13 / 18
13
しおりを挟む
「あなたが私を見てくれるのをずっと待っていました。でも待つのは疲れてしまったの。私だけを一番に考えてほしいのです。案外私はわがままで子供っぽいのだと今回やっと自覚したのですけれども…」
「私が…私が今度は君にちゃんと見てもらえるように頑張るよ。君をこれからは一番に考える。いや、最初から君のことばかり考えていたのにきちんと伝える勇気がなかった私が悪かった。今、子供っぽい君が見れて嬉しい。君のことがもっと好きになったよ。…愛しているんだ。」
「アレクサンダー様なら私を絶対に幸せにしてくれるんですって。絶対に。何があっても何を置いても必ず私のところに一番に駆け付けるし、私を一番に大事にするって言ってくれましたの。
私が悪人になろうが大失敗しようが、絶対にあの人だけは私の味方になってくれるって言ってくれましたの。
目の前で誰かが困っていても私が一番大事だって…そんなこと言われたら...もう私…あの人について行こうと思ったのに、それでも旦那様が……っ…」
「……それは…非常にまずいな……私は君を本当に攫われてしまうところだった…。ああ、これ以上ぼうっとして負けてはいられない。」
未だ肩を震わせて泣く私を旦那様が抱きしめます。
「今まですまなかった」旦那様は震えて涙を流す私をそれからずっと抱きしめておりました。
「あーーー、きつい…」
「あっ!…ごめんなさい。…いえ、ありがとう、アレクサンダー様…」
「妻をここまで送り届けてくれて心から感謝する。」
両掌を顔に当て空を見上げておられるアレクサンダー様に気が付いて、慌てて旦那様から離れます。
「グレース夫人、今度こそ幸せになるんだぞ…」
「アレクサンダー様…ありがとうございました…」
その後、旦那様と二人でアレクサンダー様が見えなくなるまでお見送りをしたのでした。
「行ってしまったな…」
「ええ、素敵な方でしたね。」
「悔しいが、否定はできないな。あーー…口下手だから…そんなくだらない理由で君に捨てられたくないからこれからは思ったことをどんどん口に出すようにしようと思う。君もなんでも私に喋ってくれないか?もっと君のことが知りたいんだ。
でないと、こんなふうに君を真剣に私から攫って行こうとする男たちがいつ現れるか知れたものじゃない…。これまで君を不安にさせてしまって本当に申し訳なかった。後、君にお願いがあるんだ。」
「お願いですか?」
「ずっと君と…一緒に夜を過ごしたい…君がいないと不安で眠れないんだ…後…これからたまに私のことを名前で…イライジャと呼んでくれないか?」
「イライジャ様…ですか?」
「ああ。ありがとうグレース...先ほどアレクサンダー殿のことを名前で呼んでいるのを聞いて嫉妬してしまった…でも…実は、旦那様も捨てがたいから…半分半分で頼むよ。」
「まあ…案外我儘なのですね…」
「そうかな...?恥ずかしいな…」
こんなに落ち着いて旦那様と会話をしながら夫婦の寝室に共に足を踏み入れる日が来るだなんて、思ってもおりませんでした。
閨を旦那様と共にしたその日、ようやく旦那様と本当の夫婦になれたのだと感じることが出来たのでした。
「私が…私が今度は君にちゃんと見てもらえるように頑張るよ。君をこれからは一番に考える。いや、最初から君のことばかり考えていたのにきちんと伝える勇気がなかった私が悪かった。今、子供っぽい君が見れて嬉しい。君のことがもっと好きになったよ。…愛しているんだ。」
「アレクサンダー様なら私を絶対に幸せにしてくれるんですって。絶対に。何があっても何を置いても必ず私のところに一番に駆け付けるし、私を一番に大事にするって言ってくれましたの。
私が悪人になろうが大失敗しようが、絶対にあの人だけは私の味方になってくれるって言ってくれましたの。
目の前で誰かが困っていても私が一番大事だって…そんなこと言われたら...もう私…あの人について行こうと思ったのに、それでも旦那様が……っ…」
「……それは…非常にまずいな……私は君を本当に攫われてしまうところだった…。ああ、これ以上ぼうっとして負けてはいられない。」
未だ肩を震わせて泣く私を旦那様が抱きしめます。
「今まですまなかった」旦那様は震えて涙を流す私をそれからずっと抱きしめておりました。
「あーーー、きつい…」
「あっ!…ごめんなさい。…いえ、ありがとう、アレクサンダー様…」
「妻をここまで送り届けてくれて心から感謝する。」
両掌を顔に当て空を見上げておられるアレクサンダー様に気が付いて、慌てて旦那様から離れます。
「グレース夫人、今度こそ幸せになるんだぞ…」
「アレクサンダー様…ありがとうございました…」
その後、旦那様と二人でアレクサンダー様が見えなくなるまでお見送りをしたのでした。
「行ってしまったな…」
「ええ、素敵な方でしたね。」
「悔しいが、否定はできないな。あーー…口下手だから…そんなくだらない理由で君に捨てられたくないからこれからは思ったことをどんどん口に出すようにしようと思う。君もなんでも私に喋ってくれないか?もっと君のことが知りたいんだ。
でないと、こんなふうに君を真剣に私から攫って行こうとする男たちがいつ現れるか知れたものじゃない…。これまで君を不安にさせてしまって本当に申し訳なかった。後、君にお願いがあるんだ。」
「お願いですか?」
「ずっと君と…一緒に夜を過ごしたい…君がいないと不安で眠れないんだ…後…これからたまに私のことを名前で…イライジャと呼んでくれないか?」
「イライジャ様…ですか?」
「ああ。ありがとうグレース...先ほどアレクサンダー殿のことを名前で呼んでいるのを聞いて嫉妬してしまった…でも…実は、旦那様も捨てがたいから…半分半分で頼むよ。」
「まあ…案外我儘なのですね…」
「そうかな...?恥ずかしいな…」
こんなに落ち着いて旦那様と会話をしながら夫婦の寝室に共に足を踏み入れる日が来るだなんて、思ってもおりませんでした。
閨を旦那様と共にしたその日、ようやく旦那様と本当の夫婦になれたのだと感じることが出来たのでした。
1,270
あなたにおすすめの小説
結婚記念日をスルーされたので、離婚しても良いですか?
秋月一花
恋愛
本日、結婚記念日を迎えた。三周年のお祝いに、料理長が腕を振るってくれた。私は夫であるマハロを待っていた。……いつまで経っても帰ってこない、彼を。
……結婚記念日を過ぎてから帰って来た彼は、私との結婚記念日を覚えていないようだった。身体が弱いという幼馴染の見舞いに行って、そのまま食事をして戻って来たみたいだ。
彼と結婚してからずっとそう。私がデートをしてみたい、と言えば了承してくれるものの、当日幼馴染の女性が体調を崩して「後で埋め合わせするから」と彼女の元へ向かってしまう。埋め合わせなんて、この三年一度もされたことがありませんが?
もう我慢の限界というものです。
「離婚してください」
「一体何を言っているんだ、君は……そんなこと、出来るはずないだろう?」
白い結婚のため、可能ですよ? 知らないのですか?
あなたと離婚して、私は第二の人生を歩みます。
※カクヨム様にも投稿しています。
貴方なんて大嫌い
ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と
いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている
それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い
もう、振り回されるのは終わりです!
こもろう
恋愛
新しい恋人のフランシスを連れた婚約者のエルドレッド王子から、婚約破棄を大々的に告げられる侯爵令嬢のアリシア。
「もう、振り回されるのはうんざりです!」
そう叫んでしまったアリシアの真実とその後の話。
我慢しないことにした結果
宝月 蓮
恋愛
メアリー、ワイアット、クレアは幼馴染。いつも三人で過ごすことが多い。しかしクレアがわがままを言うせいで、いつもメアリーは我慢を強いられていた。更に、メアリーはワイアットに好意を寄せていたが色々なことが重なりワイアットはわがままなクレアと婚約することになってしまう。失意の中、欲望に忠実なクレアの更なるわがままで追い詰められていくメアリー。そんなメアリーを救ったのは、兄達の友人であるアレクサンダー。アレクサンダーはメアリーに、もう我慢しなくて良い、思いの全てを吐き出してごらんと優しく包み込んでくれた。メアリーはそんなアレクサンダーに惹かれていく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
諦めていた自由を手に入れた令嬢
しゃーりん
恋愛
公爵令嬢シャーロットは婚約者であるニコルソン王太子殿下に好きな令嬢がいることを知っている。
これまで二度、婚約解消を申し入れても国王夫妻に許してもらえなかったが、王子と隣国の皇女の婚約話を知り、三度目に婚約解消が許された。
実家からも逃げたいシャーロットは平民になりたいと願い、学園を卒業と同時に一人暮らしをするはずが、実家に知られて連れ戻されないよう、結婚することになってしまう。
自由を手に入れて、幸せな結婚まで手にするシャーロットのお話です。
いくつもの、最期の願い
しゃーりん
恋愛
エステルは出産後からずっと体調を崩したままベッドで過ごしていた。
夫アイザックとは政略結婚で、仲は良くも悪くもない。
そんなアイザックが屋敷で働き始めた侍女メイディアの名を口にして微笑んだ時、エステルは閃いた。
メイディアをアイザックの後妻にしよう、と。
死期の迫ったエステルの願いにアイザックたちは応えるのか、なぜエステルが生前からそれを願ったかという理由はエステルの実妹デボラに関係があるというお話です。
隠れ蓑婚約者 ~了解です。貴方が王女殿下に相応しい地位を得るまで、ご協力申し上げます~
夏笆(なつは)
恋愛
ロブレス侯爵家のフィロメナの婚約者は、魔法騎士としてその名を馳せる公爵家の三男ベルトラン・カルビノ。
ふたりの婚約が整ってすぐ、フィロメナは王女マリルーより、自身とベルトランは昔からの恋仲だと打ち明けられる。
『ベルトランはね、あたくしに相応しい爵位を得ようと必死なのよ。でも時間がかかるでしょう?だからその間、隠れ蓑としての婚約者、よろしくね』
可愛い見た目に反するフィロメナを貶める言葉に衝撃を受けるも、フィロメナはベルトランにも確認をしようとして、機先を制するように『マリルー王女の警護があるので、君と夜会に行くことは出来ない。今後についても、マリルー王女の警護を優先する』と言われてしまう。
更に『俺が同行できない夜会には、出席しないでくれ』と言われ、その後に王女マリルーより『ベルトランがごめんなさいね。夜会で貴女と遭遇してしまったら、あたくしの気持ちが落ち着かないだろうって配慮なの』と聞かされ、自由にしようと決意する。
『俺が同行出来ない夜会には、出席しないでくれと言った』
『そんなのいつもじゃない!そんなことしていたら、若さが逃げちゃうわ!』
夜会の出席を巡ってベルトランと口論になるも、フィロメナにはどうしても夜会に行きたい理由があった。
それは、ベルトランと婚約破棄をしてもひとりで生きていけるよう、靴の事業を広めること。
そんな折、フィロメナは、ベルトランから、魔法騎士の特別訓練を受けることになったと聞かされる。
期間は一年。
厳しくはあるが、訓練を修了すればベルトランは伯爵位を得ることが出来、王女との婚姻も可能となる。
つまり、その時に婚約破棄されると理解したフィロメナは、会うことも出来ないと言われた訓練中の一年で、何とか自立しようと努力していくのだが、そもそもすべてがすれ違っていた・・・・・。
この物語は、互いにひと目で恋に落ちた筈のふたりが、言葉足らずや誤解、曲解を繰り返すうちに、とんでもないすれ違いを引き起こす、魔法騎士や魔獣も出て来るファンタジーです。
あらすじの内容と実際のお話では、順序が一致しない場合があります。
小説家になろうでも、掲載しています。
Hotランキング1位、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる