勇者にこの世から追放された俺は妹の姿で生き返る〜妹を蘇生するため、全力で魔王討伐を目指します〜

マグローK

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第28話 ボロボロでも調子に乗ってる勇者

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「ぐあ。ああ! あああ。はあ、はあ」

 苦しい。体が痛む。これまで以上だ。戦闘での怪我よりひどい。

 そして何より悔しい。アルカに、アルカにまた先を越された。

 俺はまだ四天王を一体も倒してないというのに。

「ぐ。はあ、はあ!」

 なんとか痛みを抑え込み、俺は拳を握り締めた。

 どういうわけかわからないが、力が戻っているにも関わらず傷はどんどんと痛みだす。

 回復したと思ったが、無理に動いたせいか途端に傷口が開いたようだ。

 まるで、中から何かが飛び出してくるような感覚がある。

「痛い。体が痛む」

「だから大人しくしとけばいいだろ」

「そういうわけにいかないだろ」

 最後の四天王も現れて、いよいよ魔王までの道のりも大詰めってところか。

 だが、さすがにこれ以上の愚行をアルカに許すわけにはいかない。

 俺は思うままを口にした。

「ここまでの流れは絶対におかしい! 陰謀だ! 策略だ! 誰だお前! アルカじゃないだろ!」

 俺の言葉にアルカはピクリと肩を動かした。

 当てずっぽうだったが本当だったようだ。妙な違和感の正体はこれだった。

 やはり、アルカは別人だった。見た目が同じってことは中身が違うのだろう。

 だが、中身が誰であろうと知ったことではない。ラウルだろうが他の誰かだろうが、俺に従わないのなら悪だ。

「反論がないってことは図星か?」

「……」

 すぐにそんなわけないと言えば済むことだが、アルカは何も言わない。

 思わず片方がつり上がってしまう。いかんいかん。こんな笑い方は俺に似合わない。

「喋り方もおかしかったしなぁ。それに、女、ばかり、連れて……」

 俺はそこでようやく、アルカについている女の顔をよく見た。

 俺のことを警戒しているのか、失礼にも目が合うと武器を構えられてしまう。が、どこかで見た顔のような気がする。

 おかしい。俺がアルカの集められるような冒険者の顔を覚えているはずがない。

 俺はもっとレベルの高いところで活躍してきたんだ。

 アルカ一人の活動で集められるやつなんて、どうせ程度の低いやつだ。

「おいおい。僕のことは置いてけぼりかい?」

「ちょっと待て四天王。今いいところなんだ」

 どういうわけか四天王から目を離さないアルカ。

 モンスターに発情してるのか? にしては目が怖いか。

 じゃない。今はあいつら。

「そうか! 思い出した」

 そうだそうだ。片方は信者の話を聞きながら、時折、人を生き返らせることができると嘘をついてた女。

 神官のくせに世間に嘘を撒き散らしていた。

 名前はラーブ・ロンベリアとか言ったか。

「で。ああ、ああ。なるほどね」

「な、何よ」

「強がらなくていい。そんなやつに連れられた災難だったな。神官、それに村娘」

「っ!」

 やっぱりそうだ。

 もう一人は神への信仰が強すぎて騙されやすそうだったやつ。嘘つく前に放り込んでおいた女。タマミ・ユーレシア。

 人に迷惑をかける前にダンジョンへ入れた二人だと言うのに、まさか生きていたとはな。

「どうして私の素性を?」

「どうしてだろうな。だが、俺に感謝すべきだ」

 さすが俺の記憶力。どおりで冒険者に似つかわしくない見た目をしてるわけだ。

 そして、やはりアルカは悪だった。

 勇者である俺の、素晴らしい世界平和のための作戦を邪魔するとは。決して許されない行い。

「誰があんたなんかに感謝するかっての」

 まあ、自分のことを真に理解している人間なんて俺くらいだ。

 わからなくとも仕方がないか。

 だが、ここまでのアルカの行動にも合点がいった。

「アルカ。お前、兄を生き返らせるために必死か!」

「そうか、ベルトレットから見ればそう思うか」

「違うのか?」

 なんだか含みのある言い方だが、そんなことは関係ない。

「俺の計画を邪魔してくれやがって。蘇生ができるなんて言ってる奴らをダンジョンから出したな」

 やっとアルカは俺の方をキッと睨みつけたきた。

 思わず、俺も新しく出てきた四天王も思わずのけぞってしまう。それほどまでの迫力があった。

 いやいや、迫力? あの女に? 冗談だろ。

 俺はただ伸びをしただけだ。

「お前が二人を危ない目に合わせたのか……!」

「おっと、勘違いするな。俺は世界に対する危険因子を人知れず排除していただけだ。その中にそこの二人が混じっていたにすぎない。悪いのはアルカ。お前の方だ。危険因子をこの世界に再び放ったこと。それがお前の罪だ。巨龍の暴走やら魔王軍の侵攻なんかもお前のせいなんじゃないのか」

「ふざけるなクソ野郎が。ベルトレット。お前どこまでクズなんだよ。俺を殺すところで止まっておけよ」

 どうやらアルカの中身はラウルらしい。だが、ラウルは間違っている。

「俺は何も悪いことはしていないぞ。世界は俺を中心に回ってるんだ。俺の行いは全て正しい。ルールはそこから始まってるんだよ」

 ここまで行ってもわからないのか、ラウルは俺に剣先を向けてきた。

 これは、この世界最大の罪を犯すつもりか?

「ベルトレット。四天王の前にお前からやってやるよ」

「はっ! これだから自分の目的のためにしか動いてない人間は嫌なんだよ」

 俺なんか世界平和のため、日々魔王軍の情報を集めていたというのに。

 そこら中を暴れ散らかして名の売れていた冒険者二人組だから、迷惑をかけないよう俺のパーティに入れてやったっていうのに。

 その恩も返すことなく俺に戦いを挑むのか。

「クソ野郎はお前の方だラウル」

「貴様が言うなぁ!!」
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