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第22話 元凶!? ムードの正体!
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ここは絶対に変な場所だ。
そうでなければ、見知らぬ女子が僕なんかに対して頬擦りをしてくる事などあり得ない。
「いい匂い。かわいいのは見た目だけじゃないんだね」
「や、やめてください。嗅がないで」
「ふふっ。恥ずかしいの? でもだーめ。君の方から来たんだから」
「そうそう。飛んで火に入る夏の虫だよ」
ゾクゾクっと背筋が震える。
なんだろう。いつもよりも心が揺れる。初対面なのに惹かれている気がする。
誘惑に対して弱くなっているような感じだ。
「あの。お誘いはありがたいのですが、この辺で」
「えー、もうちょっと遊ぼうよ。まだまだ始まったばっかりだよ?」
「ケチらなくてもいーじゃん。ここにこんな」
「あそこにいる友だちと来てるので」
「なら一緒に」
「それじゃ!」
僕はスキを見て逃げ出した。
全速力で人が少ない場所へと移る。
危なかった。
もう少しで取り込まれるところだった。
実際、もう虜になっていると言ってもいい。胸が締め付けられるように痛んでいるのがわかる。
「あー、くそっ。勢いよく立ったからか頭がクラクラする。立ちくらみか?」
いや、それだけじゃないな。
なんだか体の内側が熱い。胸? というかお腹というか……、胃か?
ただ、変なものを食べた記憶はない。
「ん……?」
思い至るのは飲み物。
ここで買ったはずのものだが、変なものでも入れられたのかもしれない。
「後から何かを入れられたとは思えないし、やっぱりこの場所自体がおかしいってことか」
「おっねえっさま!」
「千伊香ちゃん」
どこから追いかけてきたのか、千伊香ちゃんが背後から飛びついてきた。
相変わらずスキンシップが激しい。とはいえ、いつもの事といえばいつもの事だ。
だが、それにしたって、もう少し脈絡があったと思う。
って、それどころじゃない。
「今考え事してるから後にしてくれないかな?」
「あたしもう我慢できなーい!」
「ひゃめっ。くすぐった」
「ここが弱いんですか? それともここ?」
「ちょ、本当に、ふ、くふっ……」
体のあちこちを刺激され力が抜けるような感覚が身体中を走り抜ける。
ただ、まるで何かを隠すような雰囲気。やはり、いつもよりも強引な気がする。
もしかして、何かが近いのか?
そう思い、怪しいものを探して周囲を見回すと、ミラーボールのようなピンク色の球体がスーパーの屋上付近に浮いていた。
どうやら、照らされている範囲だけ女性の様子がおかしいようだ。
まあ、効果範囲が限られていなければ、この場にライラさんが来ない訳がない。
「あれのせいか」
「待ってください!」
千伊香ちゃんが僕を羽交い締めのようにして拘束してきた。
遅れてみふだちゃんもやってくる。
「あたしの目の保養場なんです! どうかご容赦を!」
「目の保養?」
「はい。女の子同士が接近している場所なんて他になかなか見られないんです」
「みふだちゃんも?」
「わたしはそうじゃないけど、でも、ここならみんなで仲良くなれるかなって、千伊香ちゃんに乗っかったんだ」
どうやら2人とも、この場所がどんな場所か知っていたらしい。
類推するに、普通の施設に擬態したダンジョンってところだろう。移動したと思っていたが、だだっ広い空間をくるくるしていたって事なのだと思う。
「こうなるように仕組んでたって事?」
「仕組んでたなんて人聞きが悪いです。ねえ、みふだお姉様」
「う、うん。最初は反対したけどね」
「でも最後はいいって言ってくれたじゃないですか!」
首謀者は千伊香ちゃんだった訳だ。
常連か何か知らないが、危うくとんでもない事態に巻き込まれるところだった。
「仲良くはするよ。それに、仲が悪い事もないでしょ?」
「なら」
「だから、こんなものはいらない」
「わーん。イチャイチャ天国がー!」
イチャイチャ天国って……。
ここがダンジョンなら今起きている現象はとにかく危険だろう。
僕はテキトーに小石を拾うとピンクの球体にぶつけた。
少し光が弱まり、周りの人たちの様子が困惑程度に変わる。
「なんかおかしい気がするけど、ま、いっか」
「ウチら元からこんなでしょ?」
「だよね」
仲がいい人たちは変わらずみたいだ。
僕も別にみふだちゃんも千伊香ちゃんも嫌いじゃない。
が、体の違和感は消えた。
やはり、何か体に働きかけていたみたいだ。
なんとかなったみたいでほっとした。
「怒りました?」
「怒らないよ。大丈夫。ちょっとずつ距離を縮めてこう?」
「お姉様ぁ!」
「だから急なんだって」
泣きついてきた千伊香ちゃんの頭を撫でながら僕は肩をすくめた。
「みふだちゃんも、気を遣わせちゃってごめんね」
「ううん。元々は千伊香ちゃんとの一件からだから、わたしの責任だよ」
「そう言ってもらえたら」
優しくほほんでくれたみふだちゃんはやっぱりいつも通りだ。
今日は千伊香ちゃんの暴走に付き合ってくれたのだろう。
ただ、当分外のダンジョンは懲り懲りだな。
「待ってください。それってわたしがお姉様を独り占めしようとした事が原因って事ですか? ねえ、そう言いました? お姉様も視線をそらさないでください!」
そうでなければ、見知らぬ女子が僕なんかに対して頬擦りをしてくる事などあり得ない。
「いい匂い。かわいいのは見た目だけじゃないんだね」
「や、やめてください。嗅がないで」
「ふふっ。恥ずかしいの? でもだーめ。君の方から来たんだから」
「そうそう。飛んで火に入る夏の虫だよ」
ゾクゾクっと背筋が震える。
なんだろう。いつもよりも心が揺れる。初対面なのに惹かれている気がする。
誘惑に対して弱くなっているような感じだ。
「あの。お誘いはありがたいのですが、この辺で」
「えー、もうちょっと遊ぼうよ。まだまだ始まったばっかりだよ?」
「ケチらなくてもいーじゃん。ここにこんな」
「あそこにいる友だちと来てるので」
「なら一緒に」
「それじゃ!」
僕はスキを見て逃げ出した。
全速力で人が少ない場所へと移る。
危なかった。
もう少しで取り込まれるところだった。
実際、もう虜になっていると言ってもいい。胸が締め付けられるように痛んでいるのがわかる。
「あー、くそっ。勢いよく立ったからか頭がクラクラする。立ちくらみか?」
いや、それだけじゃないな。
なんだか体の内側が熱い。胸? というかお腹というか……、胃か?
ただ、変なものを食べた記憶はない。
「ん……?」
思い至るのは飲み物。
ここで買ったはずのものだが、変なものでも入れられたのかもしれない。
「後から何かを入れられたとは思えないし、やっぱりこの場所自体がおかしいってことか」
「おっねえっさま!」
「千伊香ちゃん」
どこから追いかけてきたのか、千伊香ちゃんが背後から飛びついてきた。
相変わらずスキンシップが激しい。とはいえ、いつもの事といえばいつもの事だ。
だが、それにしたって、もう少し脈絡があったと思う。
って、それどころじゃない。
「今考え事してるから後にしてくれないかな?」
「あたしもう我慢できなーい!」
「ひゃめっ。くすぐった」
「ここが弱いんですか? それともここ?」
「ちょ、本当に、ふ、くふっ……」
体のあちこちを刺激され力が抜けるような感覚が身体中を走り抜ける。
ただ、まるで何かを隠すような雰囲気。やはり、いつもよりも強引な気がする。
もしかして、何かが近いのか?
そう思い、怪しいものを探して周囲を見回すと、ミラーボールのようなピンク色の球体がスーパーの屋上付近に浮いていた。
どうやら、照らされている範囲だけ女性の様子がおかしいようだ。
まあ、効果範囲が限られていなければ、この場にライラさんが来ない訳がない。
「あれのせいか」
「待ってください!」
千伊香ちゃんが僕を羽交い締めのようにして拘束してきた。
遅れてみふだちゃんもやってくる。
「あたしの目の保養場なんです! どうかご容赦を!」
「目の保養?」
「はい。女の子同士が接近している場所なんて他になかなか見られないんです」
「みふだちゃんも?」
「わたしはそうじゃないけど、でも、ここならみんなで仲良くなれるかなって、千伊香ちゃんに乗っかったんだ」
どうやら2人とも、この場所がどんな場所か知っていたらしい。
類推するに、普通の施設に擬態したダンジョンってところだろう。移動したと思っていたが、だだっ広い空間をくるくるしていたって事なのだと思う。
「こうなるように仕組んでたって事?」
「仕組んでたなんて人聞きが悪いです。ねえ、みふだお姉様」
「う、うん。最初は反対したけどね」
「でも最後はいいって言ってくれたじゃないですか!」
首謀者は千伊香ちゃんだった訳だ。
常連か何か知らないが、危うくとんでもない事態に巻き込まれるところだった。
「仲良くはするよ。それに、仲が悪い事もないでしょ?」
「なら」
「だから、こんなものはいらない」
「わーん。イチャイチャ天国がー!」
イチャイチャ天国って……。
ここがダンジョンなら今起きている現象はとにかく危険だろう。
僕はテキトーに小石を拾うとピンクの球体にぶつけた。
少し光が弱まり、周りの人たちの様子が困惑程度に変わる。
「なんかおかしい気がするけど、ま、いっか」
「ウチら元からこんなでしょ?」
「だよね」
仲がいい人たちは変わらずみたいだ。
僕も別にみふだちゃんも千伊香ちゃんも嫌いじゃない。
が、体の違和感は消えた。
やはり、何か体に働きかけていたみたいだ。
なんとかなったみたいでほっとした。
「怒りました?」
「怒らないよ。大丈夫。ちょっとずつ距離を縮めてこう?」
「お姉様ぁ!」
「だから急なんだって」
泣きついてきた千伊香ちゃんの頭を撫でながら僕は肩をすくめた。
「みふだちゃんも、気を遣わせちゃってごめんね」
「ううん。元々は千伊香ちゃんとの一件からだから、わたしの責任だよ」
「そう言ってもらえたら」
優しくほほんでくれたみふだちゃんはやっぱりいつも通りだ。
今日は千伊香ちゃんの暴走に付き合ってくれたのだろう。
ただ、当分外のダンジョンは懲り懲りだな。
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