは警戒していると、突風のような風があり得ないほどの風圧で俺たちを後方へと吹き飛ばした。
「あっつ!」
炎ギリギリ!
押し出されかけたが、なんとか踏みとどまった。
「これだけの広さならわたしも全力が出せるね」
「待って。あいつは別にラスボスじゃない」
「そうだとも。ここで全力を出すのはよくないだろう」
「それじゃあどうするの?」
「きっと大丈夫よ。しょうちゃんはあたしたちならできるって考えてるんでしょ?」
「もちろんです」
ただ、相手の情報が少なく体力が不明な以上、バテるのを待つだけという選択はできない。
そもそも、いずれバテるというのは俺たちも同じこと。
炎の間近まで来てよくわかるが、背後の炎はどんなモンスターだろうと関係なく消し炭にされている。
こんな様子じゃ俺たちが触れたら即アウトだろう。
あの巨体もどうにか燃えてくれればいいが、できれば苦労しない。ここはモンスターが入ってこないということだけ意識すればいいか。
「あ、戦わなくてもいいんじゃない? 水かけて脱出とかは」
「できないと思う」
できるなら先にモンスターが中に入ってきている。
それに、できたとしても、モンスターの大群にリンチにされて終わりだろう。
「関先輩、ここから魔法をお願いできますか」
「簡単な話さ。今できたスキをついて攻撃すればいい。より熱く……『インフェルノ・ノヴァ』!」
いつか見た炎がウシ戦士へと放たれた。
だが、今回は詠唱がなかったにも関わらず、以前見た時よりも大きな炎の塊としてウシ戦士へと向かっていった。
周りの熱気を吸っているだけでない、根本的な魔力量の違いに感じた。
「はっ。やはり、今ならこれまで以上のことが試せそうだ!」
ダンジョンが揺れるほどの衝撃とともに激突する。
業火に焼かれながら身動きを取れないウシ戦士。
炎が途絶えた瞬間、今度は接近していた千島さんが、鎧の上からウシ戦士を突き刺した。
「今はあたしにできることをやるだけ! 槍術・槍時雨!」
頑丈そうな金ピカ鎧すら貫く槍。
だが、どちらの攻撃に対してもウシ戦士は微動だにしない。
まるで効いているように見えない。
「中層までならもう少し痛がると思うんだけど」
「……相手の鎧は金属っぽい。いや、見かけじゃない……? もしかして特殊な効果が?」
「それだよ!」
「特殊な効果?」
「違う違う。金属の方」
今度はえりちゃんが力を溜めるように両手を前に突き出した。
次第に空気はばちばちと光を放ち、電気を帯び始めた。
千島さんもえりちゃんの準備に気づいたらしく速攻で戻ってくる。
「前に誰もいないんだったら、少しくらい全力でやっても問題ないよね」
「さっきの話聞いてた?」
「少しだよ少し」
謎にウインクをしてくると、えりちゃんは改めてウシ戦士に向き直った。
「金属には電撃だよ!」
言葉とともに放たれる電撃。空気を裂きながら進む雷。
ウシ戦士に当たると激しく明滅したが、やはり、目立った反応を見せない。
「うーん」
若干動きが鈍っているような気はするが、いや、確実にしびれている。
「効いてる! 今なら!」
今度は俺の番だ。
だが、俺の接近に気づいたように、ウシ戦士はブチブチという音を立てながら即座に立ち上がると、
「ブモオオオオオォォオ」
再びほえた。
そして、オノを扇のように振ると俺を風で吹き飛ばす。
動き出すとは思ってなかった。
しかも、先ほどよりも風が強い!
「くっ」
踏ん張りが効かず浮き上がる体。
なんとか浮遊スキルで持ちこたえるも、接近は無理。いや、このままだと……
「よっと。大丈夫? しょうちゃん」
「ありがと」
えりちゃんに受け止められ、炎の前でなんとか着地。
「助かった」
「よかった。しょうちゃんだけ吹き飛ばされたみたいだったよ」
「俺だけ」
心なしか、少しだけウシ戦士が先ほどよりもぐったりしているように見える。
それに、無理でもしていたのか、先ほどは筋繊維がちぎれるようなブチブチという音がしていた。
やはり、この熱さは相手の動きを鈍らせている気がする。あのオノももしや近接武器の類ではない? 見た限り、振るだけでかなり消耗するらしい。
「もう一度スタンさせられれば」
「おっけー」
「待って。回復を待ってから、今!」
合図と同時に放たれた稲妻。
その稲光を追いかけるように、稲光に隠れるように俺も突き進む。
俺がいたというのに、えりちゃんの放った電気は、先ほどよりも威力が増しているように感じる。
ゴロゴロバチバチ、バリバリバリッ! っと、空間を引き裂く勢いでウシ戦士めがけて直進していく。
空間を支配するほどの音量。二人を背にしているから、遠慮せずこれだけの威力が出せるのだろう。
「いけっ」
直撃。
「ブモオオオオ!」
初めて攻撃による悲鳴。
やはりこれまでのは痩せ我慢だ。
俺の仲間は強いのだ。効かないはずがない。
黒く焦げた皮。焼けたようなにおいがしてくる。倒れた様子はないが動かない。
だが、目が死んでいない。
「確実に、トドメだ」
再度しびれたところでふところへと突っ込む。が、赤い目をらんらんと光らせるウシ戦士。
まずい、誘い込まれたか……。
直に接近して初めて見えた甲冑の下の牛顔。
その口が不気味につり上がっているのが目に入った。
ウシ戦士は低い姿勢のままで金ピカのオノをグッと振りかぶった。
場違いな場所に下ろされたが、場所が見当違いという油断は禁物。
ここに落ちてきたのが、そんなイノシシの策略だった。
今回ばかりは警戒していると、突風のような風があり得ないほどの風圧で俺たちを後方へと吹き飛ばした。
「あっつ!」
炎ギリギリ!
押し出されかけたが、なんとか踏みとどまった。
「これだけの広さならわたしも全力が出せるね」
「待って。あいつは別にラスボスじゃない」
「そうだとも。ここで全力を出すのはよくないだろう」
「それじゃあどうするの?」
「きっと大丈夫よ。しょうちゃんはあたしたちならできるって考えてるんでしょ?」
「もちろんです」
ただ、相手の情報が少なく体力が不明な以上、バテるのを待つだけという選択はできない。
そもそも、いずれバテるというのは俺たちも同じこと。
炎の間近まで来てよくわかるが、背後の炎はどんなモンスターだろうと関係なく消し炭にされている。
こんな様子じゃ俺たちが触れたら即アウトだろう。
あの巨体もどうにか燃えてくれればいいが、できれば苦労しない。ここはモンスターが入ってこないということだけ意識すればいいか。
「あ、戦わなくてもいいんじゃない? 水かけて脱出とかは」
「できないと思う」
できるなら先にモンスターが中に入ってきている。
それに、できたとしても、モンスターの大群にリンチにされて終わりだろう。
「関先輩、ここから魔法をお願いできますか」
「簡単な話さ。今できたスキをついて攻撃すればいい。より熱く……『インフェルノ・ノヴァ』!」
いつか見た炎がウシ戦士へと放たれた。
だが、今回は詠唱がなかったにも関わらず、以前見た時よりも大きな炎の塊としてウシ戦士へと向かっていった。
周りの熱気を吸っているだけでない、根本的な魔力量の違いに感じた。
「はっ。やはり、今ならこれまで以上のことが試せそうだ!」
ダンジョンが揺れるほどの衝撃とともに激突する。
業火に焼かれながら身動きを取れないウシ戦士。
炎が途絶えた瞬間、今度は接近していた千島さんが、鎧の上からウシ戦士を突き刺した。
「今はあたしにできることをやるだけ! 槍術・槍時雨!」
頑丈そうな金ピカ鎧すら貫く槍。
だが、どちらの攻撃に対してもウシ戦士は微動だにしない。
まるで効いているように見えない。
「中層までならもう少し痛がると思うんだけど」
「……相手の鎧は金属っぽい。いや、見かけじゃない……? もしかして特殊な効果が?」
「それだよ!」
「特殊な効果?」
「違う違う。金属の方」
今度はえりちゃんが力を溜めるように両手を前に突き出した。
次第に空気はばちばちと光を放ち、電気を帯び始めた。
千島さんもえりちゃんの準備に気づいたらしく速攻で戻ってくる。
「前に誰もいないんだったら、少しくらい全力でやっても問題ないよね」
「さっきの話聞いてた?」
「少しだよ少し」
謎にウインクをしてくると、えりちゃんは改めてウシ戦士に向き直った。
「金属には電撃だよ!」
言葉とともに放たれる電撃。空気を裂きながら進む雷。
ウシ戦士に当たると激しく明滅したが、やはり、目立った反応を見せない。
「うーん」
若干動きが鈍っているような気はするが、いや、確実にしびれている。
「効いてる! 今なら!」
今度は俺の番だ。
だが、俺の接近に気づいたように、ウシ戦士はブチブチという音を立てながら即座に立ち上がると、
「ブモオオオオオォォオ」
再びほえた。
そして、オノを扇のように振ると俺を風で吹き飛ばす。
動き出すとは思ってなかった。
しかも、先ほどよりも風が強い!
「くっ」
踏ん張りが効かず浮き上がる体。
なんとか浮遊スキルで持ちこたえるも、接近は無理。いや、このままだと……
「よっと。大丈夫? しょうちゃん」
「ありがと」
えりちゃんに受け止められ、炎の前でなんとか着地。
「助かった」
「よかった。しょうちゃんだけ吹き飛ばされたみたいだったよ」
「俺だけ」
心なしか、少しだけウシ戦士が先ほどよりもぐったりしているように見える。
それに、無理でもしていたのか、先ほどは筋繊維がちぎれるようなブチブチという音がしていた。
やはり、この熱さは相手の動きを鈍らせている気がする。あのオノももしや近接武器の類ではない? 見た限り、振るだけでかなり消耗するらしい。
「もう一度スタンさせられれば」
「おっけー」
「待って。回復を待ってから、今!」
合図と同時に放たれた稲妻。
その稲光を追いかけるように、稲光に隠れるように俺も突き進む。
俺がいたというのに、えりちゃんの放った電気は、先ほどよりも威力が増しているように感じる。
ゴロゴロバチバチ、バリバリバリッ! っと、空間を引き裂く勢いでウシ戦士めがけて直進していく。
空間を支配するほどの音量。二人を背にしているから、遠慮せずこれだけの威力が出せるのだろう。
「いけっ」
直撃。
「ブモオオオオ!」
初めて攻撃による悲鳴。
やはりこれまでのは痩せ我慢だ。
俺の仲間は強いのだ。効かないはずがない。
黒く焦げた皮。焼けたようなにおいがしてくる。倒れた様子はないが動かない。
だが、目が死んでいない。
「確実に、トドメだ」
再度しびれたところでふところへと突っ込む。が、赤い目をらんらんと光らせるウシ戦士。
まずい、誘い込まれたか……。
直に接近して初めて見えた甲冑の下の牛顔。
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ウシ戦士は低い姿勢のままで金ピカのオノをグッと振りかぶった。
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