18 / 69
第18話 イイコトは……
しおりを挟む
「キレイな方でしたね」
「セスティーナが言うほどだったんですね……」
僕らはポツンと置いてけぼり。
なのだが、嵐のようにやってきたかと思ったらどこかへ行ってしまった。
しかし、女の子のセスティーナから見てもキレイな女性だったようだ。つまり、本当にキレイなヒトだったのだろう。僕が見てもそのことはわかった。
けど、そんなにキレイな人が姫様じゃなくて僕に話しかけてくるなんて、なんの用だったんだろう。
もしかして、服装は変じゃなくても、僕の顔立ちとか髪色が、姫様と不釣り合いってことだったのかな……。
「……ぼーっとして、そんなに見とれることないでしょうに……」
「姫様、僕って、変ですかね?」
「え、いや、そんなこと」
「正直に言ってください。僕の顔、変ですよね。知っての通り、僕はどこぞの森で拾われた身。この国のキレイな人たちと並べば、僕の見た目が変だと思われることくらいわかります。特にその中でも可憐で美しいセスティーナと並べば、僕なんかは……」
「そ、そんなことないです! り、リストーマ様は、か、かっこいいと、思いますよ?」
「え、今なんて」
「恥ずかしいので二度は言いません!」
ぷいっとそっぽを向いてしまった。
でも、怒っているわけじゃないらしい。それはなんとなくわかる。
僕の役割は見た目じゃない。それなのに、周りにそんなことないと言ってもらわないと自信をなくすなんて、情けないな。
ほほを叩き、僕は姫様に頭を下げた。
「ありがとうございます! そして、すみません。セスティーナを守るのが僕の役目なのに、先ほどは反応できていませんでした」
「かっこいいのは事実ですから。それに、何もされてませんから、大丈夫ですよ」
「本当にありがとうございます!」
そうだ。
周りが僕の見た目をどう思うかなんて関係ない。
姫様がこんなふうに思ってくれるなら、僕は周りの評価など気にしないでいられる。
ふさわしい見た目でなくてはと思ってしまったけれど、僕に求められているのはそこじゃない。もちろん、無理のない範囲で努力はするが、他人になることはやめだ!
「「………………」」
でも、姫様から面と向かってかっこいいって言われたから、素直に照れる。
まさか、かっこいいとまで思われていたなんて!
不意に言われたから、心の準備ができてなかったし……。
ちょっとずつ冷静になってきてやっとなんとか飲み込める。
純粋に本当に嬉しい。けど、やっぱり恥ずかしい。
そうだ。僕ばっかり受け取ってたんじゃ失礼だ。
「せ、セスティーナも。かわいいと思います」
「わ、私は先ほどの言葉で十分ですから! それ以上はリストーマ様から言われては死んでしまいます!」
「え、いや、僕は何も」
「ほ、本当に大丈夫ですっ!」
え、先ほどっていつだ!?
僕、何か言ったっけ?
「あの、本心ですからね? 嘘ではないですよ?」
「わかってますよ。疑っているのではないです。でも、何度も言われると私が何もしない子になってしまいます。それに、あまり女の人を気軽に持ち上げるものではないですよ?」
「はいっ!」
そんなつもりはないのだけど、少し反省。
姫様が優しいから許してもらえたが、次からは気をつけよう。
でもそうなると、どう接したらいいのだろう……。
「ねぇ? そこの坊や。アタシといいことしない?」
「えっと……」
またしても知らない人だ。
今日はよく人に話しかけられる日だな。姫様と一緒なのに……。
目の前に現れたのは、僕より黒い髪に、黒く薄い布だけを身につけたような、スタイルがいい女性。
何やらやけに人に視線を集めているみたいだけども、薄着なだけで特に変わったところはないような……。
「ねえ。どうなの?」
「結構です」
「そうよね。じゃあ……。……え?」
「結構です」
「……!」
隣の姫様が驚いたように僕を見てきた。
「……知らない人ですから、セスティーナを置いて行けませんよ。それに、いいことはセスティーナからしてもらってますし」
「し、しし、してないですよ!」
僕としてはとてもいい状態、体が思ったように動かせるうえ、訓練では、現役の王国騎士団の方を相手に訓練させてもらっている。
それだけじゃない、そんな状態を維持できるように、食事も生活も環境も僕にはもったいないくらいのものを支給してくださっている。
それなのに、もっといいこと、もっといいものなんて、欲張りにも程がある。
それに、あまり女性を持ち上げては行けないと、先ほど姫様に教えてもらったばかりだ。
「いや、でも、ほら。アタシと遊びたいでしょ? 日頃溜まったものを晴らしたいんじゃない?」
「間に合ってます。行きましょう」
「は、はい……でも、本当にしてませんからね?」
「わかってますよ」
もらっていると僕がわかっているだけでいい。
こうして誇示しないところが姫様のステキなところだ。
「え、ちょ、本当に間に合ってるの!?」
「はい。本当に間に合ってます。なので、失礼します」
僕は姫様の手を引いて女性から離れた。
さっきの白い女性とは、正反対の雰囲気で、なんだかこれ以上近くいるのは危険な気がした。
「……何よあのガキ!」
ちらっと振り返ると、黒い女性の背中の辺りに黒い何かが見えた気がした。けど、服の一部かな?
「セスティーナが言うほどだったんですね……」
僕らはポツンと置いてけぼり。
なのだが、嵐のようにやってきたかと思ったらどこかへ行ってしまった。
しかし、女の子のセスティーナから見てもキレイな女性だったようだ。つまり、本当にキレイなヒトだったのだろう。僕が見てもそのことはわかった。
けど、そんなにキレイな人が姫様じゃなくて僕に話しかけてくるなんて、なんの用だったんだろう。
もしかして、服装は変じゃなくても、僕の顔立ちとか髪色が、姫様と不釣り合いってことだったのかな……。
「……ぼーっとして、そんなに見とれることないでしょうに……」
「姫様、僕って、変ですかね?」
「え、いや、そんなこと」
「正直に言ってください。僕の顔、変ですよね。知っての通り、僕はどこぞの森で拾われた身。この国のキレイな人たちと並べば、僕の見た目が変だと思われることくらいわかります。特にその中でも可憐で美しいセスティーナと並べば、僕なんかは……」
「そ、そんなことないです! り、リストーマ様は、か、かっこいいと、思いますよ?」
「え、今なんて」
「恥ずかしいので二度は言いません!」
ぷいっとそっぽを向いてしまった。
でも、怒っているわけじゃないらしい。それはなんとなくわかる。
僕の役割は見た目じゃない。それなのに、周りにそんなことないと言ってもらわないと自信をなくすなんて、情けないな。
ほほを叩き、僕は姫様に頭を下げた。
「ありがとうございます! そして、すみません。セスティーナを守るのが僕の役目なのに、先ほどは反応できていませんでした」
「かっこいいのは事実ですから。それに、何もされてませんから、大丈夫ですよ」
「本当にありがとうございます!」
そうだ。
周りが僕の見た目をどう思うかなんて関係ない。
姫様がこんなふうに思ってくれるなら、僕は周りの評価など気にしないでいられる。
ふさわしい見た目でなくてはと思ってしまったけれど、僕に求められているのはそこじゃない。もちろん、無理のない範囲で努力はするが、他人になることはやめだ!
「「………………」」
でも、姫様から面と向かってかっこいいって言われたから、素直に照れる。
まさか、かっこいいとまで思われていたなんて!
不意に言われたから、心の準備ができてなかったし……。
ちょっとずつ冷静になってきてやっとなんとか飲み込める。
純粋に本当に嬉しい。けど、やっぱり恥ずかしい。
そうだ。僕ばっかり受け取ってたんじゃ失礼だ。
「せ、セスティーナも。かわいいと思います」
「わ、私は先ほどの言葉で十分ですから! それ以上はリストーマ様から言われては死んでしまいます!」
「え、いや、僕は何も」
「ほ、本当に大丈夫ですっ!」
え、先ほどっていつだ!?
僕、何か言ったっけ?
「あの、本心ですからね? 嘘ではないですよ?」
「わかってますよ。疑っているのではないです。でも、何度も言われると私が何もしない子になってしまいます。それに、あまり女の人を気軽に持ち上げるものではないですよ?」
「はいっ!」
そんなつもりはないのだけど、少し反省。
姫様が優しいから許してもらえたが、次からは気をつけよう。
でもそうなると、どう接したらいいのだろう……。
「ねぇ? そこの坊や。アタシといいことしない?」
「えっと……」
またしても知らない人だ。
今日はよく人に話しかけられる日だな。姫様と一緒なのに……。
目の前に現れたのは、僕より黒い髪に、黒く薄い布だけを身につけたような、スタイルがいい女性。
何やらやけに人に視線を集めているみたいだけども、薄着なだけで特に変わったところはないような……。
「ねえ。どうなの?」
「結構です」
「そうよね。じゃあ……。……え?」
「結構です」
「……!」
隣の姫様が驚いたように僕を見てきた。
「……知らない人ですから、セスティーナを置いて行けませんよ。それに、いいことはセスティーナからしてもらってますし」
「し、しし、してないですよ!」
僕としてはとてもいい状態、体が思ったように動かせるうえ、訓練では、現役の王国騎士団の方を相手に訓練させてもらっている。
それだけじゃない、そんな状態を維持できるように、食事も生活も環境も僕にはもったいないくらいのものを支給してくださっている。
それなのに、もっといいこと、もっといいものなんて、欲張りにも程がある。
それに、あまり女性を持ち上げては行けないと、先ほど姫様に教えてもらったばかりだ。
「いや、でも、ほら。アタシと遊びたいでしょ? 日頃溜まったものを晴らしたいんじゃない?」
「間に合ってます。行きましょう」
「は、はい……でも、本当にしてませんからね?」
「わかってますよ」
もらっていると僕がわかっているだけでいい。
こうして誇示しないところが姫様のステキなところだ。
「え、ちょ、本当に間に合ってるの!?」
「はい。本当に間に合ってます。なので、失礼します」
僕は姫様の手を引いて女性から離れた。
さっきの白い女性とは、正反対の雰囲気で、なんだかこれ以上近くいるのは危険な気がした。
「……何よあのガキ!」
ちらっと振り返ると、黒い女性の背中の辺りに黒い何かが見えた気がした。けど、服の一部かな?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として
たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。
だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。
一度目では騙されて振られた。
さらに自分の力不足で全てを失った。
だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。
※他サイト様にも公開しております。
※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。
名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。
絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。
運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。
熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。
そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。
これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。
「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」
知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる